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映画『遠い空の向こうに』レビュー ★★★★☆

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 ”1957年10月4日、ソ連は人類初の人工衛星スプートニクの打ち上げに成功した”

 ウエスト・バージニア州コールウッドの町で、ラジオから流れる臨時ニュースに耳を傾ける住人達と、この町を支える炭鉱へと向かう炭鉱夫達。

 その翌日、この町に住む高校生のホーマー・ヒッカム(ジェイク・ギレンホール)は、友人のロイ・リー・クックとシャーマン・オデルが待っていた車の中に急いで乗り込むと、遅れているんで飛ばしくれという。

ビッグ・クリーク高校で行われていたフットボールの入部テストに参加したホーマーだったが、スクラムでことごとく跳ね返され入部は叶わず、なんで奨学金は運動部だけなんだと嘆く。

 一方炭鉱の地下深く、暗い採炭所では現場監督を務めているホーマーの父ジョン(クリス・クーパー)は、炭鉱夫達に厳しく作業指示を出していたが、離れた場所で作業をしているジェンセンを目にした途端走り出す。

「ジェンセン 危ない!」とジョンが飛びつくと、天井が崩れ落盤が起きる。

大勢の炭鉱夫達が騒然とする中、落盤で下敷きになる寸前にジョンに助けられたジェンセンが、担架で運ばれてくると、ちょうどそこへやってきたホーマーは、炭鉱夫達から称えられる父親の姿を見る。

ジョンはホーマーに気がつくと、入部テストに合格したかと聞いたが、何も答えないホーマーに、「だから夏休みにここでバイトしろと言っただろう」と言い残し、そのまま現場へと戻っていった。

 教室では担任のミス・ライリー(ローラ・ダーン)が、スプートニクから発信された信号音を生徒達に聞かせている。

ライリー先生はスプートニクの誕生で人類の歴史は塗り替えられると語るが、ホーマーも含めほとんどの生徒達は興味を示さず、唯一数学オタクのクエンティンだけは、その偉業に興奮していた。

そしていよいよコールウッドの町の上空をスプートニク通過する夜、町中の人々は星が輝く夜空を見上げていた。

「あれだ、見えたぞ!」

急いで空を見上げたホーマーの遙か頭上を、一筋の美しい光を発して移動していくスプートニク。

ホーマーは一瞬で心を奪われ、光が見えなくなってもその場から動けなかった。

 朝食を食べながら父と兄が次の試合の話で大いに盛り上がっている中、ホーマーは突然「僕はスプートニクみたいなロケットを作る」と宣言し、全員があっけにとられる。

ホーマーはさっそく友人のロイとシャーマンを巻き込み、庭でロケット花火30個の火薬を詰めた手作りロケットに点火するが、そのまま爆発してしまい、柵を壊してしまう。

爆発音を聞いて慌てて飛び出してきた母は、ホーマーに二度としないでという。

 ホーマーはロケットに関する資料を、町の本屋や学校の図書室を捜すが見つからない。

行き詰まったホーマーはある決心をして、食堂の離れた席でひとり食事をしていたクエンティンの前の席に座ると、ロケットの全てを知りたい声をかける。

 ホーマーの家の地下室に集まった4人は、空高く打ち上がるロケットの製作に取りかかった。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1999年/アメリカ/108分
  • 監督:ジョー・ジョンストン
  • 脚本:ルイス・コリック
  • 原作:ホーマー・ヒッカム・ジュニア
  • 音楽:マーク・アイシャム
  • キャスト:ジェイク・ギレンホール/クリス・クーパー/クリス・オーウェン/ローラ・ダーン/ウィリアム・リー・スコット/チャド・リンドバーグ

レビュー

 NASAのエンジニア、ホーマー・ヒッカム・ジュニアの自伝小説「October Sky」を映画化した、ジョー・ジョンストン監督作『遠い空の向こうに』をBlu-rayにて鑑賞。

 ウエスト・バージニア州の炭鉱の町に住むホーマーは、ソ連が人類初の打ち上げに成功した人工衛星スプートニクが、光となって夜空を横切る姿を見て心を奪われる。

家族に自分はロケットを打ち上げたいと宣言したホーマーは、友人たち3人と一緒にロケット製作に取りかかったが、何度も失敗を繰り返す中、息子が自分と同じ炭鉱夫になってくれることを期待していた父ジョンと対立してしまう。

それでもロケット打ち上げをあきらめきれないホーマーは・・・。

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 冒頭、”これは真実の物語”というクレジットが入る。

ロケット打ち上げでサイエンスフェア受賞を目指した高校生”ロケット・ボーイズ”たちの、決して夢をあきらめない姿を描いた青春ドラマ。

 炭鉱の町に育ち、将来は漠然と自分も炭鉱夫になるんだろうと思っていた高校生のホーマーの前に、まったく違う道を照らす光が現れる。

人類初の人工衛星が見せた鮮やかな輝きは、一瞬でホーマーの心を虜にし、炭鉱夫ではなく本当に自分の目指すべき宇宙への夢を描かせた。

誰もがその瞬間を渇望するだろう、自分の目指すべき夢に出会う瞬間に、それを観ている自分も胸をときめかし、ホーマーが自分の夢に出会えたことの喜びを共感していた。

ただ物事はそう簡単にはいかず、ホーマーと3人の友人たちは、力を合わせてロケット打ち上げを試みるも、やはりスキル不足で何度も失敗を重ねる。

それでも現状を打ち破り、新たな夢と希望を胸に努力を重ね、友情を育んでいくロケット・ボーイズたちの姿は、青春という熱いきらめきをまとい、ただ観ているだけで眩しく、そしてなにより心地いい(^^)

そしてそんな若者達の姿を見ていた町の住人達も、いつしか彼らから目が離せなくなり、担任のライリー先生や炭鉱の大人たちをはじめ町中をあげて応援していくことに。

自分たちが持つことさえ叶わなかった夢に向かう若者たちに、大人たち自らの夢をのせていくように。

 ただみんなに暖かく応援され夢を目指していくホーマーの前に立ち塞がるのが、ホーマーの父ジョン。

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ホーマーは自分が必死に取り組んでいること、目指している夢をジョンに認めて欲しいと願う。

一方ジョンは、自分が誇りを持って働いている炭鉱の仕事に、少しでもいいので目を向けて欲しい、炭鉱の仕事を継いで欲しいと息子に願う。

そんな親子の対立は胸が苦しくなるほど切なく、特にジョンの生き方さえも否定してしまうホーマーに、なんだか腹が立ってくる。

なあんて感じさせる度に、資材を提供したりさりげなく息子を援助する父だったり、厳しくも自分への愛を感じている息子の姿がさりげなく描かれているため、それほど重く感じさせないという絶妙な演出が際立つ。

ロケットが山火事の原因となったと嫌疑をかけられたり、ジョンが事故で入院することになった代わりに、炭鉱へ入ることになったりするホーマーだったが、そんな試練を乗り越え、ジョンと対立したままだったが、サイエンスフェア出場を獲得するロケット・ボーイズ・・・。

【ここからラストまでネタバレ】


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 サイエンスフェアに出場したホーマーは、見事最優秀賞を受賞し金メダルを手にする。

町へ戻ったホーマーは、町中の人たちに出迎えられ祝福されるが、そこにジョンの姿はなかった。

そんな時、現場で働いているジョンのもとを訪れたホーマーは、最後のロケット発射があるので見に来て欲しいと伝えるが、ジョンは仕事が忙しいと断り、かわりにサイエンスフェアであったヒーロー(フォン・ブラウン博士)はどうだったかと尋ねる。

それを聞いたホーマーが答えるシーンが最高に素敵な瞬間だった。

”「僕の目標は父さんみたいになること、(彼は)僕のヒーローじゃない」”

頑固で一方的に自分の想いを押しつけてくる父親だけど、過酷な炭鉱の仕事を続け、仲間の炭鉱夫からも信頼されている父親の背中をしっかりと見ていたホーマー。

そしてラストのロケット打ち上げに、初めてジョンはやってきた。

ミス・ライリーと書かれた最後のロケットの、点火スイッチをホーマーから手渡されたジョンは、みんなのカウントダウンの声に合わせてボタンを押す。

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空高く飛び立ったロケットと、対立しながらも父親は息子を応援し、息子は心から父親をリスペクトするふたりの姿に、ラストは久しぶりに涙ボロボロの大号泣だった(^^;)

夢を持ち続けること、そして夢を追い続けることの尊さ。

年甲斐もなく、己の未だに捨てきれない夢を想い、不思議な活力が沸いてくる、そんな素敵な作品だった。

 ただし、エンディングで当時のビデオムービーが流れ、その中で実際の登場人物の映像とその後のことが字幕で紹介されたんだが、名前をしっかりと憶えてなかったので、瞬間的に誰だったかが結びつかず悶々とした気分でエンドロールを眺めることになってしまう(^^;)

涙するほどの感動と、いい作品を観たという満足感が、ふわふわ~っと飛んでいった気分に、次の日もう一度観て、最後は忘れないように書き出してみた(笑)

 ”ロケット・ボーイズは全員大学を卒業。

現在、クエンティンは石油関係のケミカル・エンジニアに、ロイ・リーは銀行業を引退して、車の販売店を経営し、オデルは牧場業・保険業も営んでいる。

母のエルシー・ヒッカムはあのマートル・ビーチで老後を送っていて、父のジョン・ヒッカムは1976年に黒肺塵病で亡くなっている。

担任のフリーダ・ライリー先生は、残念ながらホジキン病で31歳という若さで他界してしまう。

そして主人公のホーマー・ヒッカムはNASAのエンジニア、そしてスペース・シャトルの乗組員訓練を行っている。”

 二回目もラストはポロポロと涙が流れる感動を与えてくれた作品だったが、ちょっと気になる点がひとつ。

なんでこの作品のポスターは、こんなにもわかりにくいポスターだったのか(笑)

4人の若者達が主役だったし、親子の物語でもあったのに、なぜライリー先生役のローラ・ダーンが全面に出ているのか(^^;)

絶対違うポスターがあると探してみた。

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昔のレーザーディスクのジャケット写真で、私の思っていたイメージの要素は入っていたが、なんだかすっきりしない(笑)

Blu-rayの特典映像について

 Blu-rayの特典映像で「夢をあきらめない ロケット・ボーイズの物語」として、映画公開後に原作者のホーマー・ヒッカム・ジュニアをはじめロケット・ボーイズの4人が久しぶりに再会し、当時を振り返るという31分のドキュメントが収録されていた。

山火事の犯人にされかけたり、最後のロケット打ち上げで、父親に発射ボタンを押してもらったことをはじめ、本作で描かれたエピソードが実際に起きとことを描いていたことを知り、そのドラマチックさにさらに感動してしまった。

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また町の人が作り直した避難小屋の窓から、久しぶりに集まった4人の顔が映画のシーンと同じように並ぶシーンも、よかったなあ。

一番面白かったのは、あの生徒たちに高望みをさせるなとか、かなりロケット・ボーイズたちに否定的だった当時の校長先生が、ホーマーに紹介されて登場したシーン(笑)

「実は彼らに期待していた」と当時を語る校長を、ホーマーは優しいまなざしで見つめていた。

そして自分たちは設計だけで、炭鉱所の機械工の人たちがほとんどの仕事をやってくれて、材料もほとんど石炭会社のもので、自分たちだけでは決してここまで出来なかったと、当時自分たちを応援してくれた人たちに感謝の気持ちを語っていた。

 また、「撮影風景」というタイトルで、しっかり撮影風景や監督やジェイク・ギレンホールやローラ・ダーンのインタビューなどがはいっている貴重なドキュメントも収録されていた。

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