あらすじ
高級マンションで目覚めたジャック(ニコラス・ケイジ)は朝からハイテンション。
オペラを大声で歌い高級スーツに身を包む。
そしてウォール街にある、自らが社長を勤めるオフィスビルへ颯爽と、そして自信満々と入っていく。
すべてを手に入れたジャックは、クリスマス・イブの夜も遅くまでオフィスにいた。
外の街並みを見てなぜか車に乗らず歩いて帰ることに。
その途中降り出した雪の中、遠くで明かりが灯る店に気が付く。
お気に入りの”エッグノック”を買いに店内に入ると、すぐに小柄な黒人の青年がやってきて、店員に何か大声でまくし立ててる。
突然銃を取り出す青年に、店内は緊張に包まれるが、銃口を向けられながらもなんとかジャックが機転を利かし、お金で解決すると、その青年と一緒に店の外へ出て行く。
青年を心配するジャックに、青年は「何か必要なんだろ?」と問いかける。
「全部ある」と答えるジャック。
「これから起きることはあんたが招いたことだぞ」と、意味深なセリフを残し青年は去っていった。
翌朝、ベッドで目覚めると隣で女性が寝ていることにジャックは驚く。
そして小さな女の子が赤ん坊を抱えてベットに上がり飛び跳ねながら言う。
「パパ起きて!」・・・
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:2000年/アメリカ/125分
- 監督:ブレット・ラトナー
- 脚本:デヴィッド・ダイアモンド/デヴィッド・ウェイスマン
- 音楽:ダニー・エルフマン
- キャスト:ニコラス・ケイジ/ティア・レオーニ/ドン・チードル/ジェレミー・ピヴェン/ソウル・ルビネック/マッケンジー・ヴェガ
レビュー
”あの時「YES」とこたえていたら、二人は、どこにいたのだろう。”
当時ニコラス・ケイジファンの人から熱烈にススメられた、ブレット・ラトナー監督作『天使のくれた時間』を、久しぶりにBlu-rayにて鑑賞。
「ザ・ロック」や「コン・エアー」に「フェイス/オフ」と、アクション映画でヒットを連発していたニコラス・ケイジの作品は結構観てたのに、この作品のことは全く知らなかった。
話題になってたら大抵タイトルだけでも耳に入ってくるのになあ~、なんて観る前に一瞬不安がよぎったのを思い出す(^^;)
それでもジャケットの写真に写った女優さんの、清楚で感じのいい素敵な笑顔を見て即観ることに(^^)
なんて初めて見る女優さんだと思っていたが、98年の「ディープ・インパクト」でティア・レオーニはしっかり見てたんだけど、どういう訳か気づかなかった。
たぶんあの映画での彼女は、険しい顔ばかりしてたからなあ・・・(^^;)
物語は、投資会社の社長として人生の成功を掴んでいた男が、ある朝目が覚めると、13年も前に別れたはずの女性と結婚し、さらに二人の子供まで生まれて、平凡に暮らしをしているという、全く別の人生を歩んでいる世界に飛ばされるというもの。
”自らの人生を振り返って、あの日あの時、もし別の決断をしていたら今どうなってたんだろう”
人生で一息つく頃、誰もが考えてもどうにもならない別の人生を想像してしまうもの。
そんな想像が現実になったら・・・。
まさしくそこはもう一つの平行する別次元の世界であり、マーベルなどで混乱させまくっているマルチバースの世界。
主演は私の中ではアクション映画でかっこいい役をやるより、「赤ちゃん泥棒」や「月の輝く夜に」で演じた冴えない役の方が絶対あってると思っていたニコラス・ケイジ(^^)
今回は社長という人生の勝ち組って感じで、その尊大ぶりが鼻についたが、もう一つの世界に入り込んでからがすこぶるいい!
情けない顔にヒステリックに喚き散らすパニックぶりは、まさしくはまり役だ(笑)
そしてさらにいいのが妻ケイトを演じたティア・レオーニ。
慎ましくも明るくて優しさに溢れたオーラに、なんて素敵な女優さんになったんだろうと感心してしまった。
ただ本作出演後、次回作の「ジュラシック・パークⅢ」ではアクションをしたり、その後もコメディエンヌの方向へ行ってしまったりと迷走してしまう。
本作は、そんな彼女の本来の美しさと魅力がMAXで輝いた、ティア・レオーニの最高の一本となっている。
そして娘アニーを演じたマッケンジー・ヴェガちゃんの可愛いこと。
別世界からやってきたジャックを、「あなた宇宙人でしょ」といい、あれこれ戸惑うジャックに優しくアドバイスを送るという愛らしさ(^^)
はっきり言って、こんな愛情豊かな奥さんに可愛らしい娘がいた日にゃあ、そりゃあこっちの家族がいる世界の方がいいに決まってるって、なんて思ってしまった。
ただそんな感情も時代の変化により、今では結婚に対する価値観の多様化は、必ずしも人生の幸せへのステップが結婚だけではないと感じ、前に観たときとは若干違う印象に変わっていた。
映画では、裕福でなくても暖かい家庭で愛するものたちと暮らす方が、幸せだみたいな展開だけど、幸せの定義は人それぞれ。
それに幸せかどうかなんて何かと、そして誰かと較べるものじゃないんだけどね。
それでも、何をもって人は幸せと感じるのだろうなんて想いをめぐらせ、豊かな人生を送るために自分に一番必要なものは何かを、もう一度気づかせてくれる作品でもあった。
必要なものは全部あるとうそぶくジャックに、こんな幸せな世界もあるんだぞっていう、よ~く考えたらかなりお節介な天使だったけど、生きていく中で”愛”というかけがえのないものが、ジャックには欠けていたことを気づかせたかったのかな。
あれもこれもと欲張ってた自分、なんだかとっても癒された。
ネタバレになるので書けないけど、観ているこちらに委ねられる結末も、とってもロマンチックだった(^^)
Blu-rayの特典映像について
Blu-rayの特典映像として、メイキングや未公開シーンなどが収録されています。
未公開シーンの中に、なんでカットしちゃったんだろうっていう、別の世界で妻のケイトや娘のアニーとのエピソードがいくつかあり、どれも素敵なシーンでした。
NG集は、ニコラス・ケイジ演じるジャックと、別世界では親友となっていたジェレミー・ピヴェン演じるアーニーが、ふたりで話しているシーン。
ニコラス・ケイジがジェレミー・ピヴェンの顔を見ると可笑しくなるのか、何度も笑いをこらえきれず吹いてしまうという、何度も観たくなるシーンでした(^^)
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