あらすじ
2114年、宇宙空間を漂流する一機の宇宙艇。
大型の宇宙船に確保されると、艇内に乗り込んだ隊員は、カプセルの中ハイパースリープで眠っているたったひとりの女性の生存を確認する。
それはかつてエイリアンに襲われた宇宙貨物船ノストロモ号から、ただひとり脱出した航海士エレン・リプリー(シガニー・ウィーバー)だった。
ベッドで目を覚ましたリプリーに、そばにいた看護婦はここは地球の衛星軌道上にある中継ステーションだといい、2日前にここへ来たと知らされる。
そこへ面会の男が猫のジョーンズを抱いて現れ、リプリーはジョーンズを受け取ると優しく抱きしめた。
男は自分は同じ会社にいるバークだと名乗り、ためらいながら「きみは57年間宇宙を漂っていた」と告げる。
呆然とするリプリーに、脱出艇は一度地球の近くまで来たがそのまま通り過ぎてしまい、宇宙の外れで漂流していたところを偶然通りかかったサルバージ船に助けられたと説明した。
治療により体力は回復へと向かっていたリプリーだったが、夜ごと腹を食い破って出てこようとするエイリアンの悪夢にうなされていた。
そんな中、ノストロモ号を爆破したことで、査問委員会に出席したリプリーは、重役たちの前で社命で捕らえた怪物を持ち帰ろうとしたことで乗員たちは犠牲になり、貨物船もと説明するが、シャトル内を調査した結果そんな生物の痕跡はなかったといわれる。
さらにその惑星LV246には、既に20年もまえに宇宙植民地を作るためにエンジニアたち60か70の家族たちが住んでいて、危険生物の噂もないと告げられる。
そんなある日、リプリーの元にバーグが植民地海兵隊のゴーマン中尉を連れてやってきて、LV426植民地との連絡が途絶えたとことを伝える。
そこで調査のため植民地海兵隊が向かうことになり、リプリーにもアドバイザーとして同行して欲しいとバーグはいい、行けば貨物係で荷揚げや荷下ろしをしている現状から航海士へ復帰できると依頼する。
一旦は断ったリプリーだったが、深夜に悪夢によって目覚めたリプリーはバーグに電話かけ、目的は「エイリアンを研究や持ち帰るためでなく退治しに行くのね?」と確認し、約束するというバーグにそれなら行くと伝えた。
海兵隊員たちと再び宇宙へと旅立つリプリー・・・。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:1986年/アメリカ/137分(劇場公開版)・154分(完全版)
- 監督・脚本:ジェームズ・キャメロン
- 音楽:ジェームズ・ホーナー
- 原案:ジェームズ・キャメロン/ダン・オバノン/ロナルド・シャセット
- キャスト:シガニー・ウィーバー/マイケル・ビーン/キャリー・ヘン/ランス・ヘンリクセン/ビル・パクストン
レビュー
1979年に公開されたリドリー・スコット監督作「エイリアン」から8年の時を経て、”今度は戦争だ!”というキャッチコピーで公開された続編、ジェームス・キャメロン監督の『エイリアン2』をBlu-rayにて久しぶりに鑑賞。
なぜ今本作を観たかというと、つい先日エイリアンの最新作「エイリアン:ロムルス」を劇場で観て、無性に『エイリアン」と「エイリアン2」を観たくなったから(^^)
前作の「エイリアン」は、息詰まるほどの閉ざされた宇宙船という空間の中で、純粋な殺人生物という恐怖に追い詰められていくSFホラー作品だったが、本作はそのエイリアンと闘うという全く趣の違う作品となっている。
まさしく無数に現れ襲ってくるエイリアンと、鍛え上げられた宇宙海兵隊が正面からぶつかり合うという、力感溢れるSFアクション映画だ。
傑作と呼ばれた作品の続編は、ほぼ前作を超えられないということが通説だが、私的には一体のエイリアンに一方的に殺されていく展開より、やはり集団で現れるエイリアンと、力を合わせ命がけで闘うっていう本作の展開の方が遙かにテンションが上がった。
また、前作から57年が経過しているということで、海兵が扱う進化したハイテクな手榴弾発射機能付きのライフルや自動操縦のマシンガンなどの武器が炸裂する迫力も凄まじく、あのエイリアンと互角に渡り合う激しい戦闘シーンに目を見張る。
中でもバスケスとドレイクが扱う、スマート・ガンと呼ばれる重量感溢れる大型の自動機関銃がイカしている。
加えて、隊員たちが装着するカメラや、動くものに反応するレーダー感知器などの小道具も、さらに戦場を熱く盛り上げる。
バリケードを越え、感知器に無数に反応するエイリアンの群れが、天井からうじゃうじゃと現れたときの衝撃といったらなかった(笑)
ジョームス・キャメロン監督の、観るものの期待をさらに超えて描かれる、ダイナミックなアクションシーンの数々は、ジリジリと迫る圧迫感とワクワクの高揚感で一瞬も目が離せない。
そして今回一番作品を惹きつけたであろう設定が、ストーリーの主人公を最初からリプリーとして展開させたことで、リプリーの人となりが深く掘り下げられ、とてもカリスマ性を備えたキャラクターに昇華されていたこと。
前作のリプリーは、フェイスハガーに張り付かれたクルーを規則により中に入れられないとハッチを開けるのを拒否したり、最後に脱出艇に乗り込む場面では、命がけで燃料を調達していたふたりをよそに、猫を探しているとか、主人公にあるまじき行為に、温かさも感じられないキャラクターだったもんね(^^;)
冷徹だったリプリーが、居住区でひとり生き残っていた少女ニュートと出会ったことで、激しく母性本能を揺さぶられ、命がけで彼女を守ろうとする姿は愛に溢れ、感情移入しやすい主人公へと変わっていた。
そんなリプリーを演じるシガニー・ウィーバーも、1983年に別な設定で「エイリアン2」がスタートしかけたとき、出演依頼をすぐに断っていたが、本作の脚本を読んで、リプリーが前作と違う魅力的なキャラクターとなっていたことで出演を承諾したとのこと。
また、大がかりなセットにも目を見張ったが、当時劇場で買ったパンフレットには、ロケーションはロンドンの西にある、経済的理由で今は閉鎖された巨大なアクトン発電所ただひとつだった、なんてことも書かれていた。
そして最後に現れるエイリアンクイーンは、自分が生んだ卵に銃を向けたリプリーに反応するという意志を示し、ニューとを守ろうとするリプリーと同じ母性本能を宿していることを垣間見せる。
お互いの母性という本能がぶつかり合うクライマックスは、映画史に残る闘いとなり、以降リプリーは最強の女性アクションヒーローとして君臨する。
1991年、本作の「劇場公開版」より上映時間が17分長い「完全版」なるものが発売される。
新しく追加されたシーンの中には、最初にリプリーが地球軌道上のステーションに帰還したときに、自分の娘が既に2年前になくなっていることを知らされるというシーンがあり、リプリーがニュートに抱く母性がより強く感じられるシーンだった。
また、ニュート一家がLV426を探索し、前作「エイリアン」で登場したあの宇宙船を発見し、両親が中に調査に入るが、出てきたとき父親の顔にフェイスハガーが張り付いている、なんてシーンも。
どうしてこんな大事なシーンが「劇場公開版」でカットされたのかと思ったが、最初に観るときは、早くエイリアンと闘うシーンが観たいと思っているので、「完全版」だと前半はちょっとテンポが悪くなっていて、好きで改めて観るときに観る作品かなあ、なんて続けて観て感じた。
エンドロールが全て流れ終わった後、フェイスハガーが歩きまわるような音が流れ、ここで物語が終わりではないことを示唆したが、6年後の1992年に続編「エイリアン3」が製作される。
ただこの続編は、本作のエンディングを台無しとする(爆)
なぜこんな設定にしたのか気が知れないが、到底受け入れられない私は、勝手にマーベル作品のようなマルチバースの話だったんだろうということでスルーしている(笑)
Blu-rayの特典映像について
残念ながら、スタッフやキャストたちのインタビューとか、撮影風景のメイキングもなかったが、代わりにかなりの未公開シーンが収録されています。
まあこれら未公開シーンはほぼ完全版にも入っており、特典感は薄い(笑)
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