映画『猫が行方不明』レビュー ★★★★☆

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あらすじ

 パリのバスティーユで暮らしている、メイクアップ・アーティストのクロエ(ギャランス・クラヴェル)。
久しぶりに休暇が取れたので、ヴァカンスに出かけることにする。

ただ、飼い猫のグリグリをルームメイトでゲイのミシェル(オリビエ・ビィ)に預けようと考えていたが、丁度パートナーに出て行かれたところで、それどころではないと断られてしまう。

困ったクロエは、アパートの管理人にも断られ、誰か猫を預かってくれる人はいないかと、界隈のお店を訪ね歩くことに。

そしてカフェの店員に紹介された、マダム・ルネ(ルネ・ル・カルム)という女性の部屋をさっそく訪ねる。
ドアを開けて現れたおばあちゃんのマダム・ルネの部屋の中には、6匹もの猫がおり、みんなが預けに来るので安心してヴァカンスへ行ってくるようにと言ってくれる。

 ひとり海でヴァカンスを満喫したクロエは、戻ってすぐにグリグリを引き取りにマダム・ルネに会いにいくが、グリグリが行方不明だと言われる。

3,4日前に台所の窓を開けていたので、そこからいなくなったのか、あちこち聞いて回ったが誰も見ておらず、マダム・ルネは夜も眠れないと落ち込んでいた。

クロエはひとり、黒い猫を見かけなかったかと街中を捜し歩くことに・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1996年/フランス/91分
  • 監督・脚本:セドリック・クラピッシュ
  • 音楽:ポーティスヘッド
  • キャスト:ギャランス・クラヴェル/ジヌディーヌ・スアレム/ルネ・ル・カルム/オリビエ・ビィ/ロマン・デュリス

レビュー

 96年の4月、フランスで公開されるや67万人を動員する大ヒットとなった、セドリック・クラピッシュ監督の『猫が行方不明』を観る。

ある映画雑誌のフランス映画特集で見つけた、とってもチャーミングなコメディです。

 物語はとてもシンプルで、ヴァカンスへ行ってる間に預けておいた猫が行方不明となり、ご近所さんたちとパリの町を捜して回るっていうお話。

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 ほんとにシンプルで始まってすぐ心配になったけど、とにかく予告編にもあるんですが、ご近所スター総出演というか、このご近所さんたちがとにかく素晴しい!

なかでも猫を預かってくれるマダム・ルネ役のおばあちゃんの存在感というか、演技というかキャラクターが秀逸です。

実はこの飼い猫が行方不明となったエピソードは、監督の友人がマダム・ルネに猫を預かってもらって、ヴァカンスから帰ってきたら猫が行方不明となったという、実際に起こった出来事で、マダム・ルネは本人役でそのまま出演してもらったとのこと。

さらに驚いたのは、このおばあちゃんは女優さんでもなく、そのまま実際の自宅で普段どおりに、実生活と演技の区別なく撮影されたんだって。

他のおばあちゃんたちも含め、プロの俳優さんと素人の出演者達を一緒にして、何が起こるか予想がつかないって感じで即興的に撮影されており、どうりで主人公の女優さんの戸惑い振りが真に迫っていたかの訳が、後から分りました(笑)

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ちなみにマダム・ルネ役のおばあちゃんは、同じセドリック・クラピッシュ監督の『百貨店大百科』にエキストラとして出演しています。

また恒例なっている自身の監督作品にちらっと出演するクラピッシュは、本作ではクロエとジャメルがビラを貼っているときに、段ボールを抱えて出てくるおじさんがそうです(^^)

 オーディションで選ばれ、本作が初主演となった主人公のクロエ役のギャランス・クラヴェルは、新人らしくとても瑞々しく、若さ故の未熟さと可能性をナチュラルに、ときにユーモラスに演じ、セザール賞の有望若手女優賞にノミネートされる。

パリの街をひたすら猫を捜して歩き回る姿が、とっても可愛らしいです。
なぜか変な人ばっかり寄ってくるんですけどねえ(笑)ちなみに猫のグリグリは、実際にギャランス・クラヴェルが飼っていた猫でした。

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 そして一緒に猫を捜すことになる、ちょっと頭の弱いジャメル(ジヌディーヌ・スアレム)の、人と接することの不器用さと、クロエにアプローチする勘違いぶりが微笑ましいです。
彼も素人さんだと思っていたら、なんと舞台俳優で、本作での味のある演技で大人気となり、以降引っ張りだこの俳優さんになったとのこと。

 猫を捜しいるだけなんだけど、そこから今まで話もしたこともないご近所さんたちと出会い、その輪が広がっていく。
こんなに身近に、そしてこんなにたくさんの個性的な人たちが住んでいたのに、まったく会ったこともなく交流も一切無いという、孤独というのものを図らずも自覚することになるクロエ。

恋愛についても煩わしさから、ゲイのルームメイトにしか心を許せないという、くすぶりかたも強烈なクロエだったんだけど、図らずも行方不明になった猫を捜しているうちに、本当に自分が捜していたものが何だったのかに気がつき、幸せの歯車が動き出す。

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 劇中古い教会が取り壊されてるシーンがあり、同じように壊れていく近隣関係は、当然パリだけではなく、すべての場所で起こっているものであり、その中で失われていく人情というか、人のやさしさがなんだか懐かしく、切ない気持ちにさせられます。

昔はよかったってほどいい時代ではなかったけど、今よりはましかな。

 若くて美しいパリジェンヌからおばあちゃんという、様々な世代の女性達の生き方を、行方不明の猫を探すという過程で描いていくドラマ。

黒人や同性愛者、世代から人種にと様々な愛の形が入り交じった、カオスのようなパリという名の世界で、たくましく自由に生き生きと暮らしている人たちを、ユーモラスに描いてみせてくれた作品だった。

観終わった後はなんだかあったか~い気持ちになり、たくさんの人たちに観てもらいたいなって思わせてくれる映画でした。

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このレビューをアップした時点で、残念ながらPrime videoでは配信されていません。(2023/3/5)

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