あらすじ
ロサンゼルスのある高層ビルのエレベーターに爆弾を仕掛けられ、閉じ込められた13人の乗客を人質に、300万ドルが要求されるという事件が発生する。
すぐにビルに駆けつけたロサンゼルス市警察のSWAT隊員の一人ジャック・トラヴェン(キアヌ・リーブス)は、同僚のハリーと共に屋上にあった作業用クレーンのワイヤーをエレベーターにつなぎ、タイムリミット前に爆発されたエレベーターの落下を防ぐと、ギリギリで乗客たちを救出した。
さらに貨物用のエレベーターに隠れていた犯人を追い詰めるが、あと一息のところで自爆してしまう。
数日後、カフェでコーヒーを買い、知り合いが運転するバスを見送っていると、突然バスが大爆発する。
急いで爆発で燃えさかるバスに駆けつけるジャック。
しかし熱さで近寄れず、どうすることも出来ずにいたジャックは、そこで電話のベルの音を聞く。
すぐ近くの公衆電話から鳴っていることに気づいたジャックは、電話の受話器を取る。
「どうだ、ジャック」
と話しかけてきたのは、先日の事件で自爆したと思われていた爆弾犯で、2年かけて計画したものを台無しにされたので、今度は370万ドルにつり上げ、あるバスに時速80キロを過ぎると起爆装置が作動し、時速80キロ以下に落ちると爆破するように爆弾を仕掛けたという。
さらに乗客を一人でも下ろしたらリモコンで爆破すると付け加えると、
「バスはベニス発のダウンタウン行き2525番だ」
と告げる。
ジャックは急いでバスの元へ向かった・・・。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:1994年/アメリカ/115分
- 監督:ヤン・デ・ボン
- 脚本:グレアム・ヨスト
- 音楽:マーク・マンシーナ/ビリー・アイドル
- キャスト:キアヌ・リーブス/デニス・ホッパー/サンドラ・ブロック/ジェフ・ダニエルズ
レビュー
「ダイ・ハード」や「ブラック・レイン」などで撮影監督を務めたヤン・デ・ボンの、監督デビュー作として大ヒットを記録したアクション作品『スピード』をBlu-rayにて鑑賞。
乗客15名を乗せた路線バスに、時速が80km以下に減速されると爆発する爆弾が仕掛けられた。
ロス警察のSWAT隊員ジャックは、乗客救出のために自らバスに乗り込み、元警察の爆発物処理班員だった犯人のペインと対決する。
まずスピードとはほど遠い、バスをアクション作品に使った意外性もさることながら、そのバスが仕掛けられた爆弾のせいで、道路が渋滞していてもカーブが急でも、絶対にスピードを80km以上に保たないといけないという縛りの緊張感が素晴らしい。
さらに早々にバスの運転手が負傷し、そのバスに乗り合わせたスピード違反で免停中の女性アニーが代わりに運転することで、さらに追い詰められる状況もそそる。
これら次々と降りかかる困難な状況の中、絶体絶命の連続で展開していく人質救出劇がスリル満点で、とにかくオープニングからラストまで目が離せない。
たぶん80kmも出てないだろうシーンもあるが、地面スレスレのカメラアングルや、ヘリコプターからの空撮やめまぐるしく動くカメラワークと、緻密に計算されたヤン・デ・ボン監督の、巧みなスピード感溢れる演出が際立つ。
まあ途中アニーに代わって、ジャックが自分で運転すればいいのにって場面もあるけど(笑)
さらに危険なスタントシーンに、迫力の大爆発シーンなど、そう何度もテイクを繰り返せる状況にないシーンが多々あり、たぶん一発撮りだったろう緊張感も伝わってきた。
キャスティングについては、やはり本作で注目されたキアヌ・リーブスとサンドラ・ブラックのフレッシュな二人の、相性の良さを感じさせる掛け合いや、体を張った熱演を見ているだけで楽しい(^^)
考えるより先に行動してしまい、次々とトラブルを呼んでいく(笑)SWAT隊員ジャックを演じるキアヌ・リーブスの、若々しい精悍さに青二才感がピタリとはまる。
そして行きがかり上バスを運転することになったアニーを演じるサンドラ・ブロックの、飾らない親しみやすいお姉さん感がキャラクターと重なり、アニーはとっても魅力的なキャラクターになっていた。
爆弾犯のハワード・ペインを演じるデニス・ホッパーについては、さすがの安定の演技を披露してくれたが、彼ならもっと闇の深い犯人役を演じられたんでは、なんて欲張ってしまった。
CGを駆使したアクションシーンを見慣れた今観ても、まったく見劣りしない迫力のアクションと、満点のスリルを味わえる、アクション映画の傑作です。
Blu-ray収録特典の音声解説について
裏話を聞いてみたいシーンが目白押しだったので、メイキングが観たかったけど、特典映像は予告編だけでした。
替わりにヤン・デ・ボン監督の音声解説が収録特典として入っていたので、大抵めんどくさくて普段はあまり聞かないないんだけど、今回はちょっとでもエピソードが知りたくて聞いてみることにした。
まず冒頭のエレベーターのシーンについて、自身が撮影監督だった「ダイ・ハード」の撮影中、実際に同じような経験があったという、まさかのエピソードを語っていた。
なんでもフォックス・プラザ・ビルの40階でエレベーターに長時間閉じ込められ、消防士に救出されたらしく、そのため長い間、悪夢にうなされることになったとのこと。
また、エキストラに本物の警官を入れたり、本物のSWAT隊員が犯罪者のアジトに突入したときの動きとかをリサーチして、作品にリアルを持たせていたなんて話も。
そして本作の象徴的なシーンとなった、工事中の高速道路を走っていく途中、15mほど道路が繋がってないところをジャンプして飛び越えるっていうシーンについても、たまらないエピソードを語ってくれていた。
まずジャンプ専用のバスを作り、速度を出すため付属品を取り除いて軽くしたが、最初のテイクでスタント・ドライバーがミスしてバスは壊れたとのこと。
2日後にもう一台のバスを調達し再度挑戦すると、バスなので飛んでも6~9mと想定していたところが、なんと想定外の大ジャンプとなり、近くにおいていたカメラは飛び越し、遠くに置いたカメラの上に着地して壊してしまったらしい。
この辺りのメイキングが観たかったんだけどなあ(^^)
まあジャンプする直前、バスの頭が跳ね上がるという不自然さはあったが、実際にバスをジャンプさせるという、前例のないスタントにチャレンジしたことで、こんな素晴らしい迫力のシーンが生まれたんですね。
そしてネタバレになってしまうが、
なんでラストシーンが、ロサンゼルスのハリウッド通りにある、チャイニーズ・シアターだったのかについても語っている。
ヤン・デ・ボンは、「2001年宇宙の旅」を観てキューブリックの大ファンとなり、自分が監督する作品にはキューブリックへの賛辞をどこかに入れることにしているらしく、本作ではチャイニーズ・シアターで、「2001年宇宙の旅」がリバイバル上映されていたんだって。
なるほどねえ~(^^)
今回は気になったシーンだけスキップして音声解説を聞いたが、本編をそのまま流しながら聞いていたらもっといろんなエピソードが聞けたかも知れないが、ちょっと時間がねえ(^^;)
興味がある人は聞いてみてください(^^)
あと特典の中に、「スピード:爆弾ゲーム」というしょーもないゲームが収録されています(笑)
どうしちゃったんでしょうねえ、これ(爆)
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