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映画『ポセイドン・アドベンチャー』レビュー ★★★★

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 乗客1400名を乗せて豪華客船ポセイドン号は、12月にニューヨークを出港し、ギリシャのアテネへ向けて大海原を航海していた。

 途中大きな嵐にあい、大きく傾く船体に危険を感じた船長は、スピードを落とし船体を安定させるためにバラストを注入しようとする。

しかし船主代理人は老朽化により到着後解体の予定となっていたポセイドン号のため、既に現地に待機させている作業員を待たせるだけで一日数千ドルがかかるといい、全速前進で向かえと命じる。

 食堂の大ホールでは、乗客達が集まってニューイヤーを祝うパーティを楽しんでいた。

その真っ最中に、ポセイドン号にアテネの地震観測所から、マグニチュード7.8の海底地震発生の通信が入る。

地震により発生した大津波の接近を確認した船長は、サイレンを鳴らし、無線員へ遭難信号を出せと命じる。

左前方からやってきた津波は高さ30mとなり、一瞬で飲み込まれたポセイドン号は転覆してしまう。

上下逆さまになっていく船内では、壁にたたきつけられるものや、落下してきたテーブルや機材の下敷きになるもなど、そこら中で悲鳴が上がる大パニックとなっていた。

明かりの消えた大ホールの中、途方に暮れる乗客たちに向かってパーサーは、その場を動かずにここでじっとして救援を待つよう言い聞かす。

牧師のスコットはこのままここで死を待つより、船底に向かって上がっていこうと乗客達に呼びかけるが、ほとんどのものがパーサーに従うと拒否されてしまう。

 スコットの提言に従いツリーを登っていった9名が登り終えると、再び爆発が起き大ホールに大量の水が流れ込んできた。

パニックの中ツリーに群がった乗客のせいで、ツリーは倒れてしまい、もはやどうすることも出来なくなり、浸水してきた洪水に飲まれ逃げ惑う人たちを背に、スコット達は脱出口を求めて前へ進んでいく・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1972年/アメリカ/117分
  • 監督:ロナルド・ニーム
  • 製作:アーウィン・アレン
  • 脚本:スターリング・シリファント/ウェンデル・メイズ
  • 特殊視覚効果:L・B・アボット
  • 原作:ポール・ギャリコ
  • 音楽:ジョン・ウィリアムズ /アル・カシャ/ジョエル・ハーシュホーン
  • キャスト:ジーン・ハックマン/アーネスト・ボーグナイン/レッド・バトンズ/キャロル・リンレイ/シェリー・ウィンタース/ステラ・スティーヴンス
  • 主題歌:モーリン・マクガヴァン「モーニング・アフター」

レビュー

 莫大な製作費をかけ、精巧な巨大セットに有名俳優をキャスティングして作られたパニック大作の先駆けとなった、ロナルド・ニーム監督作『ポセイドン・アドベンチャー』をBlu-rayにて鑑賞。

 突然起きた地震により発生した大津波に襲われ、転覆してしまった豪華客船ポセイドン号の船内で、牧師スコットの意見に従って生き残った数名の乗客たちは、脱出へのサバイバルに向けて、炎と屍を乗り越えて進んでいく・・・。

 まず久しぶりに観ると冒頭の模型と丸わかりのポセイドン号にいきなり、ええっ!なんて思った(^^;)

まあそこは最初だけで、カリフォルニアに今は停泊しホテルとなっているクイーン・メリー号の甲板での撮影や、設計図を元に忠実にハリウッドのスタジオに再現された客室や機関室などの豪華なセットと、終始微妙に揺れているカメラにより、実際に航行している豪華客船に乗船しているような感覚にさせてくれた。

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 当時はCGの技術などもなく、本物の炎や爆発に大量の水を使った過酷な環境の中、俳優達がずぶ濡れになりながらも生身でアクションを体当たりで挑む姿に圧倒される。

キャストやスタッフとこの作品に携わった人たちの熱いエネルギーが画面から伝わってくる。

スコットを演じるジーン・ハックマンが、少年を抱えて脱出口へ向かうシーンでは、本当に沈没しているように急激に水かさが上がり、その勢いに飲み込まれているようなシーンもあり、息詰まる脱出劇は見せ場の連続だった。

さらにそんな派手なアクションシーンだけではなく、登場人物達の関係や心の動きを繊細に描写する演出が素晴らしく、すべてのキャラクターに思いを乗せて観ていくことになる。

 冒頭天候が回復した船上で、乗客達を集めスコットが説教をするシーンがあるが、そこでスコットが言う。

”苦しいときに神に祈らないこと
内なる神に祈れ
勇気を持って戦え”

主人公が牧師ということもあり、作品の根底に流れるテーマは信仰心という名の信念と、まるで神が与えたかのような試練に立ち向かう勇気。

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特典映像のメイキングについて

 Blu-rayの特典映像がとても充実していて、公開から30年後のメイキングなどが収録されていた。

その中でまずキャスティングについて、私も感じていたんだけどなぜ売れている若手を使わず、あえてベテラン俳優をそろえたのか。

製作のアーウィン・アレンが重視したのが、人気の絶頂を過ぎてもその役者の演技力だったとのこと。

また当時20世紀フォックスが、ミュージカル映画の不振が続き、経費削減のため「ポセイドン・アドベンチャー」の製作を、撮影開始2週間前に社長がアレンへ中止を告げたなんて話が。

それでもアレンはあきらめず製作費500万ドルの内、半分を20世紀フォックスに出資させ、残りの半分は自分で調達して再開させたという裏話も初耳だった。

撮影については、あの転覆シーンで大ホールがひっくり返るシーンは、セットの端をフォークリフトで持ち上げて床を傾け、みんなを振り落としたなんて、プロダクション・デザインのウィリアム・クーリーバーが楽しげに語っていた。

メイキングの中でしきりに、スタッフやキャストが安全第一で撮影していたので、ケガしたものは一人もいなかったなんていっていたが、実際はどうだったのかなあ(^^;)

また最も印象的なシーンとなった、水の中で鉄のドアに挟まれ動けなくなったスコットを、果敢に飛び込んで救出したベルを演じたシェリー・ウィンタースの、潜水シーンについての裏話もしっかり入っていた。

彼女はふくよかなベルになりきるため体重を15キロ増やし、自分で演じると言い張った潜水シーンのために、2ヶ月をかけてプールで特訓したとのこと。

シェリー・ウィンタースは本作で見事ゴールデングローブ賞 の助演女優賞を受賞する。

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そして見終わった後一番気になっていた、驚くほどあっさりしたエンディングについても語られていてた。

予定ではやはり上空から転覆した船を撮影するはずだったらしいんだけど、予算をどうしても守ろうとしたアレンが、撮り直しを承諾しなかったとのこと、残念。

今このレビューを、モーリン・マクガヴァンの「モーニング・アフター」を聞きながら書いている。
見事第45回のアカデミー賞歌曲賞を受賞しましたね、素敵な曲です。

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