あらすじ
あるスラム街にある花屋で働くシーモア(リック・モラニス)は、今日もドジをして店長のマシュニクに怒られている。
もう一人の店員オードリー(エレン・グリーン)と三人で、お客を待っていたが今日も誰一人やってこず、閑古鳥が鳴いていた。
マシュニクはシーモアたちに店を閉じると宣言するが、シーモアは経営方針を変えて、先日中国人の店で手に入れた珍しい花を店先に飾ってはどうかと訴える。
そしてだめもとでオードリーⅡと名付けた花を店先に飾ると、すぐに店にお客が現れバラを買っていった。
その後オードリーの珍しさは評判を呼び、大勢の客が押し寄せ花屋は大繁盛する。
ただオードリーⅡは、人の血を吸って育つ吸血植物だった・・・。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:1986年/アメリカ/94分
- 監督:フランク・オズ
- 脚本:ハワード・アッシュマン
- 音楽:マイルズ・グッドマン
- キャスト: リック・モラニス/エレン・グリーン/ヴィンセント・ガーディニア/スティーヴ・マーティン
レビュー
1960年のロジャー・コーマン監督が低予算で製作した「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」は、その後オフ・ブロードウェイで舞台化され、そのヒットを受けフランク・オズにより再映画化されたという『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』をBlu-rayにて鑑賞する。
さえない花屋の店員シーモアが、日食の日に偶然中国人の店で買った奇妙な花オードリーⅡによって、人生が好転していく。
しかし実はオードリーⅡは吸血植物であり、最初はシーモア自身が血を与えていたが、大きく育ったオードリーⅡは次第に大量の人間の血を要求するようになる・・・、なんてコメディでありながらホーラーな展開に。
さらにオードリーとの恋も描かれ、ベースがミュージカルという、かなり個性的な作品。
主演は「ゴーストバスターズ」で人気となったリック・モラニスが起用され、ヒロインのオードリーには舞台でも同じ役を演じたエレン・グリーンが抜擢されています。
当時舞台と映画を同じ俳優が演じるのは珍しく、ワーナーはなんとオードリー役にバーブラ・ストライザンドを考えてたとか。
そのほかスペシャルなゲスト俳優がたくさん出演していて、私的にはここが一番の見所です。
まずこの作品はずいぶん前に観てたんだけど、ほとんど忘れていた中で、唯一強烈に覚えていたのが、スティーブ・マーティン演じるサディスティックな歯医者。
患者を治療して、患者が痛がる所を観ることに最高の喜びを感じている歯医者で、ハイテンションで治療する姿は、まさしくスティーブ・マーティンの独壇場だった。
さらにそんな歯医者に治療されることに喜びを感じるド変態な患者に、なんとビル・マーレイが出ているし、ラジオのDJにジョン・キャンディまで出演と、コメディ好きにはたまらないキャスティングなのだ。
ただこれだけのコメディ俳優を起用していながら、なぜかコメディ作品として消化不良を感じる。
それはシーモアとオードリーのロマンスに、まったくコメディ的要素がなく、真面目にラブストーリーしてるから(笑)
二人が想いを歌い上げるシーンも、舞台を見ているような熱唱で、いいシーンでしたけど(^^)
楽しくは観れたんだけど、ホラー・ラブ・ミュージカル・コメディというか、盛り込み過ぎちゃったかなあ。
そしてやっぱりオードリーⅡの造形と、まるで生きてるように歌に合わせて動く姿が素晴らしいです。
なんでも後半の5mほどの大型のオードリーⅡには、総勢60名ほどの操縦者が操作していたとのこと。
いい仕事してます(^^)
【ここからエンディングについてネタバレ】
そしてラスト、なんとも印象の弱いノー天気な幸せエンディングで終わってしまいます。
新しいマイホームに、シーモアとオードリーは幸せに暮らしました、ちゃんちゃん。
ええ、これで終わり?って感じで、人間が二人も死んでいるのに、こんなでエンディングにしちゃってよかったのかな、となんか納得のいかない違和感を感じた。
ただしこの違和感は、Blu-rayに収録されていた、劇場版より9分長い、103分のディレクターズカット版によって解明されることに。
劇場公開版とは違う別エンディング
なんとディレクターズカット版には驚きの別エンディングがありました。
もともとあったエンディングは、オードリーは死に、シーモアは自殺を図るという、やはり死者を出してしまっているので、シーモアには幸せが訪れない、なんとも暗いバッドエンディングになっていた。
でもこのバージョンは、オフ・ブロードウェイを踏襲したはずだったが、試写会で植物の勝利に観客かが納得しなかったということで、変更を余儀なくされたとフランク・オズ監督が語ってました。
その後ロンドンに戻って、ハッピーエンド版を撮り直したとのこと。
【ここから別エンディング詳細】
劇場公開版ではラストでオードリーがオードリーⅡに食べられそうになり、ギリギリでシーモアに救出されるという展開だったけど、こちらはあのあとオードリーはそのまま死んでしまい、シーモアはその体をオードリーⅡに捧げた後、ビルの屋上へ上がり飛び降りようとする。
そこへ販売契約業者が現れ、オードリーⅡの一部を切り取り、挿し木をして育てたら数日で成長したと、まだ小さなオードリーⅡを見せ、それを国中の花屋に卸し販売すると、シーモアに告げる。
阻止しようとシーモアはオードリーⅡと対決するが、返り討ちにあい反対に食べられてしまう。
その後販売されたオードリーⅡは、ブームとなり世界中に広がったあるとき、一斉に人間に襲いかかる・・・。
シーンの中にはゴジラのように巨大化したオードリーⅡが、街を破壊しまくっているシーンがあり、大がかりでかなり力が入った映像は、泣く泣くカットされたんでしょうね。
今なら絶対インパクトのあるこっちのバットエンディングだったろうなあ、なんて思っちゃいました。
まああまりにもエンディングだけ大がかりで、作品のイメージからもかけ離れていたので、このまま使うのは無理だったかなあ。
それでもその後にこんなシーンを付け加えるっていうのはどうでしょう?
この大暴れするオードリーⅡに、シーモアは驚いてベッドで目を覚ますと、オードリーが心配そうにシーモアを眺めているというシーン。
使い古されているパターンだけど、夢オチです(^^;)
それほど別エンディングが素晴らしい出来だったので、なんとか使って欲しかったなあ。
でもこうしてディレクターズカット版で、みんなの努力の結晶が日の目たということで、監督や脚本家の方が喜んでいました。
私も観れてよかった~(^^)
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