あらすじ
自らが言うようにエイプリル(ケイティ・ホームズ)と母親(パトリシア・クラークソン)の関係は最悪。
一人家を出たエイプリルだったが、感謝祭の食事を一緒にするために、最悪の関係の母親と頼りない父親、あまり気が進まない弟と妹、そしてエイプリルのことも覚えていない祖母の全員が、一台の車に乗り込みエイプリルの住むアパートへ向かった。
それは最初で最後の家族全員がそろってのディナーとなるはずだった。
母親が癌に侵され余命があとわずかと迫っていたために。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:2003年/アメリカ/80分
- 監督・脚本:ピーター・ヘッジズ
- 音楽:ステフィン・メリット
- キャスト:ケイティ・ホームズ/パトリシア・クラークソン/デレク・ルーク/オリヴァー・プラット
レビューレビュー
『ギルバート・グレイプ』の原作と脚本を手がけたピーター・ヘッジズの初監督作品『エイプリルの七面鳥』を観る。
まったく知らない映画だったけど、いかにもフランス映画風のポスターに惹かれ、他の人のレビューやいろんな映画賞を受賞していたのを確認してさっそくDVDを購入。
実際はアメリカ映画なんだけど、淡々とした展開や盛り上がりの少ないとこはまさしくフランス映画風でした(笑)。
家族の愛というものはこの映画にはあまり登場しません。
あくまでも家族というものをリアルにとらえ、そこには怒りや憎しみがあります。
私も思うけど家族って、時に絆を感じるときはあるけど、普段はほとんど意識することはないんだよね。
かえって否定的であり時には残酷ですらある気がする。
感謝祭の定番料理の七面鳥の丸焼きに、朝早くから取り掛かるエイプリルだったが、なんと肝心のオーブンが故障してしまう。
困ったエイプリルは同じアパートの住人たちに、オーブンを貸してもれえるよう訪ねて回る。
そして普段は話すこともないご近所さんたちと触れ合うごとに、次第に暖かいものを感じていくエイプリル。
母親との関係を修復しようと奮闘するエイプリルがとってもいじらしくて、可愛いです。
そしてこのエイプリルを演じるケイティ・ホームズ(当時トム・クルーズの新しい恋人といわれていた)以上に目を引いたのが、母親役を演じたパトリシア・クラークソン。
素晴しかった。
『グリーン・マイル』で所長の病気の奥さんを演じてた女優さんですよね。
娘をどうしても許すことが出来ず、好きになれない苛立ちを絶妙な表情で演じてます。
最初はぎこちなかったけど、次第に絆という愛によって少しづつ引き寄せられるように近づいていく家族。
ラストはやはり涙がポロっと流れてた。
後で調べたらパトリシア・クラークソンはその年のアカデミー賞はじめ、複数の映画賞にノミネートされ、全米映画批評家協会賞の助演女優賞を見事受賞していました。
私も本作で母親が語っているけど、家族のことを想うとき家族の優しさを感じる思い出より、なぜか良くなかったことを思い出すことがよくある。
でもこの映画をみて、それはいい思い出がないんじゃなくて、家族の優しさってなんでもないところにいっぱい溢れてて、そのせいで気が付かないだけなんだって。
よく思い出したらこんなこともあった、あんなこともあったって・・・。
なんだかそんなこと思い出させてくれた素敵な映画だった。
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このレビューをアップした時点で、残念ながらPrime videoでは配信されていません。(2022/08/06)
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