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映画『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』レビュー ★★★☆

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 紀元前1290年、エジプト王ファラオに仕える大司祭のイムホテップ(アーノルド・ボスルー)は、王の愛人アナクスナムンと恋におち、密会の現場に現れた王を二人で殺してしまう。

すぐにやってきた王の衛兵に、アナクスナムンはその場で処刑されるが、イムホテップと部下の僧侶たちは彼女の遺体を盗み出し、蘇らせるため砂漠の奥深くの死の都ハムナプトラへと運び去った。

 ハムナプトラはエジプト王家の墓所であり、王家の宝物が眠る場所だった。
イムホテップはそこで手にした”死者の本”で、蘇りの儀式を行う。

しかしあと少しというところで、追ってきた王の衛兵に捉えられ、イムホテップは古代の呪いの中でも最悪の”ホムダイ”という刑に処され、生きたままミイラとされ、永遠に死ねない状態で石棺に封じ込まれる。

 1923年のハムナプトラ、3000年余の間、人間たちは絶えず戦いを繰り返えしていた。
地下に眠る悪魔に気がつかずに。

そしてまた繰り返される戦いの中、崖の上ではその様子を静かに監視している、ファラオの護衛隊の子孫たち”マギ”がいた。

 さらに3年後のエジプトのカイロでは、古代博物館で図書館員をしているエヴリン(レイチェル・ワイズ)のもとに現れた兄ジョナサン(ジョン・ハナ)が、誰かから盗んできた小さな箱のような物を妹に手渡す。

エヴリンは箱の中に隠されていた伝説の都ハムナプトラへの地図を見つけ出し、館長に大発見を報告するが、そんなものはあるはずがないと、地図を半分燃やされてしまう。

 肝心のハムナプトラへの場所が燃えてしまったことで、エヴリンはジョナサンが盗んだという男がいる、カイロ刑務所に会いに行く。

刑務所に投獄されていたその男は、先のハムナプトラの戦いで一人生き残ったリック・オコーネル(ブレンダン・フレイザー)。

エヴリンはハムナプトラの分け前をやると刑務所長に約束し、絞首刑寸前のオコーネルを釈放させる。

 カイロのギザ港では、オコーネルにエヴリン・ジョナサンと刑務所長も加わり、ハムナプトラへ向け出港した。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1999年/アメリカ/124分
  • 監督・脚本:スティーブン・ソマーズ
  • 製作:ジェームズ・ジャックス/ショーン・ダニエル
  • 音楽:ジェリー・ゴールドスミス
  • キャスト:ブレンダン・フレイザー/レイチェル・ワイズ/ジョン・ハナ/ケビン・J・オコナー/アーノルド・ボスルー

レビュー

 エジプトのミイラを題材に、インディ・ジョーンズ以来の冒険活劇映画として、世界中で大ヒットした『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』をBlu-rayにて鑑賞。

 公開当時、この聞き慣れないタイトルながら、他に観るものがなくレイトショーでガラガラの劇場へ飛び込みで観たことを思い出す。

予告編も観たこともなく、予備知識なしのまっさらで観る映画の楽しさを堪能し、翌日誰かに教えてやろうとするも、この”ハムナプトラ”という単語が”ハムなんとか・・・”としか浮かんでこなかったというオチもまた懐かしい(^^)

 個性的なキャラックターたちが繰り広げるコミカルなドラマ部分も楽しいが、やはり臨場感あふれるSFXと融合したワクワクのアクションシーンが素晴らしく、テンポ良く一気にラストまでテンションを上げ続けてくれる。

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今では当たり前の実写と見まがうほどのSFX技術も、当時はいかにも合成してるなって作品が多い中、本作はオコーネルが次々と襲いかかってくるミイラたちを、ワンショットでぶった切っていくシーンを始め、絶妙のバランスで人間とCGがシンクロしている。

徹底的に人体の仕組みを分析し、骨や筋肉の動きまでも忠実に再現されたミイラの質感と動きは、こそばゆいほど細かく、リアルに生々しい(笑)

 主人公のリック・オコーネル演じるブレンダン・フレイザーの、「きっと忘れない」の野暮ったさをまったく感じさせない力強さと、「ジャングル・ジョージ」で開花したユーモアのセンスと、たくましいタフさがみなぎる体つきに、”いいやつ”の空気をまとったナイスガイぶりが、作品のイメージにピタリとはまる。

インディとはタイプの違う、勢いと力尽くでピンチを切り開いていく主人公を、全開で演じている。

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 またヒロインのエヴリンを演じるレイチェル・ワイズも、初めて見る女優さんで、眉毛の形からマリリン・モンローを彷彿とさせるキュートな笑顔がとっても素敵で、どこか子供っぽさを感じさせるところも好きだなあ。

つくづく、こういうアドベンチャー作品には、可愛らしい魅力的なヒロインで、作品のイメージが決まってしまうものだと、改めて実感する(^^)

そんなレイチェル・ワイズも、今では007(ダニエル・クレイグ)と結婚し2児の母親となっているとは、なんだか時代の流れを感じてしまう。

 元々は1930年代に「ドラキュラ」や「フランケンシュタイン」など、ユニバーサル映画製作で大ヒットしたモンスター映画のひとつ、「ミイラ再生」という古典映画のリメイクとして企画された作品だった。

ただスティーブン・ソマーズ監督の意向で悪夢のように怖いが、気持ち悪くならないようなミイラということで、血をまき散らしたりグロいシーンはほぼなく、とにかく映画のトーンが明るいのが本作の特徴。

ただ評論家たちからは、このエジプトのミイラを題材にしてることから、クラシカルなムードがないやら、漫画のようなキャラクターに辻褄の合わない脚本とか、さんざんに酷評される。

そこで自分ではまったく感じなかった脚本がつじつまが合わないって、どの辺のことをいってるんだろうと考えてみる。

たぶんすべての発端がオコーネルが持ち帰った鍵であったことなど、最大の厄災をもたらすイムホテップの蘇りを阻止する”マギ”という組織が、まったく機能していなかったことかな?

最初にオコーネルを始末しておけば終わっていたかも(笑)

まあ私的にはそんなことはどうでもよく、むしろオコーネルをはじめ、敵役のイムホテップにいたるまで、キャラクターの厚みがちょっと薄かったかなあ、なんて感じた。

なので私の一番のお気に入りは、オコーネルを裏切りあろうことかイムホテップに寝返り、悲惨な最期を遂げてしまうベニー(ケヴィン・J・オコナー)で、その狡さと欲望に忠実な人間くささがたまらなく愛おしい(笑)
このキャラクターは残して欲しかったなあ。

 大ヒットとなった本作は以降シリーズ化され、「ハムナプトラ2/黄金のピラミッド」に「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」と、さらにスピンオフ作品として「スコーピオン・キング」が公開される。

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