映画『ローカル・ヒーロー 夢に生きた男』レビュー ★★★★

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 ヒューストンにある大手石油会社に務めるマッキンタイアは、つい先日もメキシコとの交渉を成立させたエリート社員。

 そんなマッキンタイアに下った次なる仕事は、新しく石油コンビナート建設を計画している、スコットランド北部のとあるひなびた村の、土地買収の交渉を行うことだった。

スコットランドにまで赴くことに、あまり乗り気ではなかったが、村人との交渉は順調に進み、ほぼまとまりかけたとき、海岸線7kmの土地の権利を持つ老人に、土地売却を拒否されてしまう。 

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1983年/イギリス/112分
  • 監督・脚本:ビル・フォーサイス
  • 音楽:マーク・ノップラー
  • キャスト:バートラン・カスター/ピーター・リーガート/デニス・ローソン/フルトン・マッケイ

レビュー

 ”「幸せはきっとそばにある」”

 1983年度の英国アカデミー賞 監督賞受賞をはじめ数々の映画賞を受賞し、映画ファンの間で人気の高い『ローカルヒーロー 夢に生きた男』を観る。

本作はずっと観たかったんだけど、配信もされずDVDとかも発売されないのでもう諦めてた。
そこへある日突然Blu-rayが発売されているのを発見し、速攻で購入してしまった。

 主人公がまずエリート社員っていう設定から、始まってすぐに田舎を見下してしまい、頑なな村人と確執が起こってしまうけど、徐々に心を通わせていき、最後は村の開発を阻止する側になるんじゃないかなあ、なんて予想してしまったが・・・。

 早々にスコットランドに到着し、空港で案内役として待っていた支店のオルセンと一緒に、現地の小さな海辺の村に向かうんだけど、霧が濃くなり運転できないと道ばたで夜を明かす。

んんっ、ゆるい系か?

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村に到着し交渉を始めると、村人たちはこちらの予想を軽く裏切り、大金が舞い込むということで、なんと土地売却にみんなが前のめりで村が大いに沸く。
ええ~っ!

大体マッキンタイアを、少しずつ村人たちが受け入れていくという過程が、本作の見せ場だと思っていたのに。
まさかの早々に村人たちと、ウィンウィンの関係になるという意外な展開に、どこで話を盛り上げていくのか心配になる。

 まあこれだけ映画通に人気の作品なので、とっておきのものが用意されているんだろうと思って観ていたが、特にこれといったこともなく話は淡々と進んでいく。

気がつけば案内役オルセンは、仕事もそっちのけで女性を追っかけてるし、マッキンタイアにいたっては、海辺で貝を拾い集めるという始末。

 ここではたと気がつく。

このドラマ最初っからおかしいのだ。
とにかく登場人物がみんなどこかずれてて、それを私はただぼんやり見ているという状態なのだ。

まず石油会社の社長は仕事よりも、彗星に異常な執着を持っているし、村のホテルの管理人のアーカートは妻と朝昼かまわずお盛んで、実は会計士でもあり、今回の交渉のまとめ役ということになってたり。

またベビーカーで泣いている子がいて、誰の子かと村の住人たちに聞いても、お互いが顔を見合わせて誰も知らないとか、へんなロシア人が来たり、とにかくみんなどこかピントがずれてるのだ。

そんな細かいエピソードの中で、一番笑ってしまったのは、マッキンタイアが最初に現地に行く途中で、ケガしたウサギを助けて、ホテルまで連れ込んで名前までつけちゃったんだけど、そのウサギが知らないうちに料理されていて、ディナーで食べちゃってたというシーン(爆)

こういう独特のずれた笑いをスコッチ・ギャグと呼ぶのか、もはやなんとなく村での生活を送るマッキンタイアの周りで、ゆる~いエピソードがちょこちょこ起こっていくだけなのだ。

 ただそんなスローライフな日々を送っていくマッキンタイヤは、次第に美しい自然と風景の中で、無精ひげを生やした顔に、穏やかな微笑みを浮かべるようになる。

そして不思議なことに、それを眺めている自分が、いつしか村に溶け込んだかのように、マッキンタイアと一緒に心地よい空気を肌にまとい、次第に気持ちが軽くなっていくのを感じている。

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だた、いい感じになってきたなと思ったのも束の間、話は急展開に。


【ネタバレあり】





 マッキンタイアに、村との突然の別れが訪れる。
ここがフォーファイス監督のうまいとこなんだよなあ。
あまりに突然で、村人たちとじっくり別れを惜しむシーンがほぼないんだよね。
これがラストに強烈に効いてきます。

そして再び都会の喧噪に戻ったマッキンタイヤが、自宅マンションのベランダから、夜を煌びやかに灯すビル群をぼんやり眺めるシーンでは、なんともいえない喪失感と寂しさを感じ、思わず泣きそうになってしまった。

そんなやるせない気持ちをさらにかき立てるように、エンディングで流れるマーク・ノップラーの「ゴーイング・ホーム」が実に美しく、気がつけばもうあの海辺に静かにたたずんでいる小さな村が、恋しくなっているのだ。

これはどういう感情なんだろう(^^;)

 特に何も起きず、淡々と進んでいくので観る人を選ぶけど、この見終わってなおいつまでも後を引く不思議な安らぎが、映画ファンの心をつかんで離さないんだろうなあ。
そして人が幸せに生きるために必要なもの、大切なものが何かをつくづくと考え、そして思い知らされる。

ああ~、もう一回観たくなってきた~(^^)

 ただ作品を見終わって時間がたっていくと、夢から覚めたように、不便で思いのほか閉鎖的な田舎暮らしの厳しさを思い起こしてるんだけどね(^^;)

そしてさらに時間がたつと、また観たくなってる(笑)
これはほんとどういう感情なんだろう(^^;)

 最後に、Blu-rayを買ったのはいいけど、期待の映像特典はまさかの予告編だけでした(涙)

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