あらすじ
第二次大戦から4年後の1949年フランスの片田舎、親元を離れて、または親を亡くした子供達が暮らす寄宿学校でのお話。
そこは寂しさや怒り、やり場のない感情を持て余した生徒達の間で、トラブルが絶えなかったが、校長の方針で罰則により厳しく縛り付けられていた。
そんなある日、一人の音楽の先生クレマン・マチュー(ジェラール・ジュニョ)がやって来る・・・。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:2004年/フランス/97分
- キャスト:ジェラール・ジュニョ/フランソワ・ベルレアン/ジャン=バティスト・モニエ/ジャック・ベラン
- 監督:クリストフ・バラティエ
- 脚本:クリストフ・バラティエ/フィリップ・ロペス=キュルヴァル
レビュー
”涙がこぼれそうなとき、歌があった。”
本国フランスであの「アメリ」を越える観客動員数を記録し、04年度のアカデミー賞外国語映画賞と主題歌賞にノミネートされた感動作『コーラス』を観る。
子供が主演するヨーロッパ映画にハズレがないことと、さらに音楽がテーマというもうこれだけで傑作間違いなしでしょ~、っていう感じで、予告編もまったく観たことなかったけど、発売日に即購入。
そして観終わってまず思ったことは、予告編観なくて良かった~(笑)
いつものようにこの映画の予告編にもいいシーンを出しすぎていることと、なにより微妙に作品の雰囲気を勘違いさせる作りになってた。
一人の先生との出逢いが、荒んでいた生徒達の心を癒し、夢と希望を見出していく・・・、ストーリーはよくある話なのだ。
でもそこはフランス映画、ハリウッドのような派手な演出もなく、あくまでもナチュラルに音楽によって語られるメッセージ。
ハリウッド映画や「金八先生」を見慣れてる人には、ちょっと物足りなさを感じさせるかもしれないけど、こういう白黒つけないグレーの展開こそがフランス映画風であり、かえって見終わった後にいろんなことを考えさせられ、深い余韻を残す。
ジャン=バティスト・モニエ少年の天使の歌声に胸を打たれるが、私のツボはやはり音楽教師役のジェラール・ジュニョの素晴しい演技と、思わず唸ってしまうほどの絶妙な表情。
彼がインタビューで語った「自分が平凡だということを自覚し、平凡を磨いていった」という言葉どおり、平凡だが生徒を導く目は優しさに溢れていた。
ほんとにこの俳優さんいい表情をするんですよねえ。
そしてこの映画で一番感じたことは、子供時代に自分を導いてくれる、自分を高めてくれる大人に出会うことがいかに大切かということ。
それは親であったり、学校の先生だったりするだろうが、良くも悪くも育てたとおりに子供は育っていく。
この映画のマチュー先生は生徒達に、「このままじゃいけない、こう生きるんだ」とは言わない。
ただ自分の愛する音楽の素晴しさを生徒達にも感じさせたい、それだけだった。
音楽とはこんなに素晴しいものなんだと。
そしてなにより人生とはもっと素晴しいものなんだと。
やっぱり、ここ!
この直接セリフには出てこないがそう感じさせるところが、この映画の素敵なとこなんだなあ。
ラストもハッピーエンドや涙を狙ってないところが、私は好きだなあ~(^^)
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