あらすじ
とある小さな田舎町のグランドで行われているアメリカン・フットボールの試合の観客席は、集まった町中の人々で溢れ歓声が上がっている。
タッチダウンを決めたポール・テイラー(ドノバン・リーチ)は、グランドの横で踊っているチアガールのひとりメグ・ペニー(ショウニー・スミス)を熱く見つめると、友人のスコットに今夜デートに誘うと宣言する。
そして試合中に強烈なタックルを受け倒れたポールは、心配そうにのぞき込んできたメグに「今夜何か予定あるかい?」といって気を失ってしまう。
一方町中で盛り上がっているグランドから遠く離れ、ひとり森の中でバイクに乗り、壊れた橋を飛び越そうとしているブライアン・フラッグ(ケヴィン・ディロン)。
勢いよく走り出したが、橋の寸前でエンジンが故障し慌ててバイクから飛び降りると、橋から転がり落ちてしまう。
地面にたたきつけられたブライアンはなんとか顔を上げると、偶然それを見ていたホームレスの老人が拍手をして笑い、ブライアンがさっき捨てたビールの空き缶を拾って去って行った。
町の食堂では、食事をとっていた保安官のハーヴ・ゲラー(ジェフリー・デマン)が、店主のフラン・ヒューイット(キャンディ・クラーク)をコンサートに誘うが、店が忙しいので無理だと断りハーズに伝票を渡す。
ただその伝票には「11時に待っている」とメッセージが書き込んであった。
町に戻ってきたブライアンはすぐに修理工場を訪れ、ソリを修理していたモスにバイクの修理のために工具を貸して欲しいと頼む。
しかしモスは工場は冬のシーズン前、圧雪車やスノーメーカーの点検で忙しいと言われ、しかたなく代わりに週末手伝いをするからといって、なんとか貸してもらう。
その夜、森の中で拾ってきた空き缶を潰していたホームレスの老人の頭上を、猛スピードで火の玉が横切り、森の中に落下する。
急いで落下した場所にやってきた老人は、まだ炎がくすぶっている中に隕石のようなものを発見する。
その隕石のようなものの割れ目から、ゼリー状の物体がうごめいているのを見た老人は、近くに転がっていた枝を拾い上げると、ゼリー状のものに引っかけ持ち上げた。
するとその物体はいきなり老人の手に飛びつき張り付くと、老人は悲鳴を上げた。
デートでドライブをしていたポールとメグは、突然車の前に森から飛び出し苦しむ老人と、続けて出てきた不良のブライアンに遭遇する。
急いで老人と不審なブライアンを連れ病院へ向かうポールとメグ。
病院へ到着すると老人はすぐに病室に運ばれるが、ポールはふと目にした病室の老人の体に異変を感じ、ひとり病室に入っていくと、老人の体は大きく盛り上がり振り向いた老人の目は白く濁っていた。
急いでドクターを呼びに飛び出したポールは、再びドクターと病室に戻ると、老人の体は胸から下がすべて溶けていた・・・。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:1988年/アメリカ/95分
- 監督:チャック・ラッセル
- 脚本:チャック・ラッセル/フランク・ダラボン
- 音楽:ミヒャエル・ヘーニッヒ
- キャスト:ケビン・ディロン/ショウニー・スミス/ドノバン・リーチ/ジェフリー・デマン/ジョー・セネカ/キャンディ・クラーク
レビュー
1958年のスティーブ・マックイーン主演作品「マックイーンの絶対の危機」のリメイクとして製作された、B級モンスターパニック映画の秀作『ブロブ/宇宙からの不明物体』をDVDにて鑑賞。
とある田舎町の森に、突然隕石のようなものが落下する。
隕石の中に潜んでいた謎のゼリー状の物体は、偶然目にして近づいてきた老人の腕に取り付き、町の病院へ着くと老人を食いつくすと、次々に町の人々に襲いかかり巨大化していく。
そこへ政府の科学調査団がいう大勢の武装した一隊が現れ、あの物体は宇宙からのやってきたもので、自分たちは町の住人たちを救出するためにやってきたという・・・。
隕石に乗ってやってきた人食いアメーバーが、町の住人たちに襲いかかるパニックもので、当時は周りの人に隠れた傑作だからぜひ観て欲しいと紹介しまくったのを思い出す(^^)
ドロドロのスライムのような物体なので武器も通用せず、どんな隙間もすり抜け、ベタベタと壁を這い粘着力で天井に張り付いて縦横無尽に動き回る様は、当時は斬新で強烈なインパクトを残した。
ただ今観るとその謎の物体のCGのクオリティは若干チープに見えてしまい、B級感も増してしまっているが、問答無用で人間に襲いかかり、その肉体を溶かしていくグロテスクな描写は、今観てもおぞましい魅力を放っている。
そして知能はほぼなくただ本能のままに生き物を食し、分裂することもなく単体のまま大きくなっていくという煩わしさのない設定は、逆にシンプルで観やすい。
さらにオープニングからじっくりと時間を費やして登場人物たちの状況を説明したシーンを入れたにもかかわらず、まず主人公だと思っていた作品中一番のハンサム男が早々に襲われて食べられてしまうという驚きの展開。
さらにそこからも、その登場人物たちを惜しげもなく次から次へと物体に屠らせていくというブラックな意外性は、最後まで飽きさせない。
だいたいハンサムで誠実な男より、普段はちょいワルで相手にもしないくせに、たまに女性に優しさをみせるツンデレの男の方が、既にこの時代でも主人公になる設定があったんだと分りちょっと笑ってしまう。
そしてその不良のマット・ディロン似のブライアンの方が主人公かって思ってみてたら、演じるケヴィン・ディロンが実は本当にマット・ディロンの弟だと知ったことも驚きだった(^^)
監督のチャック・ラッセルは「ヘルナイト」や「エルム街の悪夢3 惨劇の館」などB級のホラー映画などを撮っていたが、本作の次回作「マスク」で大ヒットを果たすと、96年アーノルド・シュワルツェネッガー主演で「イレイザー」を監督する。
この記事を書いているときに調べて分ったことだけど、脚本になんと「ショーシャンクの空に」や「グリーンマイル」を監督したフランク・ダラボンが入っていたのにも驚く。
まあだからというわけでもないが、前半から子供の上着のジッパーが上手く上がらないとか、雪が突然降るとかのなんでもないフリが、しっかり後半で回収される展開もよく出来てる。
たまにはこんな何にも考えずに楽しめる映画もいいかもね(^^)
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