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映画『ラストナイト・イン・ソーホー』レビュー ★★★☆

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 1960年代の音楽とファッションが大好きなエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)のもとに、ロンドンのデザイン専門学校合格の通知が送られてきた。
ずっと夢だったファッションデザイナーへの第一歩を踏み出したエロイーズは、意気揚々と専門学校へやってくる。

ただ入学早々学生寮でルームメイトとなったジョカスタは、エロイーズを田舎者と見下し、そのうち男を連れ込んだり、勝手に部屋でパーティまで開くようになってくる。

そんなとき、偶然学校の掲示板から落ちていたメモを拾い上げてみると、そこには
“ワンルーム間貸し 女性専用”
と書いてあり、エロイーズはすぐに電話をかけ、ソーホー地区にある古い家のベルを鳴らす。

年老いた家主コリンズに、門限や男を絶対に連れ込まないなど、いろいろと注文をつけられるが、案内された屋根裏部屋に広がる、調度品など60年代テイストを一目で気に入り、すぐに引っ越してくる。

 その夜、お気に入りのレコードを聴きながら、窓の外から入り込む看板のネオンの赤と青に染められた部屋のベッドで眠りにつくエロイーズ。

 突然目の前に細い路地が現れ、そのまま奥へ進んでいくと、そこは夜の街をたくさんの人が行き交う、賑やかな60年代のソーホー地区のネオン街だった。

戸惑いながらも、誘われるように目の前にあったナイトクラブ「カフェ・ド・パリス」に入っていく。

ふと階段を降りた先にある鏡を見ると、自分の姿はなく替わりにブロンドヘアにピンクのドレスを鮮やかに着こなす若い女性が写っていた。

目を合わせた瞬間、エロイーズは鏡の中から、颯爽と店内を歩く彼女サンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)を眺めていた・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:2021年/イギリス/115分
  • 監督:エドガー・ライト
  • 脚本:エドガー・ライト/クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
  • 音楽:スティーヴン・プライス
  • キャスト:トーマシン・マッケンジー/アニャ・テイラー=ジョイ/マット・スミス/ダイアナ・リグ
  • 公式サイト:映画『ラストナイト・イン・ソーホー』オフィシャルサイト

レビュー (ネタバレあり)

 サイモン・ペッグを主演に、ゾンビ・コメディの「ショーン・オブ・ザ・デッド」やポリス・コメディの「ホット・ファズ」と、イギリス発のシニカル・コメディのヒット作を連発するエドガー・ライト監督の『ラストナイト・イン・ソーホー』をAmazonプライムで観る。

まったく知らなかった作品だったが、Amazonプライムで観た予告編が怖そうだけどとっても面白そうだったので、すぐに観ることに。

 きらびやかなショービジネスの世界と、個性的なファッションで街を女性たちが闊歩する華やかな60年代と現在のソーホー地区を舞台に、時空を超えて夢見る二人の若い女性が感じ合い、そしてシンクロしていく先に訪れる驚愕の真実。

一応ホラーというカテゴリーだったので覚悟してたんだけど、始まってしばらくはホラーとは全く違うテイストだった。

最初にエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)がすでに亡くなっている母親の姿を鏡越しに見てるということで、彼女が霊能力を持っているということが分かったけど、一向にホラーの兆しは無い。

一人暮らしを始めてからは、ショービジネスの世界で成り上がろうとするサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)を、見守るように夜ごと夢の世界を訪れるようになるエロイーズは、自身のデザインにも60年代を盛り込み、才能を開花させていく。

そう、前半はホラーというよりむしろ青春の光がキラキラと輝き、エロイーズのファッションデザイナーへの夢と、同じように歌手を夢見るサンディーとが徐々にシンクロしていく展開は、まるでファンタジーを観てるような夢見心地に。

サンディとジャックが踊るシーンでは、ワンショットの中でサンディとエロイーズが交互にジャックと踊る姿が映し出され、音楽と華麗なカメラワークが見事に融合した素敵なシーンだった。

ホラー感はまったく無かったけど、ここまでは素晴らしい展開だった。

ただすべてが順調に思えたとき、ストーリーは暗転する。

出典元:https://www.amazon.co.jp/

【ここからネタバレあり】






 60年代のロンドンの中心部にあったソーホーという地区は、実は性風俗店や映画産業施設が建ち並ぶ歓楽街で、きらびやかな表舞台とは別に、おぞましい裏の世界が存在していた。

サンディのように歌手や女優を夢見る若い女性たちは溢れ、そんな女性たちを手懐け、気づけば強制的に客を取らせられるようになる裏社会。

それまでのキラキラからいっきに気が滅入る展開となる。

サンディは夢破れ転落の道を歩み、エロイーズにはその悪夢により次第に亡霊が所構わず襲ってくるという、今更なホラー展開となり、異常者のように大騒ぎで幻影におびえ、振り回されるシーンがずっと続く頃には、もう盛り上がった気分は冷めてしまい、期待することもなくなっていた。

結局すべての謎が解明するラストも「あっ、そう」という感じ。

とにかく後半は、そうならないで欲しいという方にばかり向かい、サンディがナイフをもって、エロイーズに斬りかかるシーンの違和感は、もうすべてが破綻したような幻滅しか残らなかった。

サンディが殺人鬼になるという設定、最悪です。

とにかくサンディ役を演じたアニャ・テイラー=ジョイの、圧倒的な存在感と醸し出すギラついたオーラが抜きん出ていて、エロイーズ役のトーマシン・マッケンジーの誠実な美しさをも凌駕し、輝いていく姿が痛快だったんだけど、どうしてこんな展開を仕掛けたのか。

こんな胸くその悪い枕営業の話なんかどうでもよく、むしろ前半の夢見るエロイーズとサンディが、シンクロして夢を叶えていくというファンタジーでよかったのにというか、無理矢理ホラーにする必要あったの?

だいたいエロイーズって名前どうなのよ(笑)

 心に傷を負い、その弱さを内に向けてしまったエロイーズの母と、その闇を怒りで外へ爆発させ破滅してしまったサンディ。

見終わった後、この二人から垣間見える、心の病を一人で抱えることへの恐怖と、誰かに助けを求めることで未来への光をつかんで欲しいというメッセージを感じ、作品への不満がちょっと和らぐ。

でも結局、しばらくはもう一度観ようという気分になれない、ただただ”惜しい!“っていう思いを残す作品だった。
ほんと前半までは素晴らしい作品でしたよ(^^)

勝手に別エンディングを創作してみた・・・

※ここで微妙な空気になってしまったエンディングを、自分ならこうすると勝手に変えてみた(^^)

 炎の中、ギリギリでレスキュー隊に救出されたエロイーツは、救急車のベッドで意識を失ってしまう。

 そこへ突然目の前に再び細い路地が現れる。

戸惑いながらもそのまま奥へと歩いて行くと、赤レンガに覆われた巨大な円形の大きな劇場が現れる。
入り口受付の男性がにこやかに一言
「もう始まってますよ、急いで」

ドアを開けると、そこは大きな円形の大ホールとなり、大勢の観客が見つめる中央のステージには、バンドの演奏が刻むリズムに乗って、軽やかに歌い踊る一人の女性がスポットライトに浮かび上がる。
サンディだった。

エロイーツはゆっくりとステージに歩み寄り、2列目の空いた席に座り、サンディをまぶしそうに見つめる。
歌い終わったサンディーは、観客に手を振りながら会場をぐるりと見回す。

その瞬間、サンディとエロイーツの目が合う。
サンディはにこやかにエロイーツにウインクし投げキッスをする。

エロイーツが声をかけようとした瞬間、前の席に座っていた観客の一人が振り向きざまに、エロイーツの首をナイフで掻き切る。
薄れゆく視線の先に見えた相手の顔は、サンディに雰囲気は似ていたが、まったく知らない若い女だった。

 絶叫で目覚めたエロイーツは、首元をさすり夢だったとほっとし、辺りを見回す。
目の前のベッドにジョンが眠っていた。

そこは病院で、入院しているジョンを見舞いに来て、うっかり眠ってしまったようだった。

 そして次の夜、パブでバイトをしているエロイーツのもとに、前にジャックと思っていた元警察官の老人が、松葉杖をついて訪ねてくる。

老人が生きていたことを喜ぶエロイーツに、老人は古びたノートを手渡す。
そこにはサンディに関する調査記録が書き込まれていた。

サンディはジャンクに殺されていたこと。
サンディには同じ境遇の友だちの女性が一人いたこと。
その女性は、先日火事で亡くなってしまった家主のコリンズ。

サンディの死の真相を知ったコリンズが、殺人鬼となりジャックや卑劣な男たちを次々に殺していたこと。

驚いて顔を上げたエロイーツの目の前には、老人の姿はすでに無かった。
店内を見回すエロイーツ・・・

・・・THE END

どうでしょ?このエンディング(^^)
やっぱりサンディが大きなステージで歌っているシーンを、どこかで流して欲しかったなあ(涙)

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エロイーズはデザイン学校に入学し、ソーホー地区で一人暮らしを始めたアパートで眠りに着くと、夢の中で60年代のソーホーにいた。そこで歌手を夢見るサンディに出会うと、身体も感覚も彼女とシンクロしていく。夢...

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