あらすじ
2029年、そこは人工知能スカイネットが支配する世界。
人類を敵とみなしたスカイネットは、マシーンを使い次々と人間の殺戮を実行していた。
だが救世主ジョン・コナー率いる革命軍は、ついに中枢部の破壊に成功し、長い闘いに終止符が打たれたと思われた瞬間、スカイネットはジョン・コナーの母親サラ・コナーを抹殺するために、過去の時代へターミネーターを転送していた。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:2015年/アメリカ/125分
- 監督:アラン・テイラー
- 脚本:レータ・カログリディス/パトリック・ルシエ
- 音楽:ローン・バルフ
- キャスト:アーノルド・シュワルツェネッガー/ジェイソン・クラーク/エミリア・クラーク/ジェイ・コートニー
レビュー
“未来を、取り戻せ――。”
初公開から30年、ついに最新作が公開された『ターミネーター:新起動/ジェニシス』を劇場で観る。
「ターミネーター」も今流行りのリブートものをやっちゃうんだなあ、なんてちょっと食傷気分になってしまったけど、なんでもシリーズ3・4は無かったものとして、全く新しく再起動するという情報を知り、さらにシュワちゃんも出てくるというので、俄然観たくなった。
ただまさかここまでやってくれるとは・・・。
かなり驚きの展開だった。
冒頭はほぼ第一作と同じ流れで、ターミネーターが転送されてくるシーンもそっくりそのまま使われてる感じだったんだけど、素っ裸のターミネーターがチンピラ三人組に襲い掛かろうとした瞬間、いきなり急展開の分岐点はやってくる。
んん~、どうなってるんだこれは。
ネタバレになるのでそのストーリーの変わりぶりは書けないけど、そこからは前作を何度も観ているものにとって、そこまでやってしまったらもうなにがなんだかわからなくなっちゃうんじゃないかと思われるほどの、かなりの破壊ぶりだ。
まあここまでやってくれたら、却って清々しいじゃないか、なんて思えた方は面白かったかもしれないが、私はちょっとこの「ターミネーター」は、残念だが微妙だった。
そもそも私が持っていた「ターミネーター」の世界観とは、荒廃した世紀末感であり、未来で待ち受ける悲劇から懸命に逃れようとする悲壮感であり、それでもそんな殺伐とした世界の中で生まれる愛に救いを感じ、未来への希望を失わずに立ち向かう勇気を生み出していく。
そんなイメージだったので、今回のターミネーターをおじさんと呼んでしまうライトな世界観は、根底から覆り過ぎてかなりの違和感を感じてしまった。
当然映像技術は進化し、驚愕のバトルシーンにワクワクさせられ、練りに練られた予測不能の急展開に驚かされたりと、中だるみのない面白さは素晴らしかったけど、やはり第1作・第2作の「ターミネーター」と比べてしまうと、見劣りしてしまう。
そして改めてキャメロン版の「ターミネーター」が素晴らしかったかを思い知らされる。
世界観に加え、絶対戦士には見えない可愛いけどひ弱なヒロインなど、キャスティングにもいろいろ不満があるが、そもそもの作りが雑というか、押さえておきたい細かい設定がどれもお粗末なんだなあ。
例えばカイルが未来から転送されてくるシーンなんだけど、未来では常に命を狙われ、ゲリラ活動に追われる日々に安息の時間など微塵もない世界から転送されてきた人間が、ひげは綺麗にそり上げられ、栄養満点の健康体の肉体だなんてまずありえないでしょう。
マイケル・ビーンのくたびれた感が懐かしいよ。
あの世界でどんだけいいもん食ってるんだよ。
そんなシーンひとつとっても不満である。
そして決定的に不満なのが、登場人物たち総てに人間臭さがなく、主人公たちさえも機械人間のように感じてしまったということ。
省いてしまいそうな、普通の生活を送ってるシーンとかがなかったからかなあ。
おじさんとの心温まるエピソードなんかも入れてほしかったなあ。
えッ、おじさんとの心温まるエピソード?。
ほんとにターミネーターか(笑)
いやいや、期待していただけにネガティブな感想ばかりになってしまったので、よかったところを思い出そう。
やっぱりゴールデンゲートブリッジの上でバスが豪快にひっくり返るシーンかなあ。
あと・・・。
やっぱりこういう完璧に完成された作品の、続編やリメイクは難しいってことかなあ。
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