あらすじ
かつてロナルド・レーガン大統領の警護を担当していたシークレットサービスのフランク・ファーマー(ケビン・コスナー)は、レーガンの暗殺未遂事件当日その場にいなかったことに責任を感じて退職し、今は個人としてボディーガードを生業としていた。
そんなある日、今アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされ、世界で一番注目されていた歌姫レイチェル・マロン(ホイットニー・ヒューストン)の警護を依頼される。
有名人の仕事はやらないと断るが、付き人ビル・デヴァニーの彼女が8歳の息子を抱えておびえているという説得により、まず本人に会って決めると答える。
さっそく約束の屋敷にやってきたフランクは、横柄な態度にまったく危機感がないレイチェルに、来たのが間違いだったと部屋から出て行く。
危機感のない人間は守れないというフランクは、あわてて追いかけてきたビルから、レイチェルにはよく事情を説明するので君の指示には従うはずだと引き留められ、渋々ボディガードを引き受けるが・・・。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:1992年/アメリカ/130分
- 監督:ミック・ジャクソン
- 脚本:ローレンス・カスダン
- 音楽:アラン・シルヴェストリ
- キャスト:ケビン・コスナー/ホイットニー・ヒューストン/ミシェル・ラマ・リチャーズ/ゲイリー・ケンプ
レビュー
ケビン・コスナーと本作が映画デビューとなったホイットニー・ヒューストンの、超ビッグなスターふたりが夢の共演を果たした『ボディガード』をBlu-rayにて鑑賞。
かつて合衆国のシークレットサービスに所属していたフランク・ファーマーは、レーガンの暗殺未遂を防げなかったことで、今は個人としてボディーガードを生業としていたが、ある日人気歌手レイチェル・マロンの身辺警護を依頼される。
最初はまったく危機感のないレイチェルにフランクは呆れ、フランクが警備を強化したことで自由を奪われたと反発するレイチェルだったが、お互いのプロ意識を認め合うことで次第に惹かれ合っていく。
屋敷の中にまで犯人が侵入していたことを知り、さらに直接犯人が電話を掛けてきたことに動揺するレイチェルを、フランクは彼女の姉ニッキーと息子のフレッチャーを連れて、父親の家に避難することにするが、ここにも魔の手が迫っていた。
何者かに命を狙われる大スターの歌姫と、そのボディガードとの純愛を描いた作品。
オープニングからハードボイルドを思わせる音楽の中、専属にならないかという依頼をにこりともせずに断り、真夜中に誰もいない家に戻り、暗がりの中料理を作り鍋から直に食べてるという、孤独な男臭さ全開でみせるフランク役のケビン・コスナーがまずかっこいい(^^)
立場の違うフランクとレイチェルはしばらく反発し合うが、レイチェルを演じるホイットニーの堂に入った傲慢なセレブぶりが面白く、この二人の掛け合いが意外に楽しい(^^)
一応命を狙われているという設定ながら、少しづつ正体を見せてくる異常犯のショボさに、早々に一線を越えてしまうふたりから緊張感はまったく感じられず、物語の半分までは予想外に甘々な展開でサスペンス感がほぼないのが残念。
ただフランクの父親の家にみんなで避難し、そこで初めて別の犯人が現れしかも殺しのプロだということが判明してから、やっとシリアスなサスペンスが感じられる展開となる。
ここからやっと凄腕のボディガードの本領が発揮され、がぜん面白くなっていった。
だいたいこのどれだけ凄いんだって持ち上げたボディガードが、わざわざ警備を強化した屋敷からいきなり抜け出して依頼人と映画観たりお店行ったり、あげくはまさかの関係まで持っちゃったり、プロ意識低すぎだって~の(笑)
そしてクライマックスのオスカー授賞式を終えると、最高のエンディングが待っている。
ホイットニーが熱唱する「I will always love you」のなかで迎えるラストは、ため息が出るほどの切なさが爆発する。
また、あっさりとしたあのラストショットも、いいですねえ(^^)
当時80年代ポップスに一番はまっていたそのど真ん中でヒット曲を連発していたホイットニーは、デビューアルバムの「そよ風の贈り物」からの大ファンだったので、大きなスクリーンで彼女が歌っている姿をただただ観たいと劇場へ行ったのを思い出す。
惜しむらくはしっかりとステージでパフォーマンスするホイットニーの歌唱シーンを、もっと入れて欲しかったなあ。
その後ホイットニーは48歳という若さで亡くなってしまうが、故郷のニュージャージー州ニューアークの教会で営まれた葬儀で、共演したケビン・コスナーは17分にわたる弔辞を読んだ。
特典映像のメイキングについて
Blu-rayの特典映像に「ボディガードの思い出」という27分ほどのメイキングが収録されている。
まずミック・ジャクソン監督が脚本はローレンス・カスダンにより1975年に書かれ、キャストはスティーブ・マックイーンとダイアナ・ロスの予定だったと語り、映画化は実現せずその後カスダンは何度も書き直した脚本を読んだ当時まだ無名のケビン・コスナーが、カスダンに映画化したいと言ってきたとのこと。
さすがにそこでは具体化しなかったが、ケビンが有名になっても脚本を覚えていたことで映画化が実現する。
劇中黒澤明監督の「用心棒」のシーンが流れるが、それについてカスダンが死を恐れぬ武士道に感銘を受け、主役をボディガードにしたと語っていた。
ホイットニー・ヒューストンの起用については、ケビンが推薦し彼女のために撮影を1年延期している。
あとケビンの髪型についての話があるんだけど、役作りのためにやったとケビンが語っていたが、誰がみてもスティーブ・マックイーン意識していたのは明らか(笑)
だからだと思うが、時々ケビン・コスナーがスティーブ・マックイーンだったらって感じたシーンがいくつもあったんだよなあ(^^)
ケビン・コスナーの優しい眼差しもいいが、スティーブ・マックイーンのギラついた視線で辺りを警戒する姿も、観たかったなあ。
Amazonで『ボディガード』を観る
・Prime video
・DVD/Blu-ray
コメント