あらすじ
ケネディが提唱し続けた、60年代の内に人類を月に送り込むというアポロ計画が、1967年7月についにアポロ11号によって実現されようとしていた。
人類初となる月面着陸のTV中継は、当初カリフォルニア州ゴールドストーンにある設備を利用する予定だったが、打ち上げのスケジュールの遅れにより、急遽予備とし建設されていたオーストラリアのパークスにあるアンテナ”ディッシュ”を使うことになる・・・。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:2000年/オーストラリア/102分
- キャスト:サム・ニール/ケヴィン・ハリントン/トム・ロング/パトリック・ウォーバートン
- 監督:ロブ・シッチ
レビュー
人類が初めて月面を歩行するという瞬間が、世界中に生中継された時、遠く離れたオーストラリアの地でそのミッションを陰ながら支え続けた男たちを描いた『月のひつじ』を観る。
ジャケットの写真もそうだけど、タイトルからなにかおとぎ話を連想してしまうが、そんな子供向けの映画ではなく、実話を元に作られた作品で、当然主役は少年ではなくもちろん羊でもない(^^;)
オーストラリアの片田舎に、悠然とそびえ立つ直径63mにも及ぶ巨大パラボラアンテナ。
あの月面歩行という歴史的瞬間が、オーストラリアから中継されていたなんてまったく知らなかった。
所長のクリスを中心に、アンテナ操作担当のミッチに電子機器担当のグレン、そして管制センタとの連絡役としてやってきたNASAのアルは、迫り来るプレッシャーもあり、田舎の技術者とNASAのエリートという構図から、最初は些細なことで反発し合うんだけど、次第に成功に向けて力を合わせていく姿が、コミカルにそして感動的に描かれていく。
次々と襲い来るハプニングをチームで克服し、乗り越えていく技術者達の姿に、無事月面歩行の映像がTV画面に映し出されたシーンでは、いつしか涙が溢れていた。
キャスティングについても、サム・ニールを除けばあまり知られている俳優は出ていないんだけど、どの出演者もドラマチックに見せようという芝居がかったところがなく、肩の力が抜けたさりげない演技がとても気持ちよかった。
パークスの住人達に町長やその家族など、登場する総ての人達が素朴で温かく、作品全体を包み込む優しい空気がいい。
なにより人類の果てしない探究心と、月面着陸という世界中の人達の夢と英知が結集した瞬間に携わった、総ての人達に払われる敬意を強く感じさせる作りが素晴らしい。
あまり知られていない作品だけど、隠れた佳作っていう感じかな、とっても温かく素敵な作品だった。
また、このDVDの特典の中に、「アポロ11号 月面着陸の軌跡」というドキュメンタリーがあったんだけど、その中でケネディ大統領の演説シーンや、乗組員のメッセージとかの映像が挿入されていて、こちらも感動的な映像だった。
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このレビューをアップした時点で、残念ながらPrime videoでは配信されていません。(2022/08/14)
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