あらすじ
1930年代のフランス、外地からの復員の途中、偶然に立ち寄った沼地にそのまま住み着いてしまったガリス(ジャック・ガンブラン)。
日々の暮らしのためにいろんな仕事をしていたが、この日もどうしょうもないが憎めない隣人のリトンと、森へスズランを摘みにやってきていた。
通りかかった馬車に乗せてもらい、沼地へ戻るとリトンの娘のクリクリが駆け寄ってくる。
巻きタバコをふかしながらガリスはふとつぶやく。
「なぜ俺は12年も、ここに?」
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:1999年/フランス/115分
- 監督:ジャン・ベッケル
- 脚本:セバスチアン・ジャプリゾ
- 原作:ジョルジュ・モンフォレ
- 音楽:ピエール・バシュレ
- キャスト:ジャック・ヴィユレ/ミシェル・セロー/ジャック・ガンブラン/イザベル・カレ
レビュー
”とびきりの「しあわせ」をそっと教えてあげる”
99年にフランスで公開されるや、その幸せを感じようと200万人を超える観客を動員し、大ヒットを記録した『クリクリのいた夏』を観る。
原題は「マレ(沼地)の子供たち」なんだけど、この可愛らしい邦題のほうが私は好きだなあ。
久しぶりに観るフランス映画だったけど、改めて「フランス映画っていいなあ~」って、しみじみと感じさせてくれる作品だった。
淡い光の中で静かに息づく沼地。その沼地の暖かさに惹かれるように、心の糧を探すように集う男たち。
詩情溢れる沼地の映像と、貧しくも自由に生きる人々の姿を観ているうちに、次第に心が癒されていく。
物語はクリクリの回想ということで展開されるが、主人公はガリスであり、沼地であったかもしれない。
心が豊かであることの意味を、切なくなるほど思い起こさせてくれる作品です。
そして自分の周りの人たちを、これほど愛しく思わせる作品も珍しい。
無性に誰かに優しくしてあげたくなる。
地元フランスで大ヒットというフレーズだけで、手に取った作品だったけど、大当たりです。
またガリス役のジャック・ガンブランをはじめ出演者がみんないい!
これといって事件もなく淡々と進んでいくストーリーのなかで、個性的な登場人物たち全員が生き生きと描かれている。
リント役の男優さん以外、あまり知らない俳優さんたちばかりだったけど、どの人も素敵な表情に、ナチュラルでさりげない演技は、フランス映画界の層の深さみたいなものを感じる。
っていうか、フランスじゃあ超有名な俳優さんたちばかりだったりして(^^;)
またボクサー役で出演していたエリック・カントナは、なんとサッカー選手で元フランス代表だって。
それも映画と同じように暴れん坊だったみたい(笑)
調べてみるもんですねえ。
雑誌とか口コミとかじゃないと、多分出会えないような作品だけど、観終わった後の幸せ感をそっと伝えたくなる、そんな作品でした。
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このレビューをアップした時点で、残念ながらPrime videoでは配信されていません(2022/08/05)
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