映画『タンゴ』レビュー ★★★☆

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あらすじ

 愛する妻エレーヌに裏切られ、不倫相手もろとも殺害してしまったパイロットのヴァンサン(リシャール・ポーランジェ)だったが、なぜか無罪の判決が下り一人隠遁生活を送っていた。

そんな彼のもとに、ある日二人の男がやってきて言う。
「妻を殺してくれ」
一人は自らの浮気性がもとで妻マリー(ミウ=ミウ)に逃げられた男ポール(ティエリー・レルミット)。
もう一人は、ポールの叔父であり、女性と暮らさないことが最良の人生という信念を持つ男フランソワ(フィリップ・ノワレ)。

ポールは自由を得られたはずが、逆に妻をさらに想う様になり、その苦しみから逃れるために妻を殺して欲しいとヴァンサンに依頼する。

ヴァンサンは殺し屋でもない俺が断れない理由は聞くと、フランソワは6年前の妻と愛人の殺人容疑で出廷した君を、陪審員を誘導して無罪にした判事は自分だという。
さらにある鑑定報告書を伏せておいたので、その報告書が見つかれば君は刑務所行きだとも。

「君は世間でいう、急所をつかまれた男だ」

とにこやかにいうフランソワに、ヴァンサンは仕方なくポールの妻殺しを承諾する。

 3人は一台の車に乗り込み、まず家出した妻は実家に戻るからと、ヴァランスという街を目指して走り出した・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1992年/フランス/90分
  • 監督・脚本:パトリス・ルコント
  • 音楽:アンジェリーク・ナション/ジャン=クロード・ナション
  • キャスト:フィリップ・ノワレ/リシャール・ポーランジェ/ティエリー・レルミット/ミウ=ミウ

レビュー

 「髪結いの亭主」や「仕立て屋の恋」など、男と女の機微を官能的に描き続ける名匠パトリス・ルコント監督の『タンゴ』を観る。

ルコントの独自の視点は、時にフェチであり偏執的であり、いわゆるスケベである(笑)

本作はそんなルコントが趣を変え、男の性をペーソス溢れるコメディに仕上げた作品なのだ。

 愛深き故に浮気をする妻が許せず殺害してしまったヴァンサン。

浮気性に愛想を尽かされ妻に出て行かれたが、いつまでも忘れることが出来ず、さらに妻への愛が募りいっそ殺して欲しいと願うポール。
そしてそんな女性達に干渉されることもなく、結婚せず一人楽しく生きることが一番だと悟っているフランソワ。

 お互いの女性観をぶつけ合う3人の男たちが、道中で巻き起こすグズグズ感漂う会話やエピソードの数々は、ただそれだけで微笑ましくもあり、そして至極悲哀を感じさせる(^^;)

 それぞれが抱く女性達への想いは、愛であり不信であり、そして愛おしさであり憎しみでもある。

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劇中で語られる 

“「いれば面倒、いないと寂しい」と、一緒に暮らすことの矛盾は認識していながら、それでもなお女性を求めてやまない男たち。
それは一人っきりでは踊れないタンゴのように・・・

など、世の男たちが泣いて喜びそうな本質を突くセリフの数々に、かなり一方的なものを感じるが、女性に置き換えても妙な説得力があり、男と女の尽きない愛への執着と悩みの種は可笑しくも切ない

ただ女性からの視点が圧倒的に少なく、ルコント監督の女性に対する偏執的な妄想が爆発した作品だといえなくもない(爆)

 本作は小品の割りに、出演者が豪華なのも嬉しい。

「ニュー・シネマ・パラダイス」のフィリップ・ノワレや、「ディーバ」のリシャール・ポーランジェ
そんなフランス映画を代表する名優たちが演じるおじさん達は、やっぱり魅力的なんだなあ(笑)

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それに「読書する女」のミウ=ミウまで出演してるという、なんとも贅沢なキャスティングなのだ。

 日本で一躍有名になった「髪結いの亭主」をはじめ悲観的な作品が多い監督だが、本作はかなり楽観的であり心地よいラストもあり、ルコント作品の中でも「橋の上の娘」と並び大好きな作品なのだ。

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このレビューをアップした時点で、残念ながらPrime videoは配信されていません(2022/08/21)

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