あらすじ
天才指揮者として世界的な地位を確立したダニエルは、その過密スケジュールの中、演奏後に倒れてしまう。
医者に命にかかわるほど心臓がボロボロと宣告され、8年先までブッキングされたスケジュールをすべて白紙に戻し、休養をとることにする。
心と体を癒すために少年時代を過ごした故郷へ戻ってきたダニエルだったが、ある日地元の聖歌隊の指導を依頼される。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:2004年/スウェーデン/132分
- キャスト:ミカエル・ニュクビスト/フリーダ・ハルグレン/ヘレン・ヒョホルム/レナート・ヤーケル
- 監督・脚本:ケイ・ポラック
- 音楽:ステファン・ニルソン
レビュー
本国スウェーデンで160万人以上を動員するという大ヒットを記録し、2005年度のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた、感動の音楽ドラマ『歓びを歌にのせて』を観る。
以前にも書いたが、アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされる映画は、私的にはアカデミーのメインの賞より魅力的で、この年は本作と一緒に「コーラス」や「海を飛ぶ夢」がノミネートされるという豊作の年だった。
“世界を感動の涙で包んだ、愛と幸福の物語”
というよくあるキャッチコピーが気になったが、音楽ものが大好きな私にとっては、待ちに待ったDVD発売だった。
オープニングからまもなく、故郷へ帰ったダニエルが、雪の上を素足で踏みしめ開放された喜びに浸るシーンで、なぜか早くも涙がこぼれそうになる。
もうこのシーンで絶対素晴らしい作品だと予感する。
コーラスを指導することは初めてだったダニエルが、まず最初に村人に行ったことは、自分の中で息づく自分の”音”を探させること。
自分の中の自分らしい本当の自分を、音楽で見つけ出していく村人たちの、生き生きとした姿と歌声に次第に癒されていく。
中でも夫の暴力に耐えながらも、コーラスを続けるガブリエラが力強く熱唱する「歓びを歌にのせて」は鳥肌もので、なにより歌詞が素晴らしく、そのストレートなメッセージにいつしか涙が流れていた。
「私は自分の人生を生きた!」私もそんな風に感じられる人生を送りたい。
しかしちょっと気になったところもある。
全体を通して演出がやや乱暴なんだなあ。
笑ってたと思ったら急に怒り出したり泣いたり、仕舞いには銃までぶっ放しそうになるし、どれもそこまで過剰な演出にしなくても良かったんじゃないって思ってしまった。
ラストももっとなんとかならなかったのかなあ・・・。
あと残念だったのは、ダニエルがどうして人を愛せないのかってところとか、彼の内面をもっと描いてほしかった。
流れからいって母親の影響だろうと感じたが、人を愛することも知らない人間が、音楽の素晴らしさを人に伝えられるのかなあ、なんて思ったりしたんだけど・・・。
でもでも、そんな気になるところをすべて忘れさせてしまうほど、作品のメッセージ性が力強く、観終わった後の幸せ感が心地よい。
そしてガブリエラが歌う「歓びを歌にのせて」は、今聞いても涙ぐんでしまう。
素敵な映画です。
見事にダニエルになりきったミカエル・ニュクビストの表現力に魅了されたが、DVDの特典映像に収録された彼のインタビューでみせる、オレ様オーラにちょっとがっかり(笑)
あの誠実なダニエルはどこにいったんだあ~!
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このレビューをアップした時点で、残念ながらPrime videoでは配信されていません。(2022/08/09)
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