あらすじ
パジャマ姿の若い女が、帽子をかぶった赤と緑のボーダーのシャツに、手に鋭いカギ爪を付けた不気味な男に追われている。
不意に背後から現れつかみかかる男に、絶叫する女。
驚いてベッドから起き上がったティナに、心配して寝室に入ってきた母親が「大丈夫?」と声を掛ける。
ティナは夢を見たと答えるが、「そのパジャマどうしたの?」といわれ、自分の胸の辺りの生地を何かに切り裂かれていることに驚く。
翌朝、ティナは悪夢で眠れなかったと親友のナンシー(ヘザー・ランゲンカンプ)に相談すると、そのかぎ爪の男はナンシーとボーイフレンドのグレン(ジョニー・デップ)の夢にも現れていた。
不安がるティナのために、ナンシーはグレンと、ティナの恋人のロッドの4人でティナの家で夜を過ごすことになる。
やがて夜も更け、眠りについたティナの夢の中に、あの不気味な男は現れる・・・。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:1984年/アメリカ/91分
- 監督/脚本:ウェス・クレイヴン
- 音楽:チャールズ・バーンスタイン
- キャスト:ヘザー・ランゲンカンプ/ジョン・サクソン/ロバート・イングランド/ジョニー・デップ
レビュー
「13日の金曜日」のジェイソンと共に、80年代のホラーブームを築いた殺人鬼フレディー・クルーガーの記念すべき第一作となるウェス・クレイヴン監督作『エルム街の悪夢』をBlu-rayにて鑑賞。
何かの同時上映だったと思うけど、私はこのシリーズの3作目を劇場で観た事があるんだけど、そんなシリーズの中でも一番評価の高い一作目を今見たらどうなんだろう思い、久しぶりに見ることに(^^)
ティーンエイジャーたちの夢の中に、突然鋭利な鉄の爪で切りかかってくる顔が焼けただれた男があらわれ、その夢の中で受けた傷が現実のものとなるというユニークな発想で、当時新たなスラッシャー映画として大ヒットした。
この今登場人物たちがいる世界が、現実なのか夢の中なのかが分からないという演出が絶妙で、その曖昧さで混乱させられていくストレスも心地いい。
また様々なシチュエーションで現れるフレディの、力ずくではない凝りに凝った仕掛けと殺害方法は、新たにギミックホラーなるジャンルを確立する。
まず主人公と思われていたティナが、始まって早々に血だらけで天井をのたうちながら切り裂かれるシーンに目をみはる。
フレディに追いかけながら走って逃げていくティナの、あまりに緊張感のない流しているようなノタノタした走りに失笑してしまったが、この天井を見えない何かに襲われている姿の異様さが抜群に素晴らしかった。
さらに死体の口からムカデが這い出したり、浴槽の湯船の中から現れるカギ爪など印象深いシーンも多い。
ただ、いきなり後ろから現れて襲ってくるというパターンが、ちょっとしつこい(^^;)
観ているほうは、「後ろ後ろ!」って思ってると、後ろから出てくる(笑)
もっとリアルで残酷なシーンに目を慣らされている今見ると、若干のチープ感はぬぐえないが、当時はかなりの衝撃だったろうなあ。
それにしてもフレディの顔が、こんなにはっきり見えてなかったとは意外だった。
こういう映画では、顔は命なんだけどなあ。
キャスティングについては、やはり低予算映画のため、ほとんど知らない俳優さんばかりだった。
主人公ナンシー役のヘザー・ランゲンカンプも、初めて見る女優さんだったが、時折見せるブルック・シールズを思わせる顔立ちも、やはりホラー映画のヒロインとしての華のなさが惜しい(^^;)
そんな中、キャスティングでいうと本作は映画好きには注目の作品なんだよね。
そう、本作はあのジョニー・デップの映画初出演作なのだ。
彼のコスプレ好きは、この映画の影響が多分にあるんじゃないかなあ(笑)
本作のヒットを受け「エルム街の悪夢」はシリーズ化され、6作目の「エルム街の悪夢 ザ・ファイナルナイトメア」が完結編として公開されたが、2010年にこの第一作目のリメイクが公開された。
Blu-rayの特典映像について
Blu-rayの映像特典で、メイキングなどが入ったビハインド・ストーリーと、もうひとつのエンディングというものが入っています。
監督始めスタッフやキャストが当時を振り返るメイキングは、約50分ほどもあり、なかなかの見応えでした。
こういうしっかりしたメイキングが観れると、作品に愛着が沸き、すぐにもう一回観たくなっちゃうんですよねえ(^^)
メイキングの中でウェス・クレイヴン監督が、本作のアイデアはある悪夢を見たアジア系の若者が睡眠中に死んだという新聞記事だったと語る。
その若者は眠ると夢の中で殺されてしまうと家族に相談し、もう眠らないと言っていたが、ある日居間でうたた寝していた彼を家族が寝室に運んで寝かせた。
すると深夜に叫び声を聞き、あわてて部屋へ行くと彼は既に死んでいたいうもの。
・・・こわ~(^^;)
また新人のジョニー・デップの起用についてのエピソードもあり、ウェス監督が自身は4人の候補者の中別の俳優を推していたが、娘や友人がジョニーにすっかり夢中だったと笑いながら語っていた。
別エンディングについては、本編で使われたエンディングに追加で、車を運転するフレディが入ったパターンとか、何事もなく走り去っていく車のパターンとかがありました。
ただまあそんなにインパクトもなく、やはり公開されたバージョンのエンディングが一番いいかな(^^)
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