スポンサーリンク

映画『オー・ブラザー!』レビュー ★★★☆

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 1930年代、ミシシッピー州の片田舎で、今日も鎖につながれた囚人たちは歌を歌いながらハンマーやツルハシを振り上げ、道脇に並べられた岩を打ち砕いていた。

そんな囚人たちを遠く草むらの中からこっそり覗いている同じ囚人服を着た3人の男たち。

見つからないように草むらに隠れながら走り出すエヴェレット・マッギル(ジョージ・クルーニー)、ピート(ジョン・タトーロ)、デルマー(ティム・ブレイク・ネルソン)の3人は、追っ手をかわし運良く通りかかった汽車に飛び乗ろうとするが、惜しくも失敗してしまう。

エヴェレットとピートが俺がリーダーだと言い争っていたところに、線路の上をシーソーのようにトロッコを手で漕いで走ってくる老人がやってくる。

乗せてくれと頼む3人を快くトロッコに乗せた老人は、名前もなく目も見えないようだったが、彼らにこう忠告する。

「この先お前たち3人には、長く辛い旅が続くが、歩き続けろ、
救いの縁にたどり着くまで」

途中ビートの従兄弟ウォッシュの家に転がり込むが、その夜寝ているところに、賞金に目がくらんだウォッシュに通報され駆けつけた警官たちに囲まれてしまう。

小屋に火をつけられ絶体絶命の危機に陥るが、ウォッシュの息子が車で燃えさかる小屋に突っ込み、3人を救出して脱出した。

そのままウォッシュの息子を置き去りにして車は手に入れたが、修理に2週間かかることになり、エヴェレットが埋めたという宝の隠し場所は、ダムの建設であと4日で水の底に沈んでしまうという運命にあった・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:2000年/アメリカ・イギリス・フランス/106分
  • 監督:ジョエル・コーエン
  • 脚本:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
  • 原案:ホメーロス「オデュッセイア」
  • 音楽:T・ボーン・バーネット
  • キャスト:ジョージ・クルーニー/ジョン・タトゥーロ/ティム・ブレイク・ネルソン/ジョン・グッドマン/ホリー・ハンター

レビュー

 ジョージ・クルーニー主演で、脱走した囚人3人がたどるドタバタの逃亡劇を描いた、コーエン兄弟の大ヒットコメディ『オー・ブラザー!』をBlu-rayにて鑑賞。

 1930年代のアメリカ南部で服役中だったエヴェレットは、同じ囚人のピートとデルマーと共に脱走する。

3人の目的は、昔エヴェレットがある場所に埋めたという120万ドルの大金を手に入れるためだったが、その隠し場所はダム建設の予定地で、あと4日で水没する運命にあった。

旅の途中様々な人物と出会い、そして別れ、何か神様に弄ばれるようにハプニングに見舞われる3人は、共に逃亡の旅を続けるが・・・。

 コーエン兄弟が描く、次々と降りかかる厄災と幸運に振り回されながらも、宝物を求めて走り続ける3人の姿には、逃亡劇の悲愴感はどこにもなく、どこか脳天気で、まるで運命にただ身を委ねているようさえ見える。

始まってすぐ手こぎトロッコに乗って現れた老人の、辛い旅になるが恐れることはない、

”「運命はお前たちにご褒美を与えてくださる」”

という、予言めいた言葉に、観ている方も何が起きても、結局危機を乗り越えてハッピーエンドを迎えるんだろうと確信して観るので緊張感はないが、この健気な3人にこころを寄せていく(^^)

さらに「宝物は見つかるが、それは探していたものとは違う」というセリフもあり、彼らが見つける本当の宝物とは何かを期待させる。

まあここは、コーエン兄弟の作品なら、人生における宝物はこれですよ、なんて思わせといてそんなことを描こうなんてことはさらさら思っていないことは承知だけど(^^;)

コーエン兄弟が描く独特の世界観は、とにかく個性的なキャラクターが、縦横無尽に絡み合い、そこから化学反応のように生まれる偶然性と、ストーリー性を超えて魅せる愛すべき人物描写がとにかく絶品なのだ。

 また、まるでミュージカル映画のように盛り込まれる音楽は、ジャンルもカントリーやブルースに、アメリカ南部で根付いた伝統的な音楽ブルーグラスなど様々で、1930年代当時のアメリカ南部の人種差別や改革など、作品に保守的な土着文化が交差する世界を色づける。

もちろん「ズブ濡れボーイズ」もね(^^)

 キャスティングについては、主役のポマードに異常な執着を見せるエヴェレット・マッギルを演じたジョージ・クルーニーのコメディぶりは、見事ゴールデン・グローブ賞の最優秀主演男優賞を受賞する。

さらにコーエン作品常連のジョン・グッドマンジョン・タトゥーロなど、個性俳優たちが見せるクセ凄の演技は、強烈な印象を残す。

後から調べて分ったんだけど、エヴェレットの奥さんはホリー・ハンターで、他にもチャールズ・ダーニングまでも出てたんだねえ、凄い。

 コーエン兄弟にしてはお気楽な作品だけど、様々な愛すべきキャラクターが織りなす逃亡劇は、可笑しくも楽しい(^^)

 なお、Blu-rayの特典映像には、音楽シーンのチャプターがあるだけで、残念ながらメイキングは収録されていません。

Amazonで『オー・ブラザー!」を観る

Prime video

Amazon.co.jp

DVD/Blu-ray

Amazon.co.jp : オー・ブラザー!

コメント

タイトルとURLをコピーしました