映画『初恋のきた道』レビュー ★★★☆

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 昨夜村長から父の突然の死を知らされ、ルオ・ユーシェンは吹雪の中、仕事が忙しく何年も帰っていなかった故郷の三合屯という小さな村へと車を走らせていた。

 残された母が心配だったユーシェンは、実家に着くとすぐに家の中を探すが母はおらず、外で車を見たとやってきた村長から、父の死について話を聞かされる。

村でずっと教師をしていた父は、以前から学校の建て直しを考えていたが村には金がなく、代わりに父が金集めに奔走していて、ある日町から戻る途中で吹雪に遭い倒れてしまい病院へ運ばれたが、心臓病も患っていたこともあり亡くなってしまったとのことだった。

そして村長は県の病院の霊安室に睡る父の遺体を、明日か明後日に車で村に連れて帰り葬式を挙げようと思っているが、ユーシェンの母が車で運ぶのを反対し、村に古くから伝わるしきたり通り、父の遺体を担いで帰ると言ってきかないという。

村の若い者はみんな外に働きに出て、残ったのは年寄りと子供しかいないし、トラクターで運べば半日で戻ってこれるので、なんとか母親を説得して欲しいと言われる。

 母は父が死んでずっと学校の前に座り込んでいると聞き、すぐに母の元へと向かうユーシェン。
学校の前でひとりうなだれて座っていた母は、ユーシェンの顔を見て泣き崩れる。

そのまま母を家へ連れて帰ると、母は父の棺に掛ける布を織るので、機織り機を出してくれという。
ユーシェンは布なら買ってくればいいというが、一心に機を織る母の背を見るとどうしても止められなかった。

 ユーシェンは部屋に飾られた、若い父と母の新婚当時の写真を眺めながら、昔聞いた二人のなれそめを思い出す。
父は村の人間ではなく、当時よそからやってきた父と母の恋愛は村中を騒がせた・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1999年/中国/89分
  • 監督:チャン・イーモウ
  • 脚本:パオ・シー
  • 音楽:サンパオ 
  • キャスト:チャン・ツィイー/チョン・ハオ/スン・ホンレイ/チャオ・ユエリン

レビュー

 「グリーン・デスティニー」のチャン・ツィイーが映画初出演となった、チャン・イーモウ監督作『初恋のきた道』をDVDにて久しぶりに鑑賞する。

 第50回ベルリン国際映画祭の銀熊賞を受賞した作品だけど、この嬉し恥ずかしのジャケット写真やタイトルから、まあ観ることはないと思っていたが、何年か前にたまたま光テレビでやっていたので観た作品だった。

 街から小さな村に馬車に乗ってやってきた教師チャンユー(父)に、一目で恋におちてしまったチャオディ(母)。
チャンユーに食べてもらいたくて一生懸命に料理をし、校舎から聞こえるチャンユーの声を聞きたくて毎日通い、学校が終わり家が遠い子をチャンユーが送り届けると聞くと、道の途中で待ち伏せし遠くから眺めていた・・・。
 
 恋するチャオディを初主演で演じるチャン・ツィイーの、初々しい表情をアップでとらえた映像は本編のほぼ七割を占め、その移り変わる豊かな表情を中心につづられるラブストーリー。

恋心に突き動かされ、心の底から嬉しそうにあどけなく微笑む表情やいじらしい姿はどこまでもまぶしく、チャン・イーモウ監督はその純粋無垢な輝きを体現するチャン・ツィイーの一瞬一瞬のきらめきを、鮮やかにカメラに納めていく。

そしてチャン・ツィイーは、丸々と着込んだ服でパンパンになった体を揺すりながら、なぜか両腕の肘は伸ばしたままひたすら走る・走る・走る(^^)

そこにはテクニックやあざとさなど余分なものは一切ない。
そんなチャン・ツィイーを見ているだけで、初恋のように甘酸っぱくて切ない想いを、観る人それぞれが思いを馳せるだろう若き日のかけがえのない記憶とともに、色鮮やかに蘇らせる。

 オープニングは雪が降り積もる極寒のモノクロの世界で、ただ年老いた母のわががまに翻弄される息子っていう感じだった。

けれど回想で雄大な景色の中で健やかに愛を育む若い二人の物語を終えて、再びモノクロの世界へ戻ると、そこは貧しく厳しい環境であることは変わらないが、いつまでも消えることのない愛の記憶と人の優しさに、全く違う温かさに包まれた世界が広がっていたと感じさせるラストも素敵だったなあ。

 あとどういう訳かこのタイトルを聞くと、昔TVでウッチャンがやっていたチャン・ツィイーの走るモノマネが浮かんでくる(笑)
そして作品を見終えた今、私も猛烈に真似してみたくなっている(^^;)

なおDVDのジャケットの裏に高倉健さんの言葉が掲載されていた。

”「ー絆ー
何もかもが簡素化されてしまって本当に伝えなければならない想いが見えなくなってしまった今の時代に、”絆”という言葉の意味の大切さを改めて思い知らされました」”


健さん素敵です。

DVDの映像特典について

 DVDに映像特典が収録されており、フィルモグラフィーとしてチャン・イーモウの監督作とチャン・ツィイーの出演作のタイトルがただ羅列してあるというだけのもので驚く。

さらにそこでチャン・ツィイーが華麗なワイヤーアクションを見せてくれたアン・リー監督作「グリーン・デスティニー」が、本作の翌年2000年に公開されていたことを知りさらに驚いてしまった。

あの可憐だったチャン・ツィイーが、1年後には剣を振り回して勇ましく闘っているなんて(^^;)

 あと映像特典として収録されていたのは予告編だけで、メイキングはありませんでした、残念。

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