映画『ファンダンゴ』レビュー ★★★★

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 1971年、テキサス州オースチンの大学寮。

 卒業記念パーティーで寮生たちが盛り上がる中、ワグナーの結婚を祝福する予定だったが、突然結婚は止めると言い出す。

やっとその気になったかと、歓び抱きついてきたガードナーに、理由は招集令状が来たことだと明かす。

それを聞いたガードナーは、おもむろにポケットから同じ召集令状を取り出し、ルームメイト5人組で結成した”グルーパーズ”の最後のファンダンゴをやろうと、フィル、ドーマン、レスターを誘い、部屋から飛び出していった。

 メキシコ国境に”グルーパーズ”結成の証として置いてきた「ドン」に会いに行こうと、ハイウェイを賑やかに走り出したキャデラック。

車中で馬鹿騒ぎを続ける5人の、それぞれの胸に宿る想いを乗せて・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1985年/アメリカ/91分
  • 監督・脚本:ケビン・レイノルズ
  • 音楽:アラン・シルヴェストリ
  • キャスト:ケビン・コスナー/ジャド・ネルソン/サム・ロバーズ/チャック・ブッシュ

レビュー

 ケビン・レイノルズ監督のデビュー作となった、青春ロードムービーの秀作『ファンダンゴ』をDVDにて鑑賞。

ケビン・コスナーは、同年の「シルバラード」や2年後の1987年に「アンタッチャブル」に主演と、本作をきっかけに大ブレイクを果たすことに。
そしてケビン・コスナーとレイノルズ監督は、本作以降も「ロビンフッド」や「ウォーターワールド」でタッグを組む盟友となる。

ただまあこのタイトルを見て分かるように、残念ながらこれらの出演はケビン・コスナーの足を引っ張ってしまうことになるんだが、ここではあえて触れないことに(^^;)

タイトルのファンダンゴとはスペイン語で、タンゴ・その音楽・馬鹿騒ぎ、という意味が。

大学のルームメイト5人組が、卒業を控え最後に思いっきり馬鹿騒ぎ(ファンダンゴ)をしようと旅に出る、青春ロードムービー。

有り余る若さのエネルギーは、エンストした車を通りかかった電車にワイヤーを引っかけて動かそうとしたり、度胸を試すためにオンボロ飛行機でスカイダイビング体験をするとか、とにかくどこまでも無茶苦茶で賑やか。

でもそんな馬鹿騒ぎの裏で、成績不振により兵役免除が取り消されて召集されるとか、ナンパした女の子たちと花火で遊んでる最中、戦争により19歳でなくなった青年の真新しいお墓の上に転ぶとか、この先で待つベトナム戦争への失意と不安が、さりげなく描かれていく。

公開時はまさしくベトナム戦争のまっただ中であり、当時の泥沼化したベトナム戦争に召集される若者たちの心の葛藤を、強烈にメッセージとして投げかけてくる。

やがてそんな馬鹿騒ぎは終わりへと向かい、同時にキラキラと無邪気に輝いていた青春時代が終わりを告げる。

【ここからネタバレ】






 なんとか記念碑にたどり着き、その足下に埋めた「ドンペリ」を箱から出し、5人で飲み交わした後、突然ガードナーがワグナーの結婚式をやろうと町へ繰り出す。

お金がまったっくなかったので、ガードナーの詐欺師のような話術で人のよい住人を巻き込み、式場で必要な食料品やらお酒に、照明やバンドまで揃わせるという荒技はどうかと思ったが、まあいいだろう。

さらに式場の準備を進めると同時に、なんとあの飛行機野郎に結婚相手のデビーを迎えに飛んでもらうという最後の無茶ぶりといったら(^^;)

そして無事デビーも到着し、住人たちの温かい援助によりなんとか結婚パーティーを開くことができるんだけど、ここから全く違う映画に

 多分このシーンのために馬鹿騒ぎは前振りだったと確信するように、結婚パーティーでのガードナーと元恋人だったデビーの、周りの雑踏が消え二人だけの美しいダンスシーンから、別れを迎えるラストまで泣きたくなるほどの切なさを味あわされる。

仲間にさよならも告げず、一人外れの小高い丘の上から、町の明かりが消えていくのを見つめているガードナー。

恋の痛みや徴兵と突きつけられた現実を一人胸の奥にしまい、遠くから誰にも知られずにひとり仲間にエールを送るラストシーンの、なんという切なさか。

それは青春の終わりとベトナム戦争という、将来への不安と焦燥を抱えて苦悩する、この時代に生きる若者たちに向けて送るエールのように。

 見終わった後は、知らず知らず自らの青春時代のファンダンゴと呼ぶにはほど遠いものにまで想いをはせ、ノスタルジーに浸りまた切なくなる。

 ただ一点、ケビン・コスナーが大学を卒業する若者というより、既に立派な大人感が出ており、どう見ても違和感があったかなあ。
本作が1985年公開なので、ケビン・コスナーが1955年生まれということは、出演時の年齢は・・・それなりだよねえ(笑)

留年したという設定だったかもしれないが、2年後の1987年にあのガードナーは、エリオット・ネスと名を変え、アメリカ合衆国財務省の立派な捜査官になってると思うと、なんだか楽しくなってくる(^^)

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