あらすじ
アリゾナ州プロスパリティの早朝、一台の荷台に”ヴァイロンアノル社”というロゴを付けたトラックが、山のハイウェイを走っている。
流れてくるラジオに文句言いながら酒を飲み、うつろな目でトラックを運転している男は、目の前に一匹のウサギが道路の真ん中にいるのを発見し、慌ててハンドルを切る。
トラックがガードレールにぶつかった弾みで、荷台からドラム缶が一つ飛び出す。
崖を伝って転がり落ちていくドラム缶は、ある池の中に沈んでいった。
しばらくして池で珍しい虫を捕まえ、喜びながらそれを瓶に詰める男ジョシュアがいた。
ジョシュアが車で立ち去った池には、水面から浮かんでいるドラム缶と、周りに漏れ出した液体のようなものが漂っていた。
それから一週間後、その池の横を自転車で通り抜けていく少年マイクは、その先にある”クモの飼育場”を訪れる。
小屋の中は、いろんな種類のクモが入ったガラスケースで溢れ、マイクはその中の一つのガラスケースをのぞき込み、「大きいね」とつぶやくとジョシュアが現れ、「いい餌を見つけた」といい、3日前から池に現れたコオロギを見せる。
海外から取り寄せたものや珍しい生態のクモを、二人で楽しそうに見ている後ろ、ガラスケースの蓋の隙間から這い出ていくクモが一匹。
腕時計のアラームが鳴り、急いで帰っていったマイクを見送ったジョシュアは、ガラスケースの中にクモがいないことに気づく。
小屋の中を探すジョシュアの背中にいたクモが這い上がっていくと、ジョシュアは突然首を押さえて絶叫し暴れ回り、倒れたガラスケースからおびただしい数のクモがあふれ出していった・・・。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:2002年/アメリカ/99分
- 監督・原案・脚本:エロリー・エルカイェム
- 製作:デブルース・バーマンブルース・バーマン
- 音楽:ジョン・オットマン
- キャスト:デイビッド・アークエット/カーリー・ワーラー/スカーレット・ヨハンソン/スコット・テラ
レビュー
これぞB級映画の秀作『スパイダー・パニック』をDVDにて久しぶりに鑑賞。
さびれた小さな炭鉱の町に、突如産業廃棄物によって巨大化したクモの大群が襲い掛かる。
この映画かなり面白いです(^^)
この手の作品の多くは、合成感が際立つ質の悪いVFXで興ざめすることがあるが、本作の巨大化したクモたちが集団で人間たちに襲いかかるVFXのクオリティはかなり高く、リアルにワサワサと歩き回るクモのたち姿は可愛らしく、結構気色悪い(笑)
集団で動き回るときに、グレムリンのようにキャッキャと声を出してるとこといい、クモの糸で貼り付けた人間の顔に、クモが顔を近づけてシャーってするシーンはエイリアンを彷彿とさせ、たぶんいろんなモンスター映画のシーンをリスペクトしているんだろうと確信する。
出演者たちについては、どこかで見たようなというぐらいの俳優さん達ばかりだったが、大真面目な姿がかえってユーモラスであり、中でも主人公の活躍してるのかしてないのかよく分らないクリス(デイビッド・アークエット)の、驚いた顔は反則だね。
さらに一番最初にやられるだろうという予想を裏切って意外と活躍する保安官助手ピート(リック・オーバートン)に、エイリアン侵略説を唱えるラジオDJハーラン(ダグ・E・ダグ)と、面白キャラクターもいろいろ。
そしてライフルをぶっ放し主人公より頼りになる女保安官のサム。
ただもっとエイリアンのシガニー・ウィーバー並の、覚醒して鬼のように大活躍するシーンが欲しかったかなあ。
この役のカーリー・ワーラーっていう女優さんがとても魅力的で、他の出演作を探すもあんまりなくて、唯一観たことあるジェニファー・ロペス主演「アンコンダ」に出演してるみたいなんだけど、なんだか記憶にないなあ。
TVの方がメインなのかなあ。
あと今見たらすぐに分るんだけど、最初に見たときは全く気づかず、観終わった後何かで読んで知ったのが、女保安官の娘アシュリーを演じていたのが、なんとスカーレット・ヨハンソンだった。
しかも本作公開の一年後の2003年に出演した作品が、ソフィア・コッポラ監督作「ロスト・イン・トランスレーション」とは。
めちゃくちゃ貴重なものを観れたという喜びの前に、当時彼女に全く関心を持たなかった自分の見る目のなさに愕然とする(^^;)
今更だけど、今見るとキラキラしてましたね(わざとらしい・・・)
最初に主人公だと思っていた弟のマイク(スコット・テラ)は、クモの生態をちょこっとしゃべるだけで、驚くほど活躍しません(爆)
もったいない。
昔からモンスター・パニックものの映画はたくさんあり、中には進化したゴキブリが襲ってくるとか結構面白かったのを憶えてる。
しかししょうもない作品も多々あり、最後はやっぱり観るんじゃなかったって後悔することもしばしば(^^;)
それでも未知の生物ものでゼリーのような物体が人間を飲み込んでいく『ブロブ』(この映画もかなりオススメ)とか、うねうねと口だけの蛇みたいなのが人間を食べまくる『ザ・グリード』など、この手の映画でもいい作品はある。
中でも大抵は無名の俳優たちが出演するモンスター・パニック映画に、ケビン・ベーコンとフレッド・ウォードが出演した『トレマーズ』は、その突き抜けたお気楽さに感動すら憶えてしまった傑作である。
この『スパイダー・パニック』はその『トレマーズ』並みとまではいわないが、いい出来の映画じゃないかな。
特典映像の未公開シーンについて
DVDの特典映像に、未公開シーンというのが13分ほど入っていたが、その中に最初に事故を起こした男が、町長と一緒に坑道の中に薬品メーカーの産業廃棄物のドラム缶を運び込むシーンが入ってた。
この町長やっぱ金儲けのために、町を売ろうとした悪いやつでした(笑)
なにかと失敗しないために大作ばかりを見たくなるものだが、B級映画でもそんな大作より面白い映画があります。
気楽に騙されたと思ってまあ観てみて!
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