映画『ザ・エージェント』レビュー ★★★★

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あらすじ

 プロ選手のマネージメントを行うSMI(国際スポーツ・マネージメント)は、従業員33人のエージェントで、世界最高の1685人のプロ選手を仕切っている。
なかでもエースとして活躍するジェリー・マグワイア(トム・クルーズ)は、72人の選手を担当し、一日に受ける電話の数は平均264回と多忙を極めていた。

 ある日ジェリーは、試合中に脳しんとうで倒れたフットボール選手の見舞いに訪れた病院で、父親の体を心配する息子に、笑いながら彼は誰にも止められないと冷たい態度をとり、「おまえは最低だ」と罵られる。

ジェリーは次第に金儲けのために、選手を道具のように扱っていたんではないかと、自分に問いかけるようになる。

そんな自分が嫌になり沈んでいたある真夜中、突然提案書が頭に浮かんできた。
業界の未来について、昂ぶった感情のまま書き殴った提案書は25ページにも及び、勢いのままジェリーはすぐに提案書を製本し、SMIのエージェント達に配ってしまう。

 翌朝恐る恐る出社したジェリーに、社員達は「勇気がある!」と拍手喝采を贈りながらも、「クビか?」「一週間だ」とささやき合う。
数日後同僚のボブ・シュガーに昼食に誘われ、そこでいきなり「君はクビだ」と告げられる。

いよいよ会社を去ろうとするとき、ジェリーは新会社を作るが一緒に来るものはいないかとみんなに問いかける。
静まりかえった事務所の中、自分の部下だった女性にも断られ、ひとり立ち去ろうとした瞬間、ただ一人経理部のドロシー・ボイド(レネー・ゼルウィガー)が「一緒に行く」と声を上げる。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1996年/アメリカ/139分
  • 監督・脚本:キャメロン・クロウ
  • 音楽:ダニー・ブロムソン
  • キャスト:トム・クルーズ/キューバ・グッディング・ジュニア/レネー・ゼルウィガー/ケリー・プレストン

レビュー

 ”ショー・ミー・ザ・マネー!”

トム・クルーズ主演、「セイ・エニシング」「シングルス」のキャメロン・クロウ監督作品『ザ・エージェント』をBlu-rayにて鑑賞する。

 本作は第69回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞・助演男優賞(受賞)・脚本賞・編集賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞では見事作品賞と主演男優賞を受賞するなど、数々の映画賞に輝いた名作。

なによりどの出演作もカッコいいトム・クルーズが、つまずいてひっくり返ったり、追い込まれて取り乱してしまうなど、まさかのかっこ悪い姿をみせてくれる貴重な作品です(^^;)

 会社のエースとして活躍していたジェリー・マグワイアは、金儲けのためにクライアントを道具のように扱っていた自分が嫌になり、衝動のままに業界の未来についての提案書を社内で配ったことでクビになってしまう。

新しく会社を立ち上げたが、従業員はひとり一緒についてきてくれたシングル・マザーのドロシーと、クライアントはフットボール選手のロッドただ独りだけだった。
ジェリーは自由奔放なロッドに振り回されながらも、次第に恋に仕事に自分にとって本当に大切なものは何かを知っていく。

 人は衝動的に行動を起こすと、悲しいかな失敗することが多い。

よく人は失敗をして学ぶことがあり、失敗を恐れることはないなんてよくいわれるが、挫折を味わって分かるものって何だろう。
本作を観ていると、そんなことを自身に問いかけさせてくる。

失敗した後は後悔しかないが、本作は失敗したからこそ学ぶことがあり、一旦立ち止まることで見えてくるものや、新しい出会い、そして本当に大切なものを知る。

むしろ失敗して良かったと思えるように、その失敗を乗り越えポジティブに進んで行くことに、価値があるんだと思わせてくれる。

かなり楽観的だけど(^^;)

 キャスティングについては、まずトム・クルーズ主演作となると、周りの俳優がトム・クルーズを引き立てるような役回りになり、良くも悪くもトム・クルーズだけ浮いた印象になる作品が多い。

ただ本作はどのキャラクターも個性的で、逆にトム・クルーズが彼らの引き立て役とまではいかないが、それぞれがドラマの中で調和がとれていて、トム・クルーズと他の出演者が絶妙に共鳴し合っていた。

「トップガン」に「ミッションインポッシブル」と既に大スターのトム・クルーズに、当時あまり知名度のないレネー・ゼルウィガーキューバ・グッディング・ジュニアなど、意図的に新鮮な顔ぶれで脇を固めた監督の狙い通りに、そこにはトム・クルーズではなくジェリー・マグワイアがいた。

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 ただ本作でも唯一トム・クルーズらしいシーンがある。

それはロッドが試合中にタックルされ頭から落ちて気を失うシーンで、心配したジェリーがロッドの元へ全力で駆け出すシーン(笑)
ああ、やっぱりトムだよ!
 
そして本作で初のメジャー作品に抜擢されたレネー・ゼルウィガーの、若いシングルマザーという難しい役どころを、トム・クルーズ相手に物怖じせず演じ上げたナチュラルさは高く評価され、本作からハリウッドで注目される女優さんになりましたねえ。

美人ではないが、いわゆる感じのいい身近な女性の、やさしい空気を醸し出す様子がとても可愛らしく、みていて愛おしくなっていく魅力がとても素晴らしかった。

キャメロン監督も、「彼女には善良さがあり、媚びたところがなく、淡泊すぎることもない」とその演技を特典映像で絶賛していた。

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 さらに陽気で家族思いで、友情にも厚い唯一のクライアントとなったアメフトのロッド・ティドウェル役を、騒がしいがどこか憎めない可愛げのある男に昇華させた、キューバ・グッディング・ジュニアは、第69回アカデミー賞の助演男優賞を見事受賞する。

よく考えると、エージェントが優秀だったわけでなく、ロッド自身の才能が開花しただけなんだけど、彼の活躍をジェリーと一緒に、自分も喜びを共有していることの心地よさといったら(^^)

他に口は悪いが妹思いのドロシーのお姉ちゃんとか、ドロシーの息子レイのかわいらしさや、ロッドの妻や弟など、ずっと根底にアットホーム感が流れているところもいい。

 エージェントとクライアントという関係を超えて交わす友情に、挫折のなかで唯一自分に共感し、支えてくれる女性との出会い。

周りに流されず、自分の信条に従って行動を起こすことの難しさと尊さ。

そしてそこからたどり着く成功への道に、ラストは爽やかな幸福感が味わえる素敵な作品だった。

特典映像のインタビュー集について

 Blu-ray(20周年アニバーサリー・エディションの特典映像のなかに、公開20周年を記念してという40分ほどの映像があり、キャメロン・クロウ監督やトム・クルーズにレネー・ゼルウィガーのインタビュー映像があり、この作品のファンにとっては最高の特典だった(^^)

 当時スポーツ・エージェント業界は金儲け至上主義で、とにかく年俸をつり上げるとかCM契約を獲得するために、選手を商品扱いし、無理にでも試合に出場させたりする契約交渉を行っていたという実態があったとのこと。

キャメロン・クロウ監督が、以前有名な映画製作者のJ・カッツェンバーグが、映画業界の状況について書いたメモが流失して公表されたというエピソードが刺激となって、この”無情な業界の物語”の着想に至ったとインタビューで語っていた。

 さらに貴重な映像というか、音源が収録されていた。
それはキューバの出演が決まり、脚本の読み合わせがあったが、トムの都合がつかず、代役としてまさかのロビン・ウィリアムズが代役で現れ、その時の楽しそうにみんなが読み合わせをしている声がしっかり収録されていた。
読み合わせが終わると、テーブル越しにキューバとロビン・ウィリアムズは抱き合ったとのこと。

ふとジェリー役をロビン・ウィリアムズが演じていたらと思うと・・・、いやいや、やっぱりトム・クルーズだよね(^^;)

そしてなんとジェリーが書いたあの提案書を再現したブックレットが、特典として封入されていた(笑)
その提案書の表紙の裏には、
”キャメロン・クロウは企画書代わりにまずこの提案書を作成したという”
なんてことが書いてあった。
小さい文字でびっしり16ページ、いまだに読んでいない・・・。

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