映画『ベスト・キッド』レビュー ★★★☆

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 母の仕事の都合で、住み慣れたニュージャージーからカリフォルニアへ引っ越すことになった17歳の少年ダニエル(ラルフ・マッチオ)。
長い道のりを車で移動し、やっと到着した新しい住まいに母はテンションを上げるが、ダニエルはまだ故郷との別れを惜しんでいた。

 アパートの部屋に入るとすぐに蛇口が壊れていることがわかり、母から近所に修理してくれる人がいるからとダニエルは頼まれる。
ダニエルは階段の横に座っていた口の悪いおばさんに教えてもらった管理人の部屋を訪ねると、中にいた頭に鉢巻きを巻き、箸で目の前の何かを挟むようにパチパチといわせていた初老の男が振り返る。
一瞬たじろいでしまったダニエルだったが、蛇口の修理を依頼するとその老人は「あとだ」といったきり背を向けてしまった。

 翌日同じアパートに住むフレディに誘われたビーチ・パーティで、みんなでサッカーをしているとダニエルはひとりの少女アリ(エリザベス・シュー)に目を奪われる。
日も暮れみんなが砂浜で食事を楽しんでいるなか、フレディや仲間からアリに声を掛けろと冷やかされるダニエル。
思い切って声を掛けたダニエルに、アリはサッカーボールのリフティングを教えてと、すぐに意気投合したふたりだったが、そこへ数台のバイクが通りかかる。

 アリの元彼のジョニー(ウィリアム・ザブカ)は、ダニエルと楽しそうにしているアリの姿を見て激高し、砂浜にバイクで走り込んでいくと、アリに怒りをぶちまけ、そこへ止めに入ったダニエルも突き飛ばした。
ダニエルは果敢に立ち向かったが、ジョニーに一方的に打ちのめされてしまう。

 次の日サングラスで殴られた痕を隠して登校したジョニーは、学校の前でたむろしているジョニーたちを見かけ愕然とする。

そこでダニエルは街のカラテ道場に入門しようと見学に行くが、そこに自分を見てニヤリと笑うジョニーをみつけ、仕方なく道場から出て行く。

 その夜自宅に自転車で帰っていたダニエルは、後ろからやってきたジョニーたちのバイクに幅寄せされ丘から転げ落ちる。
自宅に戻ったダニエルは、壊れた自転車をゴミ箱に放り込むと、母親に「クニに帰りたい」と怒りをぶつける。
そして二人が去ったあと、すぐそばの扉から現れた管理人の初老の男は何かを考えるようにうなずいた。

 学校でアリを見かけたダニエルはすぐに駆け寄るが、行く先にジョニーたちがいるのを発見すると、立ち向かってというアリを振り切って逃げてしまう。

 失意の中ダニエルが家の戻ると、玄関の扉の前にきれいに修理された自転車が置いてあった。
すぐに管理人の部屋に行き礼をいうと、盆栽の手入れをしていた初老の男ミヤギ(ノリユキ・パット・モリタ)はやさしく「入りなさい」とダニエルいった。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1984年/アメリカ/127分
  • 監督:ジョン・G・アビルドセン
  • 脚本:ロバート・マーク・ケイメン
  • 音楽:ビル・コンティ
  • キャスト:ラルフ・マッチオ/ノリユキ・パット・モリタ/エリザベス・シュー/ウィリアム・ザブカ/マーティン・コーヴ

レビュー

 シルベスター・スタローン主演「ロッキー」のジョン・G・アビルドセン監督が、今度はいじめにあう少年がカラテの達人の老人と出会い、たくましく成長していく青春ドラマを描いた『ベスト・キッド』をBlu-rayにて鑑賞。

 母の仕事の都合でニュージャージーからカリフォルニアへ引っ越してきた少年ダニエルは、新しい学校で出会った少女アリに一目惚れするが、彼女の元彼のジョニーと、彼が入門している空手道場「コブラ会」の不良グループに目を付けられて、いじめらるようになってしまう。

 そんなハロウィンの夜、ダニエルはトイレでマリファナを吸っていたジョニーに水を掛けて仕返しをしたが、怒り狂ったジョニーと仲間たちからリンチにあってしまうが、そこへ蛇口の修理をしてくれた管理人のミヤギが現れ、あっという間にジョニーたち全員を打ちのめしていた。

 ミヤギは彼らが通う道場の指導者が悪いと「コブラ会」を訪ねダニエルに構うなというが、道場主のジョン・クリースの今ここで闘えという挑発をかわし、”少年カラテ選手権大会”で決着をつけようという。
 ここからミヤギとダニエルの厳しい稽古が始まった・・・。

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カラテ道場のワルたちにコテンパンにやられてしまった少年が、ただの管理人だと思っていたカラテの達人の男と出会ったことで、カラテの鍛錬に励むと共に、いつしか本当の心の強さというものを学んでいく。

 劇場公開時に観て以来だったが、改めて観ると若者たちを導く大人たちの自らの信条や価値観によって、若者たちにそのイデオロギーが植え付けられていく様、そして自らの信念を育んでいく様が見事に描かれていた。

 また登場人物たちの内面を表すような細かな描写は、それぞれのキャラクターを熱く息づかせている。
例えばダニエルと最初に友だちになったはずのフレディが、ジョニーたちにやられた途端手のひら返しでそっぽを向くとか、そのジョニーも最初にビーチ・パーティに乱入したとき、仲間から酒を飲まないかと誘われるがワルは止めたときっちり断っていたり、ちゃんと暴力を止めようとする仲間がいたり、よく見るとしっかりその辺が描かれてる。

上映時間も90分ぐらいの映画だと思っていたのに127分もあり、青臭い恋愛ドラマも含めそういう細かいエピソードを巧みに組み込んだ脚本が見事。

 キャスティングについては、まずダニエルを演じるラルフ・マッチオの、撮影時は22歳だったとのことだが体から溢れるひ弱さ感と、その独特の稽古方法で一見胡散臭いミヤギを純粋に師として仰ぎ、ひたむきにカラテの練習にはげむ健気さもまたいい。

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 また当初ダニエルの空手の師匠となるミヤギに、三船敏郎の名前が挙がっていたらしいが、ただのじいさんと思っていた男が実はカラテの達人だったという意外性も含め、抜群のはまり具合で鮮やかに演じてみせたパット・モリタで正解だったかな。

 このミヤギという老人、空手とは人を傷つけるものではなく守るものだという武士道を感じさせるキャラクターに、日本人として共感させられると同時に、頻繁に交わすお辞儀や盆栽の剪定など微妙にずれた日本人感で笑わせてくれる(^^)
思いがけず酔っ払って、戦時中に奥さんとお腹にいた子供を出産の合併症で亡くした話をしてしまったことでぐっと人間味が増し、いつしかミヤギとダニエルの関係を温かい目で追っていくことに。
ラストで花開くその父子にも似た師弟愛に涙。

 そしてアリ役の、まだ洗練されてないぽっちゃりのエリザベス・シューの初々しさが眩しい(^^)
ラルフ・マッチオと並んでいると、余計にガタイの良さが際立ったようだけど(^^;)
本作で注目されたエリザベス・シューは、1987年「ベビーシッター・アドベンチャー」で見事主人公に抜擢される。

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  とにかく久しぶりの鑑賞だったので、「ああ~、あのラストは最高に盛り上がったよなあ~」とか、「今観ると格闘シーンもちょっとものたりないけど、またこれもいいよなあ~」など、もう懐かしさが爆発してしまった(笑)
そしてなにより”若いっていいなあ”と、しみじみと感じてしまった(爆)

 本作のヒットを受け「ベスト・キッド」はまさかのシリーズ化され、女子高生が主役となる「ベスト・キッド4」まで3本が製作される。
さらに2010年にジャッキー・チェンが主人公を導くカンフーの達人となって話題になったリメイクや、さらにさらに2018年に本作の34年後を描く「コブラ会」というTVシリーズが配信されている。

Blu-rayの特典映像について

 Blu-rayの特典映像として、監督やスタッフ・俳優たちが当時の思い出を語るインタビュー映像が収録されています。

 そこでやはりミヤギ役について語られるシーンがあり、脚本のロバート・マーク・ケイメンは三船俊郎の名前も挙がっていたが、
”「彼が演じるとミヤギの印象が威厳や武士道といった重々しい感じになると思い、この作品には合わない」”
と判断したとのこと。

また監督のジョン・G・アビルドセンは、パット・モリタについて”お笑い芸人がミヤギを?”とみんな言ったが、オーディションで試しに演じてもらったら、驚いて「パットこそ適役だと喜んだ」と語っている。

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 またクリーズ役のマーティン・コーヴが、台本を渡され一週間後に来いと言われて行ってみると、突然オーディションが行われることになり、頭にきたマーティン・コーヴがクリーズを演じているうちにどんどん役になりきっていったと笑う。
なんとオーディション会場でのそのシーンを収録したホームビデオの映像が流れたんだけど、まあ恐ろしいほどの迫力だった(笑)
で、監督は大絶賛だったとのこと(笑)

 車のワックスがけや壁塗りの特訓の成果が現れる、ミヤギとダニエルの組み手シーンのエピソードなど、思い入れのあるシーンを当時を振り返りながら熱く語るスタッフや俳優たちの映像を見ているうち、さらに「ベスト・キッド」が好きになっていた(^^)
さあ、もう一回観てみようか!

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