映画『羊たちの沈黙』レビュー ★★★★★

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あらすじ

 バージニア州クワンティコ近く、朝靄がかかる森の中をひとり黙々とクロスカントリーで体を鍛えて駈ける、FBIの実習生クラリス・スターリング(ジョディー・フォスター)に、男が声をかける。
「クロフォードが呼んでいる」

急いでクロフォードが待つ行動科学課の部屋を訪ねると、そこには壁一面を埋め尽くすように、体の皮膚を剥がされて倒れている女性の現場写真が貼り付けられていた。

その中に、ある新聞の切り抜きの記事もあり、そこには
”ビル 5人目の生皮を剥ぐ”
という文字と、5人の被害女性の顔写真が。

そこへクロフォード(スコット・グレン)が現れ、成績トップクラスの君へ任せたい任務があるという。

それは未解決事件の解明のために、監禁中の連続殺人犯たちの心理分析を始めたが、その中の一人が協力を拒んでいるので、その男に今日会ってくるようにというものだった。

相手はハンニバル・レクター。

「人肉事件の・・・」と、クラリスも知る犯罪者で、クロフォードはぜひ情報が欲しいが、非常に危険で特別な異常者なので、気をつけるようにと付け加える。

 精神病院で待っていたドクター・チルトンも、レクターは怪物で正真正銘の異常者で、以前近づいて襲われた看護師の写真を見せ、その女性の舌を食った時も脈が85以下だったという。

 いくつもの鉄格子のゲートを抜け、厳重に警戒された監禁病棟に案内されたクラリスは、最後のゲートをくぐり、一人一番奥の監房へゆっくりと進んでいく。
そこにはガラス張りの牢の中、こちらを穏やかな表情で見つめるレクター(アンソニー・ホプキンス)が立っていた。

クラリスは用意していた質問に答えて欲しいというが、ガラス越しに見つめるレクターの鋭い洞察力により軽くあしらわれ、すぐに学校へ帰れといわれる。
仕方なく立ち去ろうとするクラリスだったが、隣の監房に収監されていた男に恥辱的仕打ちを浴びせられる。

するとレクターは大声でクラリスを呼び戻して不作法を詫び、昇進のチャンスをやると、昔自分の患者だった「ミス・モフェットを捜せ」と告げる。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1991年/アメリカ/118分
  • 監督:ジョナサン・デミ
  • 脚本:テッド・タリー
  • 原作:トマス・ハリス
  • 音楽:ハワード・ショア
  • キャスト:ジョディ・フォスター/アンソニー・ホプキンス/スコット・グレン/テッド・レヴィン

レビュー

 トマス・ハリスの同名小説を映画化したジョナサン・デミ監督作品『羊たちの沈黙』をBlu-rayにて鑑賞する。

本作はなんと1991年アカデミー賞の作品賞・主演男優賞・主演女優賞・監督賞・脚色賞と主要5部門を受賞するという快挙をなした、サイコ・スリラーの傑作です。

 FBI訓練生のクラリス・スターリングは、希望していた捜査課のクロフォードに呼び出され、今監禁病棟に収監中のハンニバル・レクターに会い、捜査中の連続殺人犯の手がかりを聞き出してくるようにという、任務を与えられる。

最初の面会でクラリスに興味を抱いたレクターは、クラリスの生い立ちなど過去の話と引き換えに、連続殺人犯の行動の心理や犯人像のヒントを提供していくと、クラリスは次第に犯人の真相に近づいていった・・・。

 観ている間ずっと、とぎれることなく続くしびれるような緊迫感に、息をするのも忘れるくらいにドラマに入り込み、傑作を観ているという実感と、こんな素晴らしい作品に出会えた喜びに満たされる。

なんという完成された作品なんだろう。

 キャスティングについては、まず若さと野心で才気走るFBI訓練生クラリスの、過去のトラウマを抱えながらも男社会の中を気丈に立ち振る舞う、凜とした力強さを絶妙に演じ上げるジョディー・フォスターが素晴らしい。

1998年の「告白のゆくえ」に続き、本作で2度目のアカデミー賞主演女優賞を手にする。

当初デミ監督の希望で、このクラリス役には前監督作「愛されちゃってマフィア」で主演したミシェル・ファイファーと、なんとメグ・ライアンが候補に上がっていたとのこと。

偶然にもどちらも私の大好きな女優さん、んん~、観たかったかも(^^)

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 そしてハンニバル・レクターという、映画史に残る怪物を生み出したアンソニー・ホプキンスに、アカデミー賞主演男優賞をもたらした、底知れない恐怖を感じさせる圧巻の演技。

とにかく最初にクラリスとレクターが面会するシーンが秀逸で、観ている側は事前にとんでもない異常者がいると分ってて観てるのに、クラリスがゆっくりと近づき、静かに現れるレクターの、予測をはるかに超える、ただ事ではないほどの知性と狂気を感じさせるたたずまい。

そしてクラリスを見つめる眼差しは、瞬きを一切せず、体の芯まで凍り付きそうな圧でこちらを見つめ、そこから目をそらすことも許されない恐怖がまとわりつく。

ジョディ・フォスターに「あなたの演技のせいで、あなたが怖かった」と言わしめた、アンソニー・ホプキンスの出演時間はなんとたった12分間だけだったということにも驚く。

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 そんなジョディー・フォスターと、アンソニー・ホプキンスにオスカーをもたらした、顔のアップを多用し、その表情と眼差しで息が詰まるほどの緊張感を生みだした心理戦でみせる、ジョナサン・デミ監督の抑制の効いた完璧な演出。

2年後の1993年、トム・ハンクス主演の「フィラデルフィア」と合わせて、ジョナサン・デミ監督の代表作となり、その後のサイコ・スリラー作品に多大な影響を与える作品となった。

 そして本作を見終わった今、いろんなことを考察することになる。

よく考えると、レクターは最初からバッファロー・ビルが誰か分っていたことになる。
それなのにレクターはクラリスに、まるでじらすように真犯人へのヒントを小出しにして教える。
なぜそんな煩わしいことをあえてしていたのか?

それは彼が元精神科医であり、クラリスの抱える少女時代のトラウマを克服できるように導いていたんだということが分る。

なぜそんなことを?

娘をさらわれた上院議員と面会するためにメンフィスに移送されたレクターが、檻の中からクラリスに資料を渡すときに、クラリスの指をそっとなぞるという意味深なシーンがある。

ここにレクターがクラリスに抱いている愛が見えてくるんですよねえ。

そしてそれが分るとタイトルも含め総てが繋がっていく、・・・素晴らしい(^^)

 原作者のトマス・ハリスが生み出した希代な異常犯ハンニバル・レクターを主人公にした作品は、初登場した「レッド・ドラゴン」に「羊たちの沈黙」・「ハンニバル」と続くシリーズとなっていて、すべて映画化され、そのすべてにレクター役としてアンソニー・ホプキンスが出演している。

いずれも高い評価を受けているが、私は本作以外はいまだに観ていない。
それはこんな作品を続けて観て、精神に異常をきたすのではないかという恐怖が(^^;)

本作を観て三日が経つが、いまでも夜、さあっ寝ようと横になって目を閉じると、レクターのあの目が見つめてくる映像がよぎっている(^^;)

とんでもない作品です(笑)

 Blu-rayの特典映像は廉価版だったせいか、今回も劇場予告編のみ収録という残念なものでした。
また待ってたら、メイキングとか収録されたBlu-rayが販売されるかなあ(^^)

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