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映画『ノッティングヒルの恋人』レビュー ★★★★☆

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 大勢の歓声と無数のカメラフラッシュを浴び、にこやかに微笑む女性。
ハリウッドを代表するアナ・スコット(ジュリア・ロバーツ)の最新作は、またしても大ヒットを記録した。

一方ロンドンの一角にあるノッティングヒルの、フード店やタトゥーの店に美容室など、様々な店が建ち並び人々が賑やかに行き交う街の中を、これが僕の世界のすべてだと歩いているウィリアム・タッカー(ヒュー・グラント)。

近所にはたくさんの友人がいるが、街の一角にある青いドアの自宅には、同居していた妻は別の男と駆け落ちをし、今は変わり者のスパイク(リス・エヴァンス)が同居人でいる。

ウィリアムは旅行書だけを扱う専門店を経営しているが、売り上げはため息が出るほど赤字続きだ。
そこへ一人の女性が店の中に入ってくる。(もちろんこの女性がアナ・スコット^^)

ウィリアムはアナの顔を見てまさかと思うが、「何かお探しですか」と声をかける。
「いいの 見ているだけ」と答えるアナ。

トルコの旅行書を見ていたアナに、別の本の説明をしていたところ、防犯カメラにズボンの中に本を隠している男の姿が映る。

ウィリアムはすぐに男に声をかけ、警察へ通報されるか、見てないうちにズボンから本を出し、綺麗に拭いて棚に戻すかといい、そこ場から離れる。

すました顔で戻ってきたその男は、不意にそこにいたアナに「サインを」という。
ウィリアムが驚いている中、アナは気軽にサインをし、本を買って店を出て行った。

呆然と外を眺めるウィリアムだったが、そこへ店員のマーティンがコーヒーを買って戻ってくる。
一気に飲み干したマーティンにおかわりを聞き、オレンジジュースを買いに店を出るウィリアム。

オレンジジュースとパンを両手に持ち、歩いて戻っている途中、なんと街角でアナとぶつかってしまい、アナのシャツはジュースで黄色に染まってしまう。

慌てたウィリアムは、近くに家があるので来て欲しいというと、アナはちょっと考えた末行くことにする。
自宅にアナを連れて入り、大急ぎで散らかっているものを片付け、2階のバスルームと電話の場所を教える。

すぐにシャツを着替えて降りてきたアナに、何か飲み物をと勧めるが断られ、最後のチャンスだと「あなたはとても素敵だ」と気持ちを伝える。

アナは何も言わずドアを開けて出て行ったが、すぐに買った本を忘れたといい戻ってくる。
急いで本を取りに戻りアナへ手渡すと、突然アナはウィリアムにキスをする。

と、そこへスパイクが帰ってくる。
気まずい雰囲気の中、このことは内緒にしてと言い残し、アナは出て行った。

 それから数日後、スパイクに僕に電話がなかったかと聞くと、数日前にアナという女性から、リッツにいるから電話してというメッセージがあったことを聞き出す。

すぐに電話をし、花束をもってホテルへと向かうウィリアムだったが・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1999年/イギリス・アメリカ/123分
  • 監督:ロジャー・ミッシェル
  • 脚本:リチャード・カーティス
  • 音楽:トレヴァー・ジョーンズ
  • キャスト:ジュリア・ロバーツヒュー・グラント/リス・エヴァンス/ジーナ・マッキー/ティム・マッキナリー

レビュー

 「陰謀のセオリー」に「ベスト・フレンズ・ウェディング」のヒットにより、ハリウッドを代表する女優となったジュリア・ロバーツと、同じくゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞した「フォーウェディング」の大ヒットにより、イギリスを代表する男優となったヒュー・グラント

そんなノリにノッていた人気俳優二人の夢の共演となった『ノッティング・ヒルの恋人』をBlu-rayにて鑑賞する。

 ロンドンのノッティングヒルの一角に、旅行書の専門の本屋を開いているウィリアム・タッカーのもとに、ある日突然ハリウッドスターの女優アナ・スコットが現れ、二人は一瞬で恋におちるという物語。

この全く住む世界が違う二人が出会い、恋におちるという展開は、まさしく「ローマの休日」の王妃と新聞記者のラブストーリーをイメージさせ、この夢のような恋のゆくえにずっと胸をときめかせることに(^^)

そしてラストで迎える最高の幸福感を感じながら、恍惚として聴きいるエンドロールの音楽に、身を委ねている。
こんなに幸せな気分にさせてくれる映画が観れたことに感謝(^^)

 まずこの素晴らしいキャスティングについて語りたい(^^)

主人公のウィリアム・タッカーを演じるヒュー・グラントの、一応さえない本屋さんという設定ながら、ジュリア・ロバーツと並んでもまったく違和感を感じさせない、スマートでいて絵に描いたような見事な優男ぶりが素晴らしい。

劇中でハンサムだった顔も崩れてきた、なんて台詞もあったが、ほとんど素で演じているようなナチュラルさに、少したれ目の優しさがにじみ出る表情で、本作を観た女性達を魅了したのは間違いないだろう(^^)

出典元:https://www.amazon.co.jp/

 そしてとにかくジュリア・ロバーツが美しく、そのキラキラと輝く瞳と、にじみ出るエレガントな美のオーラに圧倒され、さらにすでに本物のハリウッドスターである彼女の、スクリーン以外のプライベートな表情も見ているようで、彼女の移り変わる表情をずっと目で追っている。

ジュリア・ロバーツの出演作って、なぜかビッチ感を押してくる作品がちょいちょいあり、そういう意外な彼女を観るのもいいんだけど、本作のように純粋に彼女を美しく撮ってくれた本作が私は好きです。
宇宙服姿さえも美しい(^^)

 そして主人公を取り巻く同居人や友人達が、すべて魅力的で個性的なキャラが立っており、みんなで集まって語り合うシーンのアットホーム感は、見ているだけでアナと同じように心が和んでいく。

中でもウィリアムと同居しているスパイク役のリス・エヴァンスは、間が抜けてるけど憎めないという愛すべきキャラを軽妙に演じている。

Blu-rayのメイキングで、ジュリア・ロバーツがリスと一緒の時は、笑いをこらえるのに大変だったと語っていた(^^)

そんなとぼけたスパイクが、後半でアナをあきらめかけてたウィリアムにいうセリフ、めちゃくちゃ良かった~。

さらにウィリアムのファンキーな妹役をキュートに演じたエマ・チャンバースは、イギリスでは誰もが知るTVで活躍する女優さんで、今回映画初出演だったらしい。

他にも旅行書専門の店なのに、ディケンズやグリシャムの新作はと聞いてくる客とか、小さな役にまでかなり細かい設定を施しているキャスティング、最高です。

 そしてやはり恋のゆくえもそうだけど、そこへ盛り込まれるエピソードがどれもほんわかして温かくさせる、リチャード・カーティスの脚本が抜群に素晴らしい。

もし毎週食事に行く友人の家へ、有名人を連れて行ったらみんなどんな反応を示すだろうかという発想から始まったと、本人がメイキングで語っていた。

ハリウッドの世界ということで、メグ・ライアンやレオナルド・ディカプリオなど実名でエピソードをぶっ込んだり、とにかく手が込んでいる。

駆け落ちした妻の相手が、ハリソン・フォード似だったって(爆)
これらの妄想に、「ローマの休日」を掛け合わせて完成した作品なんでしょうね。

ただ「ローマの休日」とは明らかに違うところがある。

アン王女とジョーブラッドレーは街で偶然出会い、二人でスペイン広場やローマ市内を巡っていく内に、だんだんお互いが惹かれるようになるんだけど、ラストは切ない別れが待っていた。

本作はいきなり一目惚れというぐらい、二人はいきなり恋に落ちてしまう。
ウィリアムはスクリーン上の彼女しか知らないはずだし、アナにいたっては全く初対面の男で、一体どこに惚れたのか(^^;)

劇中でウィリアムが語る
”互いに愛し合える相手を見つけるのは、奇跡に近いことだ。”
ということで、一目惚れというのも奇跡だからまあいっか(^^)

そしてラストは、・・・幸せのうちに幕は下りる。
「ローマの休日」で味わった切なさを返してもらえます(^^)

 メイキングで製作のダンカン・ケンワーシーが脚本のリチャード・カーティスについて、

”「近年のコメディは誰かをけなすようなネガティブな笑いが多い中、リチャードは人々の個性や人間味によって笑わせ、笑えると同時に心が温まるんだよ」”

と語っていた。
この見終わった後のたまらない幸福感は、そういうことだったのかと改めて納得した。

特典映像のメイキングについて

 Blu-rayの特典映像には、約15分ほどのメイキングに、未公開映像が収録されており、スパイクのおとぼけシーンの他に、なんともう一つのエンディングなんてタイトルの映像もあります。

それは友人のトニー・クローのレストランで、ウィリアムとその友人達にアナを加えたみんなで、テーブルを囲み食事をしているシーンで、ウィリアムがアナに向かって、

”「今が最高とはいえないが、愛する人と一緒ならどんなことも苦にならない」”

といい、二人がキスをしたあとみんなで笑い合うという、まあ普通のエンディングでした。
ただその時のジュリア・ロバーツお馴染みの”ガハハ”笑い、結構好きです(^^)

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