あらすじ
1962年のボルチモア。
ぽっちゃりと太った元気な女子高生トレイシー(ニッキ・ブロンスキー)の夢は、ヘアスプレー企業提供のダンステレビ番組「コーニー・コリンズ・ショー」に出演し、番組の人気ダンサーのリンクと踊ることだった。
ある日、番組でダンサーのオーディションが開かれることを知ったトレイシーは、両親にオーディションを受けたいというが・・・。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:2007年/アメリカ/117分
- 監督:アダム・シャンクマン
- 脚本:レスリー・ディクソン
- 音楽:マーク・シャイマン
- キャスト:ジョン・トラヴォルタ/ミシェル・ファイファー/クリストファー・ウォーケン/ニッキー・ブロンスキー/クイーン・ラティファ
レビュー
1988年のジョン・ウォーターズ監督作の同名ミュージカル作品を再映画化し、全米でミュージカル映画史上No.1のオープニング記録を樹立したアダム・シャンクマン監督作『ヘアスプレー』を観る。
おまけにどのサイトでも元気が出るとかハッピーになれるとか、満点に近い高評価に、期待は高まるばかりだったが・・・。
オーソドックスなストーリーだが、全編を通して醸し出されるカラフルな明るさと、若者たちのたぎるパワーがいい。
ただ、この若さにあてられたのか、残念なことに私はちょっとノレなかった。
まず1000人のオーディションの中から選ばれたトレーシー役のニッキー・ブロンスキーが、オープニングからいきなり歌い出すシーンがあるんだけど、この時彼女を可愛いと思えるかどうかがこの作品の鍵を握る。
演技についてはまあ素人さんなので目をつぶって、歌についてもまずまずだったんじゃないかな。
ただ残念なことに、私の目にはオープニングから最後まで、輝いて見えなかった。
根本的に私が、本作の楽しみ方が分らなかったということが原因だとは思うが、ルックスに関係なく個性を際立たせることで成功への扉が開かれ、自分が本当にやりたいことをやれているということが、自分を輝かせるんだというメッセージは感じる。
ただ、どうしてもぽっちゃりというあのむき出しの腕とお腹の肉を波打たせて天真爛漫に踊るという画を、あえて見せられることの意味が残念ながらわからなかった。
ここをクリアできなければもう評価のしようがないんだけど、さらに私を驚かしたのは、ジョン・トラボルタ演じる母親のエドナの、もはやただの着ぐるみと化した容姿。
この着ぐるみが歌って踊るのだから、何かの冗談かと思った。
マイノリティの悲しさと力強さも本作のコンセプトだと思うけど、悪乗りを通り越してこれではただの悪趣味でしかないのでは。
当時の公民権運動というデリケートな部分と、底抜けな明るさのアンバランスさも、この作品のノリについていけなかった要因のひとつかな。
ここら辺に違和感を感じなければ、明るく元気な楽しい映画だったんだろうなあ(^^;)
唯一の救いは、本作における美しさのパートを一人で受け持つミシェル・ファイファーの、「恋のゆくえ」以来といえる、ダンスシーンと歌うシーンが見れたこと。
この華やかさこそがミュージカル映画の醍醐味ではないのかと画面につぶやく。
そしてなんでこんな役にと思わせるクリストファー・ウォーケンの、ぎこちない踊り(当然わざとであろうが)にささやかな安らぎと、そのキャスティングの豪華さにニヤリとしてしまった。
ただねえ~、私はやはりミュージカル映画は向いてないというのか、楽しみ方がまだ分ってないんだろうなあ、なんて強く感じてしまった(^^;)
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