あらすじ
アッシュ(ブルース・キャンベル)の車に乗り込んだ友人のスコットと、アッシュの姉シェリル、恋人のリンダ、スコットの恋人のシェリーの5人は、スコットが格安で見つけたという山頂にある別荘へ向かって山道を走っている。
途中「重量3トン未満危険」の看板が掛かったオンボロの橋をなんとか渡りきり、さらに森を奥深く進んだところに建った古びた小屋に到着する。
ドアの上に置いてあった鍵を使い小屋の中に入る5人。
日も落ち楽しく夕食をとっている最中、突然床にあった地下へと続く扉が開いた。
みんなが気味悪がる中、「すぐ戻る」とスコットは懐中電灯を手に階段を下りていく。
しかし一向に上がってくる気配のないスコットを心配し、アッシュがランプをもって後を追った。
薄明かりの中、地下室の中を探すアッシュは物音を聞きさらに奥にあるドアを開けると、スコットが突然現れて笑う。
そして二人はその部屋に置いてあったライフルと、不気味な表紙の本にドクロの飾りが付いた短剣、そそてレコーダーを見つけ上へ運び出す。
アッシュはみんなにこれを聞いてと、レコーダーのテープを再生する。
そこにはある男がこの小屋で、カンダール遺跡で発見した”死者の本”について研究をしているという声が録音されていた。
表紙が人肉で血のインクで書かれたその本の内容は、悪霊についての警告と、さらに本の呪文唱えると悪霊が蘇り、人間に取り憑くと声が語った。
気味が悪いとテープを止めたシェリルだったが、スコットは面白がり再びテープを再生すると、不気味な呪文のような声が流れはじめた。
するとその声に導かれたかのように、小屋の外少し離れた枯れ葉の積もったなかから白い煙のようなものが立ち上ると、地面から何かが現れる・・・
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:1981年/アメリカ/85分
- 監督・脚本:サム・ライミ
- 製作:ロバート・タパート/サム・ライミ/ブルース・キャンベル
- 音楽:ジョセフ・ロデュカ
- キャスト:ブルース・キャンベル/エレン・サンドワイズ/ベッツィ-・ベイカー/サラ・ヨーク
レビュー
これでもかという血しぶきでスプラッター映画というジャンルを創り出した、サム・ライミ監督の衝撃のデビュー作『死霊のはらわた』を久しぶりにBlu-rayにて鑑賞。
人里離れた山小屋に遊びにやってきた5人の若者たち。
しかしその小屋の地下室にあった”死者の本”とレコーダーを発見し、録音されていた謎の呪文を再生したことで悪霊を蘇らせてしまう。
次々と悪霊に乗り移られ怪物と化していく仲間たち。
果たしてアッシュたちは生きてここから脱出できるのか・・・。
悪魔が乗り移るというと「エクソシスト」のような”禍々しい”凍り付くような恐怖を予想してしまうが、最初に観たときの本作の恐怖といったら、今まで経験したことのないまったく新しい恐怖を浴びせられるものだった。
それは震え上がるような恐怖ではなく、血だまりの中ただただ”おぞましい”何かがこれでもかと力ずくでずっとまとわりついてくるような作品だった。
しかもそのあまりにも激しいやり過ぎ感が、ある一線を越えると笑けてくるという始末(^^;)
今回なぜか急に本作が無性に観たくなり、何十年かぶりに観ることになったが、まあ見終わった後の疲労感が半端なかった(笑)
すぐにこれは当分観なくてもいいかもって思ってしまった(爆)
まず悪霊に取り憑かれた人間の、夢に出てきそうな不気味な特殊メイクのインパクトが凄まじい。
ゾンビほど作り込んでなく、うっすらメイクに白のコンタクトをはめキャッキャと笑うだけで、今時の緻密な特殊メイクよりはるかに気味が悪いのが分る。
そして血しぶきの中死霊たちとの戦いはクライマックスに向けどんどんと過激になり、腕はちぎれるは首を切られた頭は飛んでいくはもうやりたい放題の残虐三昧。
ただそんな残酷シーンより私が一番恐怖を感じたのは、最初に死霊に取り憑かれたシェリルが、いきなりリンダの足首に鉛筆をザクッと刺すや、さらにグリグリとこねくり回しちゃうシーン(^^;)
あとただアッシュが足をかきむしられ悶絶するシーンも。
どんな残酷シーンより、そんな身近に皮膚感で痛さが伝わってくるシーンの方が、ほんとはえげつないんだということを、サム・ライミ演出は熟知してるんだよねえ。
ほんともう笑うしかないのだ!
そしてたぶん俳優さんたちも大変だったろうなと感じさせる手作り感半端ない、無理強いさせているだろう場面が多く、そんなことも観ているうちに疲れていく要因かも(笑)
そんな厳しい環境の中体当たりで演技していくキャストの中で、やはり一番注目はアッシュ演じるブルース・キャンベル。
最初の方はただ倒れてきた棚の下敷きになりモタモタしてるだけなんだけど(ここも結構笑える)、覚醒してからの彼の表情がとにかく大げさで素晴らしいのだ。
愛していた女性が悪魔に乗り移られたことで、もう殺してしまうしかないというつらい状況の中、その女性の顔を殴り回すわ、角材で何度も殴りつけるわ、切なさより笑いがこみ上げてきてしまった。
さらにここでとっておきの演出が待っていた。
まず最初の方でアッシュが恋人のリンダにプレゼントを渡すところがあるんだけど、アッシュは手にネックレスが入った箱を持ったまま眠ったふりをしてるんだけど、リンダはその箱をとるときにチラチラとアッシュの方に目配せして、アッシュはそんなリンダに気づかれないようにチラチラ目を開けるという、恋人同士がイチャつくシーンがある。
そしてアッシュがリンダを殴り回して死んだかどうか確かめるところで、このチラ見する場面が再び訪れる。
ここでそのシーンを使ってくるなんて、サム・ライミ最高って思っちゃいました(^^)
凄まじい残酷シーンをたたみ込んできてもこんなユーモアを差し込んでくるので、これだけ血みどろになっても驚くほど嫌悪感を感じさせない絶妙な演出。
いまや伝説のホラー映画の傑作となった。
ただやはり観終わった後の疲労感に、もう当分見ることはないだろうと確信する(笑)
Blu-rayの特典映像について
Blu-rayの特典映像のなかに”語られなかった物語”として、サム・ライミ始めスタッフやキャストのインタビューが約1時間ほど収録されています。
ただ疲れ切った後に、さらにあと一時間はつらいとまだ観てません(^^;)
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