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映画『ミッドナイト・ラン』レビュー ★★★★☆

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 元シカゴ警察官のジャック・ウォルシュ(ロバート・デ・ニーロ)は、今はしがない賞金稼ぎ。

今日も犯人のアジトに乗り込み危険を冒しながらも、同業のマービン(ジョン・アシュトン)の横槍をかわし、なんとか犯人を取り押さえる。

犯人を警察に引き渡した後、仕事料を受け取りに保釈金融業のエディの元にやって来たジャックだったが、そこでエディから新しい仕事を依頼される。

エディはマフィアのボス ジミー・セラノの金1,500万ドルを横領し、慈善事業に寄付したという会計士ジョナサン・マデューカス(通称デューク)(チャールズ・グローディン)を知っているかとジャックに聞く。

噂は知ってると答えたジャックに、エディはやつの保釈金45万ドルを立て替えたのは自分で、このままほっておけばセラノに消され、45万ドルも消えてしまうので、あと5日の内にここロサンゼルスへ連れて帰って欲しいと頼む。

今の商売から足を洗いたいジャックは、10万ドル出すならやると答える。

 逮捕のあと保釈されニューヨークに潜伏中だったデュークを、なんなく捕まえたジャックだったが、ずっとデュークを追っていたマフィアの一味と、セラノを連邦裁判に引っ張り出すため重要証人としてデュークを確保したいFBIとの争奪戦に巻き込まれていく・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1988年/アメリカ/126分
  • 監督:マーティン・ブレスト
  • 脚本:ジョージ・ギャロ
  • 音楽:ダニー・エルフマン
  • スタッフ:ロバート・デ・ニーロ/チャールズ・グローディン/ヤフェット・コットー/ジョン・アシュトン

レビュー

 名優ロバート・デ・ニーロがそれまでのイメージとまったく異なるコミカルな演技と、体当たりのアクションで演じたマーティン・ブレスト監督作『ミッドナイト・ラン』をBlu-rayにて鑑賞する。

 シカゴマフィアのボス セラノの買収に応じなかったために警察を辞め賞金稼ぎになったジャックは、ギャングの金を横領し慈善事業に寄付したという会計士デュークを、ニューヨークからロサンゼルスに護送するという仕事を受けるが、デュークを狙うギャングにFBIや別の賞金稼ぎも加わり、その逃避行は困難を深めていく・・・。

 しかめっ面で貫禄たっぷりに演じるイメージの強いデ・ニーロより、軽いノリで楽しそうに肩の力を抜いて演じてる本作のデニーロがとってもチャーミングで、彼の出演作の中でも一番好きな作品なのだ。

 アクションも自らこなしたというロバート・デ・ニーロが、それまでにみせた事のない明るい表情とユーモアにあふれた演技で、当時話題になったのを思い出す

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最初の方で、FBIの車に連れ込まれ脅されたジャックが、解放された後盗んだモーズリー捜査官の警察手帳を振り向きざまにみせるシーンの可笑しさといったら(笑)

もう一度言うが本作のデ・ニーロは最高にいい!

不器用に生きた男の哀愁を漂わせながら、それでも自分らしく生きようとするジャックを見事に演じている。

今でこそボディーガードを引き連れて、レストランで並んでる列の前に平気で割り込んでひんしゅくを買うような、セレブ風を吹かせまくっているデ・ニーロと大違い(爆)

「タクシードライバー」の時のような精悍な顔でお茶目するので大笑いなのだ。

 そして他の出演者もかなり個性的なキャラクターを生き生きと演じ、どれも印象に残る素敵なキャラクターになっている。

中でもデ・ニーロと絶妙の掛け合いを見せるチャールズ・グローディンは、とぼけた味わいも素晴しいが、そののしたたかさは、デ・ニーロが喋ってる横で変な顔をしてみせたり、全然関係ないところで勝手に細かい演技をしているという始末(笑)

ただその後の彼の作品があまりパッとしないのは、寂しいところである。

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 さらにことごとくジャックの邪魔をしてくるもうひとりの賞金稼ぎマービンを、「ビバリーヒルズ・コップ」のタガード役でいい味を出していたジョン・アシュトンが、単純で憎めない愛すべきキャラクターを愛嬌たっぷりに演じ、作品をさらに面白くしてくれた。

なんでもこのマービンは、当初の脚本ではデュークをギャングに引き渡すときに殺されることになっていたんだけど、気絶するだけに変更されたとか。

絶対彼は殺しちゃあだめでしょ、よかったよかった(^^)

 NYからLAまで列車やバス、自動車などを乗り継いで行くアメリカ大陸横断の逃避行ロード・ムービー。

銃撃戦にカー・アクションとさらにヘリコプターも登場するなど、盛りだくさんのアクションシーンにユーモアも交え、それらをひっくるめてテンポよく展開していくマーティン・ブレスト監督の演出が冴え渡る。

若干わちゃわちゃしたところはあるが、洒落た台詞の応酬に、心に染みる男の友情もありと見所も盛りだくさんで、それらを最高のラストへと終結させる秀逸な脚本も含め、どれをとっても最高の作品なのだ。

出演作を選ぶにあたって細心の注意を払うとことで知られるデ・ニーロが、再び名優の重厚な圧を消して臨むコミカルな映画に出演するのは、この作品から9年後になる。

こんなデ・ニーロ、もっと観たかったなあ。

特典映像のメイキングについて

 Blu-rayの特典映像として、約7分ほどのメイキングが収録されていた。
ほとんどが宣伝用に、監督や俳優たち作品について語っているだけで、残念ながらたいした内容じゃあなかった。

そんな中でもちょっといいコメントだけ紹介。

マーティン・ブレスト監督が作品を振り返り、一番辛かったのは90日間の撮影中休日がなかったこと、なんて笑っていた。

そしてクライマックスの空港のシーンで、マービンの相手をする空港職員を、なんと監督自身が演じていたなんて裏話も(^^)

あとロバート・デニーロが、次から次へと撮影地を移るのはまさに冒険みたいで、大変だったけど楽しかった、なんてクスリともせず語っていた。

あとはいつもの予告編だけ(笑)

 ただ私が購入した”思い出の復刻版”のBlu-rayには、
”近代映画社刊「スクリーン」の劇場公開時掲載記事等を凝縮したオリジナルブックレット(8P)”
というものが、封入特典で入っていた。

その中に映画評論家の双葉十三朗の”ぼくの採点表”というレビュー記事が入っていて、
”演出のキレがよくなく不満だが、結構楽しめた”
なんて、点数70点の辛口のコメントが入っていた(^^;)

まあ私は抜群に面白く、何度でも見れるのでほぼ満点ですけどねえ。

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