映画『ブルーベルベット』レビュー ★★★★

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 静かな田舎町ランバートン、穏やかな日差しの中、庭に水をまいていた男が突然苦しみながら倒れる。

大学生のジェフリー・ボーモント(カイル・マクラクラン)は、突然の発作により倒れた父を見舞いに病院に行き、変わり果てた姿でベッドで横になる父を目の当たりにして息をのむ。

その帰り、ジェフリーは偶然空き地の草むらの中にあった人間の耳を発見する。
拾い上げた耳をそばに転がっていた袋に入れると、すぐにランバートン警察に向かった。

父の知り合いでもあるウィリアムズ刑事に会い、病院から帰る途中の野原で耳を拾ったことを報告する。

耳はすぐに検視に回され、ウィリアムズと一緒に検視官の話を聞くジェフリー。
検視官は、こらはハサミで切断されたようだという。

 その夜、謎に興味を持ったジェフリーは、好奇心を抑えきれずウィリアムズの家を尋ねるが、興味がわくだろうが、これ以上深入りしないように諌められてしまう。

しかし同じ様に興味を持ったウィリアムズの娘サンディ(ローラ・ダーン)から、父の書斎から聞こえてきた、ある女性歌手の名前を教えてもらう。

その女性が住んでいるリンカーン通りのアパートが近いことを知り、すぐに見に行く二人。

 その後ジェフリーは、サンディにその女性ドロシー・ヴァレンズ(イザベラ・ロッセリーニ)の部屋に、害虫駆除の作業員となって入リ込むので、すぐに彼女の元へ訪ね、そのすきに窓の鍵を開けるので手を貸して欲しいと持ちかける。

ジェフリーとサンディは、ドロシーの住むアパートの前に車を止めると、打合せ通りジェフリーは害虫駆除の作業員として、ドロシーの部屋のドアをノックする。

ドアを開けて顔を出したドロシーは、怯えながらどなた?と訪ねたが、害虫駆除だと分ると部屋の中に通してくれる。

そこへ気をそらすために現れるはずのサンディではなく、黄色の背広を着た男が入ってくる。
男とドロシーが一緒に外に出た瞬間、ジェフリーは部屋の鍵を盗む。

 その夜、ジェフリーは留守を確認するとドロシーの部屋に鍵を使って侵入する。

しかし帰ってきたドロシーに、クローゼットに隠れていたジェフリーはすぐに見つかってしまうが、夫と子供を監禁されて苦しんでいるドロシーに惹かれてしまい、ドロシーもそんなジェフリーの優しさに惹かれてしまう。

感情のままに再びドロシーに会いに来たジェフリーだったが、そこへフランク・ブース(デニス・ホッパー)という謎の男が現れ、すぐにクローゼットに隠れたジェフリーだったが、フランクに恥辱的行為で犯されるドロシーを見てしまう・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1986年/アメリカ/121分
  • 監督・脚本:デヴィッド・リンチ
  • 音楽:アンジェロ・バダラメンティ
  • キャスト:カイル・マクラクラン/イザベラ・ロッセリーニ/デニス・ホッパー/ローラ・ダーン/ジョージ・ディッカーソン

レビュー

 「マルホランド・ドライブ」「ツイン・ピークス」の鬼才デヴィッド・リンチ監督のカルト・スリラー『ブルーベルベット』をBlu-rayにて鑑賞する。

 本作は私が一番最初に出会ったリンチ作品であり、そのあまりの衝撃で最初ははっきり言って、どういう映画なのかよく分からなかったが、次第にその悪魔的な闇に魅せられて、以降リンチワールドを追いかけるきっかけとなった作品。

 偶然野原で人間の耳を拾ってしまったジェフリーは、好奇心から事件に関係していると思われるクラブ歌手のドロシーの住むアパートの部屋に忍び込んだことから、事件に関わるフランクという男が住む狂気の世界に巻き込まれていく。

 決して交わることのない光と影の世界、それは決して交わってはいけない禁断の世界。
何事もなく過ごしているごく身近な平穏な世界と、背中合わせのように潜む闇の世界。

偶然人間の耳を拾ったことで迷い込む、甘美と暴力が渦巻く不条理な世界に、しばらくは戸惑っているが、主人公と同じように次第に引きずり込まれていく。

それはまるで行き場のない迷宮に迷い込んだように、常に不安を掻き立てる。

はっきりいってそれは常軌を逸した世界であり、その過激さは万人にはあまりおすすめできない作品です。

ただ自分のどこにそんな世界を欲している心があるのか、気がつくと開いてはいけない禁断の部屋に踏み込んでしまっている感覚。

め、めまいが・・・(^^;)

 キャスティングは闇の世界に足を踏み込んでしまったジェフリーに、「デューン/砂の惑星 」に続くリンチ監督作品となったカイル・マクラクラン

彼のイメージとしては感情があまり表情に出ないタイプという、ちょっと他の俳優と異質な立ち位置にいる感じなんだけど、本作はめずらしく普通っぽい若者を演じている。

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といいながらも、この狂気の世界にしっくりと馴染んでしまう若手俳優は、やはりつかみ所が無い謎めいた空気をまとうカイル・マクラクランだけかなあ。

そんな彼が割と早い段階でみせる鳥が歩くものまねの、なんと衝撃的なことか
えっえっ、あのカイル・マクラクランが(爆)

 そして異常な性癖を披露する、フランクを演じるデニス・ホッパーの鬼気迫る怪演に、リアルに堅気でない彼の本質を覗いているような恐怖を感じる。

このシーンのせいで、誰かと一緒に本作を見ることができなくなった(^^;)
この作品が好きといったら、たぶん変態と思われるから(爆)

さらに狂気と愛に翻弄されるドロシーを演じる、イザベラ・ロッセリーニのめまいを起こしそうな官能美。

彼女が屈辱的な演技を強いられたと、評論家達に作品自体を酷評されることになった数々のシーンは、リンチ・ワールドに欠かせないものだったと思われるが、私もそこまでするっていうほどの過激さで、監督のサディストぶりにひいてしまう。

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 そんな中でも一番怖かったのは、ジェフリーとドロシーの関係を知ってしまい、ショックを受けるローラ・ダーン(サンディ)の顔かな(爆)

 しかしそんな個性的な俳優達を配しながらも、画面に映る隅々にまでこだわり抜いた映像で見せる、目に見えているものの裏側に隠れる、暗く不気味な闇を強烈に感じさせる、リンチの妖しくも美しい悪夢的世界が素晴らしい。

オープニングの発作で倒れた人間が握ったホースから出る水に噛み付く犬と、その画面の奥からよちよち歩きで近づいてくる幼子。

このシーンだけで、私はもうぞっとしてしまった。

夜道に犬の散歩の途中で突っ立っている男とか、すべてに意味があるよう感じさせ、見る者に常に不気味な想像を掻き立てさせる。

 未だにその評価は二分される程、見る人によってまったく違う印象を与えるこの異色作。
理屈では抗えない、まだ見ぬ世界への好奇心という名のささやき。

しかしこの「ブルーベルベット」の音楽にのって繰り広げられる不条理な世界は、今も私の心を引きつけて離さない。

特典映像のメイキングについて

 Blu-rayの特典映像にかなりボリュームのあるメイキングが収録されているんだけど、そこで語られるデヴィッド・リンチへのキャスト・スタッフ達の証言やエピソードが最高に面白かった。

例えばリンチは子供の写真と一緒に、常に鶏肉をバラバラにした写真を持ち歩き、部位の写真を色々入れ替えたりしてるっていうエピソードとか、やはり彼の作品は普通の人では描けない世界なんだと改めて納得する(笑)

この人の目に映ってる世界は、もはや誰にも想像できないんだろう・・・。

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