映画『バグダッド・カフェ<完全版>』レビュー ★★★★

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 ドイツから旅行にやってきた夫婦は、ラスヴェガスに向かう途中、砂漠のど真ん中で夫婦げんかを始める。
妻のジャスミンは黙って車から降りると、トランクから荷物を下ろしてあてもなく歩き出し、夫はコーヒーの入ったポットを道路脇に置くと、反対方向へ走り去っていた。

広大な砂漠の中を横断する一本の道路を、重いトランクを引きずるように歩いて行くジャスミンは、空に二つの淡い光が輝くのを見る。

 ついさっき、ろくに仕事もしない夫を怒鳴り散らし、「とっとと出て行け」と追い出してしまったことを、嘆きながら店先で泣いていた女主人のブレンダは、大きなトランクを引きずりながら近寄ってくる太った女を、いぶかしげに見つめる。

ジャスミンはやっと、砂漠の中にポツンとたたずむ寂れたモーテル”バグダッド・カフェ”にたどり着き、ブレンダと向かい合う。
ジャスミンは汗だくになった顔をハンカチで拭うと、ブレンダは涙に濡れた顔を拭う。

モーテルの部屋を借りたいとジャスミンは言い、ブレンダはタクシーも呼べるのになんでここに?と思いながらも、部屋の鍵を渡す。

部屋に入ったジャスミンは、着替えようとトランクを開けると、持ってきたトランクが夫のもので、男物の服とひげ剃りや生活用品でいっぱいになった中を見て、ベッドに座り込んでしまう。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1987年/西ドイツ・アメリカ/104分
  • 監督:パーシー・アドロン
  • 脚本:パーシー・アドロン/エレオノーレ・アドロン
  • 音楽:ボブ・テルソン
  • 主題歌:『コーリング・ユー』 歌/ジェヴェッタ・スティール
  • キャスト:マリアンネ・ゼーゲブレヒト/CCH・パウンダー/ジャック・パランス

レビュー (ネタバレあり)

 84年の「シュガーベイビー」で話題となったパーシー・アドロン監督マリアンネ・ゼーゲブレヒトのコンビが再び組んだ『バグダッドカフェ<完全版>』をDVDにて鑑賞。

89年3月の日本公開時は1時間半のアメリカバージョンだったが、本作は94年8月にヨーロッパバージョンで公開された<完全版>です。

 旅行中夫婦げんかで夫と別れ、砂漠の中をトランクを引きずりながら歩いて、ある寂れたモーテルにたどり着いたジャスミン。
常に仕事や家族のストレスで、店の客にまで当たり散らし、遂に夫を追い出してしまい失意に沈んでいた女主人のブレンダ。

こんな所に部屋を借りようとするジャスミンをブレンダは不審に思い、保安官を呼んだり部屋を調べたりして遠ざけていたが、次第に彼女に親しみを感じ始める。

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子供のいないジャスミンは、ブレンダの二人の子供に愛情を注ぐと、すぐに二人は心を開き、誰彼かまわずに当たり散らしていたブレンダの顔には、いつしか笑顔が生まれていた。

砂漠のように乾ききってしまったブレンダの心が、ジャスミンのふくよかな体から溢れる温もりというオアシスで潤っていく心地よさ。

 途中ジャスミンの手品により、カフェは大評判となって大勢のトラックの運転手が訪れる、大盛況のカフェになると、店内ではブレンダもショーに加わり、客と一緒に歌い出すというあまりの展開に、もはやおとぎ話のようになってしまう。

ただそんなおとぎ話を観ている自分も、日頃のストレスがすーっと溶けていくような、不思議な安らぎと幸福感を感じていく。

そんな女神のようなジャスミンを、母性を体現するようなふくよかな体でみせるマリアンネ・ゼーゲブレヒトの、人恋しさと明るさで人を惹きつける魅力を絶妙に、時にかなりの露出度で演じる。
早い段階で、まさかの熱湯風呂に入れられるという衝撃シーンに、大ベテランのジャック・パランス演じる画家のモデルになるシーンでは、「はい、もう好きなようにやってください」状態だった(爆)

そして常に何かに怒ってヒステリックに喚き散らす、女主人ブレンダを演じるCCH・パウンダーの喜怒哀楽は、タダ者ではない芝居の上手さで惹きつける。
おまけにマジックショーで、まさかののりのりで披露する歌の上手さといったら、やっぱこの女優さんタダ者ではないでしょう。
本作出演後は、「ER緊急救命室」などTVの方で活躍されたみたいですね。

さらに幸せすぎるといって出て行く女入れ墨師や、遠くからブレンダを双眼鏡で覗き、様子をうかがっている夫など、魅力的なキャラクターがさらに心を和ましてくれた。

そしてそして、全編を通して流れてくるジェヴェッタ・スティールの「コーリング・ユー」は、ただ聞いているだけで天使に抱かれたような安らぎを感じさせ、心が癒やされていく。

アカデミー賞の主題歌賞にノミネートされたこの曲は、その後世界中でたくさんのアーティストによりカバーされることになる。

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日頃の喧噪からちょっと離れたい、なあんて思ってる方、ぜひこの作品を見て癒やされてください(^^)

 ただ私が最初に見たLD版は、<完全版>じゃなかったのか、ラストのジャスミンとブレンダが再会した後に、お客さんまで巻き込んだマジックーショーのシーンとか、ブレンダの夫と抱き合うみたいなシーンはなかったような気がするんだけど、違ったかなあ(^^;)

この<完全版>はオリジナル版から17分の未公開シーンが追加されたようだけど、私はあの賑やかなお店のシーンは、ちょっと蛇足だったんじゃないかなあって、思っちゃいました。
なんなら再会したシーンで、幸せな未来を予感させるだけで終わって欲しかったかも。

それでもジャスミンにブレンダにも幸せがやってきたシーンが追加された<完全版>も、やっぱいいかなあ(^^)

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バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 (字幕版)
ラスヴェガス近郊の砂漠にたたずむ、さびれたモーテル

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