映画『ヒドゥン』レビュー ★★★★★

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 ロサンゼルスのある銀行のカウンターの辺りを映し出している、監視カメラの白黒の映像。
そこへコートを着た男がフレームインし、立ち止まり周りを見回している。

奥から現金の袋を運んで来る警備員が近づいてくると、男はいきなりコートの中からライフルを取りだし、警備員に発砲する。
男は倒れた警備員の足下に落ちている袋をゆっくりと袋を拾い上げると、何食わぬ顔で防犯カメラに笑いかけ、ライフルで監視カメラを破壊する。

外に出た男はフェラーリに乗り込み急発進でその場を離れると、車内でロックを大音量で聞きながらリズムを取っている。

追いかけてくるパトカーとのカーチェイスの末、フェラーリは待ち構えていた大勢の警官たちの一斉射撃にあい、道路脇のフェンスに突っ込む。

ドアを開け血だらけで出てきた男は、銃を構える警官達を見て不適に笑う。
と同時に、警官達の構えていた銃は一斉に火を噴き、フェラーリは男を巻き込んで爆発する。

 病院に搬送され瀕死の状態で治療を受ける男デフリースを見て、ロス市警の刑事トム・ベック(マイケル・ヌーリー)は担当医に「助かるか」と問うと、医者は「今夜一杯だ」と答え、ベックは「よかった」という。

 署に戻ったベックの元に、突然FBIの捜査官ロイド・ギャラガー(カイル・マクラクラン)が数日捜査協力をして欲しいと現れる。
追っている容疑者がデフリースと聞いたベックは、「やつは今夜限りの命だ」と答える。
ギャラガーは病院の場所を聞くと、急いで出て行った。

 その頃ベッドで横たわるデフリースは突然起き上がり、隣のベッドで眠っている男の口を無理矢理あけさせる。
するとデフリースの口から黒い蜘蛛のような足が現れ、さらに巨大なサナギのような本体が姿をみせると、男の口の中にズルズルと入り込んでいった。

ロイドが病院に駆け込み病室に到着すると、そこには床に倒れて死んでいるデフリートと、隣で治療を受けていた重症のメラーという男が消えた後だった・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1987年/アメリカ/97分
  • 監督:ジャック・ショルダー
  • 脚本:ボブ・ハント
  • 音楽:マイケル・コンヴェルティーノ
  • キャスト:カイル・マクラクラン/マイケル・ヌーリー/クラウディア・クリスチャン/エド・オロス

レビュー

 1988年のアヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭であの「ロボコップ」を押さえ、見事グランプリを獲得した『ヒドゥン』をDVDにて鑑賞する。

このわかりにくい「ヒドゥン」というタイトルの言葉の意味は、英語で”隠れている”とか、”隠されている”という意味。

当時「ロボコップ」は劇場で観たのに、この『ヒドゥン』のことはまったく知らなかったのだ。
あ~、劇場で観たかった。

 オープニングの銀行強盗のシーンから、ロックを聴きながらフェラーリを暴走させ、待ち構えていた警官達に蜂の巣にされる犯人の異常さに、いきなり度肝を抜かれる。

とにかくこのオープニングからラストまで、息もつかせぬ凄まじいパワーとスピード感に、人がいとも簡単に殺人兵器と化す恐怖と、強烈なバイオレンス描写が素晴らしい。

 そして最初はアクション刑事ドラマ風の作品だったものが、突然SF映画へと展開する脚本も秀逸で、このラストシーンも・・・好きだなあ(^^)

宇宙生物が人間に寄生するという設定で、すぐに浮かんでくるのはドナルド・サザーランド主演の「SF/ボディ・スナッチャー」だ。

ただ本作は種族を増やすということはなく、純粋に自分の欲望に忠実に非道の限りを尽くして悪事を働くという宇宙生物と、その宇宙生物に家族を殺され何年もそいつを追ってきた男との闘い。

そんな闘いの中で、次第に友情のようなものを感じはじめるロス市警の刑事とFBI捜査官という、バディ・ムービーの要素と、体中に銃弾を浴びながらも倒れないという、不気味なホラー要素も加えたSFテイストの刑事ドラマ。

 突然FBIの捜査官として現れるも、なにかを隠しているというミステリアスなロイド・ギャラガー役にはカイル・マクラクラン
登場シーンから、透き通るような青二才感に、感情を読むことができない無表情が、まるでアンドロイドのような顔。

とにかく人間離れしたあの風貌が、この役は彼しかいないって感じ(笑)

ロス市警の刑事トム・ベックには、「フラッシュダンス」のマイケル・ヌーリーが抜擢され、タフさと優しさを兼ね備えた魅力的なベテラン刑事を、見事に演じている。

そして宇宙生物に寄生されて暴れ回る俳優さん達が、どの人も個性的で強烈な印象を残す悪行ぶりがいい。

最初に病室で乗り移られるミラー役のウィリアム・ボイエットに、ストリッパー役のクローディア・クリスチャンと、どこかで見たような俳優さん達ばかりで、その名バイプレーヤー振りはおおいに作品を昇華させている。

このキャスティングも見事!

 CGも無くかなり低予算で作られたような作品なんだけど、この畳み掛ける力強さはまさしくあの『ターミネーター』を髣髴とさせる。

どんなにお金をかけても、どんなにすごいCGが入っててもつまらないSFが多いけど、本作は歴代のSF映画の中でも傑作と呼べる映画だ。

この当時はSF作品は、CG技術が追いついておらず、かえってシラケる時があるほど。
ラストがCGとの対決かって、がっかりした作品のなんと多いことか・・・。
タイトルは言わないけど・・・(爆)

 監督のジャック・ショルダーは、前年の「エルム街の悪夢2 フレディの復讐」がヒット作となり、本作も普通ならヒットとなるはずなのに、なぜか商業的には大ヒットとには至らず、この作品後まったくぱっとしません。

こういう素晴しい映画は、なにか突然変異のように現れるんでしょうね~。

 ただ私的に惜しい点が一つ。

次々に宿主を変えて追跡をかわす宇宙生物が、ベックの上司や同僚に寄生してしまうんだけど、ベックをはじめ署内の刑事達が、何のためらいもなく彼らに発砲するという、ここがねえ(^^;)

ついさっきまで、仲良く話していた仲間を銃撃することを、もう少し躊躇する場面が欲しかったかな。

封入特典のポスター型ライナーノーツについて

DVDの封入特典として、ポスター型ライナーノーツというなんかチラシのようなものが入ってたんだけど、そこにこんな記事が。

“監督のジャック・ショルダーが撮影中、ロス市警の刑事役のマイケル・ヌーリーが演技指導にまるで耳を貸さず衝突を繰り返していた”

という話が書いてあった。
さらに、

”「彼は自分がこれから素晴しいキャリアを積むと考えてたし、『ヒドゥン』は彼がやりたいものではまったくなかった」”

なんて監督のコメントも。
まあこんなゴシップも、映画が素晴しかったからいっか(笑)
その後マイケル・ヌーリーの活躍を知るものは誰もいない・・・。
(調べたら2004年の「ターミナル」に出演してるようだが・・・)

本作でいい演技をみせたんだけど、やはり人間謙虚でなきゃいけません(笑)
そんなことまで考えさせられた作品でした(ウソ)。

 あとDVDの特典映像は予告編だけだった。

なにが残念って、こんな傑作がいまだにBlu-ray化されてないってどうなってるんだろう。
見事Blu-ray化されたあかつきには、ぜひメイキングを収録してくださいね(^^)

 なお、本作の続編となる『ヒドゥン2』が1993年に製作されている。
登場人物は本作を引き継いでいるが、キャストはまったく知らない俳優さんになり、監督も代っている。

多分観てるはずなんだけど、どんな作品だったかはほぼ憶えていない。
ということは・・・だね(^^;)

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このレビューをアップした時点で、残念ながらPrime videoでは配信されていません。(2022/08/05)

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