あらすじ
今から20年前、コッド岬を訪れ家族で船に乗っていた少年アランは、船上のデッキからきらめく海をじっと見つめている。
するとアランは不意に海に飛び込んでしまう。
船上が大騒ぎになる中、アランは海の中で不思議な少女に出会い手を取り合うが、救助に潜ってきた大人に救助される。
船に戻ったアランは遠くの海面から顔を出す少女を見つめ、少女は遠くに離れていく船上のアランを見つめ涙する。
再び少女が海に潜ると、大きな魚のひれのようなものが現れて消えた。
そして現代のニューヨークのある朝、青年に成長したアランは、人と荷物が賑やかに行き交う卸売市場でサクランボの入荷が遅いと怒鳴る顧客の相手をしていた。
兄フレディがギャンブルのかたに入荷したサクランボは腐りかけだったため、代わりにバナナを原価で渡した。
そこへ真っ赤なポルシェに乗って現れたフレディが、”ペントハウス”に投書が載ったと大喜びで降りてきた。
フレディは昨夜クラブへ行って、スーパー王のバイライト氏と知り合いになったので、チェーン店全部の納入業者になれるかもと告げる。
そしてすぐにやってくるというと、アランは準備してないので無理だといい言い争いになるが、そこに一本の電話が入る。
相手はアランの恋人のビクトリアで、今から家を出て行くという電話だった。
翌日ジェリーの結婚式を終えた夜、二人はバーで酒を飲んでいた。
酔い潰れたアランに、フレディはもっと楽しもうと誘うが、アランはコッド岬へ行くと店を出て行くとタクシーに飛び乗った。
明け方、間違えてたどり着いた海岸の砂浜を歩いていたアランは、そこで大きな荷物を降ろしている男に島へ渡りたいと声を掛ける。
すると男はアランのタキシード姿を怪しみ、シカゴのロス教授の回し者だと怒りだし、このコンブルースをなめるなと怒鳴る。
あっけにとられるアランに、一緒に荷物を運んでいた男が他に島まで船で送るやつがいると紹介する。
太った漁師と二人小さなボートに乗って島へ向かうアランだったが、急にエンジンが止まると漁師は不意に海に飛び込み、代わりの船で戻ってくると泳いで行ってしまう。
一人ボートに残されたアランは、試しにエンジンを掛けてみると急に動き出し、思わずボートから海へ落ちてしまう。
溺れかけるアランだったが、そこへぐるっと回って戻ってきた無人のボートで頭を強打し気絶してしまう。
そのまま海の底へと沈んでいく寸前、アランをつかむ手が現れる。
目が覚めるとなぜか浜辺で横たわっていたアランは、ふらつきながらも立ち上がると、離れた草むらで一人の美しい女性が自分を見ているのに気がつく。
全裸で現れた女性は、アランと見つめ合うとゆっくりと近づきキスをする。
そしてそのまま海の中へ消えていった。
翌日ニューヨーク港内、リバティ島の自由の女神像の前、ガイドがおおぜいの観光客に向かって説明しているところへ、突然全裸の女性が現れる・・・。
作品データ
レビュー(ネタバレあり)
アンデルセンの「人魚姫」を現代風にアレンジしたロン・ハワード監督のロマンチック・ファンタジー作品『スプラッシュ』をDVDにて鑑賞。
子供の頃に船から飛び降りたアランが、海中で出会った少女マジソンと20年の時を超えてニューヨークで再会する。
一目で惹かれ合った二人は幸せな日々を過ごすが、次の満月までしかいられないとアランからのプロポーズを断るマジソン。
しかしお互いの愛を信じ、人魚であることを打ち明けようとするマジソンに、以前海の中で偶然マジソンと出会っていた科学者のコーンブルースが、大統領主催のパーティの会場から出てきたマジソンに水を掛ける。
公衆の面前でさらされる人魚のヒレに辺りは騒然となり、警察によって車で運び去られるマジソンを、呆然と見つめるアラン・・・。
伝説の人魚が現代の大都会ニューヨークに、しかも全裸で突然現れるというインパクトと、一途に人間の男を愛してしまうというときめきな展開を、夢物語だと頭では否定してるはずが、二人の恋のゆくえをリアルに受け止め、奇跡のような出会いを夢見てしまう。
こんな風に書いてるだけで恥ずかしいが、大の大人が観ている間ずっとそんな気分でいられるという、まさしく奇跡のような素敵な作品でした(^^)
まずダリル・ハンナ演じる人魚マジソンの、青い海の中を優雅に泳いでいく美しいシルエットに、陸に上がっても男性用のスーツから色鮮やかなドレス姿まで、どこまでも美しい。
そしてまだ映画出演が浅く初々しいほどの青二才感を醸し出すトム・ハンクスとのカップルが、そぞろ歩くニューヨークの繁華街や街並みに観光スポットなど、ロケシーンも美しく印象的だ。
さらに二人の純愛を盛り上げる、コメディのパートを受け持つアランの兄フレディ役ジョン・キャンディと、科学者コーンブルース役ユージーン・レヴィの、抜群のはまり具合が堪らない可笑しさを誘う。
この二人の個性的なキャラクターの存在があってこその作品であったと思えるほど、魅力に溢れた愛すべき二人です(^^)
子供の頃小銭を床に転がしては拾うフリをしてかがみ込み、女性のスカートの中を覗くというスケベ心そのままに成長したフレディの調子の良さと騒々しさは、最初は嫌なやつと思わせといて、実は弟想いの優しい男という憎めない設定、もう最高。
またマジソンの正体を明かそうとする科学者コーンブルースも、何度も水を掛けるのに失敗してボコボコにされるんだけど、最後は改心するんだよねえ。
奇跡の出会いが迎えるふたりの運命のようなエンディングは、何度見ても幸せな気分になれる素敵な作品です。
特典映像のメイキングについて
DVDの特典映像に24分ほどのメイキングが収録されている。
ここで語られる製作までの裏話が面白かった。
練り上げた脚本をワーナーに持ち込み契約目前のタイミングで、大物を集めた別の人魚映画が現れ(ここでウォーレン・ビューティの写真が出る)引き受け手がいなくなり、最後にディズニーへ行くことに。
現在と違い当時のディズニーは活気のないスタジオで、作品を持ち込んだだけでものすごく喜ばれたと、脚本家のローウェル・ギャンツとババルー・マンデルが笑いながら語っていた。
キャスティングについてもいろんな裏話が聞けた。
トムハンクスは当初フレディー役の候補で、アラン役はマイケル・キートンやジョン・トラボルタにとロン・ハワードは思ってたが、「ハッピーデイズ」にゲスト出演したハンクスを見た脚本家のローウェルとババルーが、ロンとアシスタントのルイーザに推薦したとのこと。
さらに当時はまだ有名ではなかったトム・ハンクスだけでは無理だと、代わりの有名人としてジョン・キャンディとユージーンをキャスティングする。
ここでジョン・キャンディのインタビューシーンが、最高にけっさくだった。
ロン・ハワードは粗雑で我慢ならなかったとか、トム・ハンクスの演技にはいつも元気が足りないとか言ってるし、ダリルは気に入っていたのに一緒のシーンが少なかったとぼやいたり、コメディアンの真髄をみた気分だった(笑)
製作のブライアンが、「ブレードランナー」でのダリルに魅了され彼女しかいないとキャスティングしようとしたが、スタジオの上層部が彼女は使わないと猛反対されたとのこと。
それでもダリルを起用したかったブライアンは、上役が海外出張している間に勝手にダリルと契約したと笑う。
トム・ハンクスについては、張り切りすぎて空回りするハンクスにロン・ハワード監督が、
”「笑いで目立とうとしているがそれは君の仕事ではない、ジョンたちが笑わせるから君は人魚を愛せ」”
と、注意したとか(笑)
このメイキングの他には、「オーディションの様子」ということで、トム・ハンクスとダリル・ハンナがオーディションを受けている貴重な映像が収録されている。
どちらもめちゃめちゃ初々しいです(^^)
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