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映画『ミッドナイトクロス』レビュー ★★★★

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 映画の音響効果マンのジャック・テリー(ジョン・トラボルタ)は、現在製作中のB級ホラー映画をスタッフと編集していたが、劇中で襲われる女優の悲鳴が酷く使えないとダメ出しをされ、風の音もいつもの同じ音で新しく撮り直すように依頼される。

 その日の深夜、風の音を録音するために静かな郊外の、川に掛かる橋の上でガンマイクをかざしているジャック。
ヘッドフォンから聞こえてくる風の音に混じり、アベックの声やカエルやフクロウが鳴く声に耳を澄ます。

そこへ走ってくる車の音が聞こえ、その方向へガンマイクを向けるジャック。

すると突然破裂音が響き渡り、ジャックの目の前を猛スピードで走ってきた車が柵を突き破って、川へとダイブした。

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徐々に川の中へと沈んでいく車に、ジャックはすぐさま川に飛び込み、車内に閉じ込められた女性を川底にあった石で窓をたたき割りなんとか救出するが、一緒にいた男は既に死んでいた。

 警察官が溢れ騒然とする病院の中、治療を受けていたジャックは刑事から事情聴取を受け、パンクの前に別の破裂音がしたと説明したあと、助けた女性の様子を見に治療室を訪ねる。

鎮静剤でふらつきながらベッドの横に立っていた女性はサリー(ナンシー・アレン)と名乗り、はやく家に帰ると言い出す彼女を優しくなだめ部屋を出たジャックは、病院の入り口ロビーで激しくもみ合う警官とマスコミたちに驚く。

近くにいた警官に何の騒ぎか尋ねたジャックは、死んだ男が知事で次期大統領候補のマクライアンだったことを知らされる。

そして知事の選挙参謀と名乗る男に奥の部屋に連れて行かれると、スキャンダルがマスコミに知られないようにすべて見なかったことにしてくれと頼まれる。

納得いかないジャックだったが、残された遺族のためだと説得されしぶしぶ了承すると、サリーと一緒に裏口から出て行くように言われる。

 サリーは記者に既に家を張られている心配があるといい、ジャックも自分も第一発見者で一緒だと、ふたりでモーテルに泊まることにする。

ふらつくサリーを抱えなんとかベッドに寝かせたジャックは、すぐに録音したテープを聞き返してみる。

そこにははっきりとタイヤの破裂音に重なるように、銃声の音が録音されていた・・・。 

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1981年/アメリカ/113分
  • 監督・脚本:ブライアン・デ・パルマ
  • 製作:ジョージ・リットー
  • 撮影:ヴィルモス・シグモンド
  • 音楽:ピノ・ドナッジオ
  • キャスト:ジョン・トラボルタ/ナンシー・アレン/ジョン・リスゴー/デニス・フランツ

レビュー (ネタバレあり)

 現代サスペンス映画の第一人者ブライアン・デ・パルマ監督の傑作サスペンス『ミッドナイトクロス』を観る。

 映画に付ける効果音を録音していた音響技師のジャックは、偶然目の前で自動車が川に飛び込む事故を目撃する。

死亡した男が次期大統領候補であり、女性が同乗していたことでスキャンダルにならないよう、ひとりで運転し事故に遭ったことにするため口止めされるジャック。

ただ、録音したテープに銃声が入っていたことで、その時に救出した女性サリーに協力をもとめ、ジャックは独自に調査をしていくが、次第に魔の手が迫ってくる・・・。

 ヒッチコックの後継者を予感させた「殺しのドレス」の次回作として製作され、その後「ボディ・ダブル」に「アンタッチャブル」と、ある意味デ・パルマ監督が一番輝いていた80年代を代表する作品であり、私がデ・パルマ作品の中で一番好きな作品。

 デ・パルマ得意のスローの長回しにグルグル回るカメラワークと画面分割、そしてヒッチコックばりに音や小道具を巧妙に駆使してサスペンスフルに展開する演出の冴え。


なんといってもこの胸が張り裂けそうな切ないラストは完璧です。

いきなりネタバレのようにラストのことを書いてしまったが、本作はラストを知ってもう一度観るとさらに素晴らしい作品となっている。

それから今回はところどころで使われる赤色も印象的だった。

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 主演のジョン・トラボルタは、「サタデー・ナイト・フィーバー」や「グリース」での活躍以降まったくのご無沙汰で、久々の主演だったはずだが、過去のトラウマを抱えながらも、事件の真相を究明して行くと同時に、その事件で出会った女性に恋心を抱いていく男を絶妙の熱さで演してみせる。

彼の作品はあまり観たことがなかったので、こんなに上手い俳優さんだったんだと感心する。

トラボルタは本作でタランティーノに見初められ、その後「パルプ・フィクション」に起用されて返り咲いたとか、ジャケットに書いてあった。

 それからヒロインのナンシー・アレンは、そんな美人ではないんだけど、このサリー役ではちょっと足りない喋り方と、ろくでもない男に振り回されてしまう弱さに加え、コケティッシュな魅力も溢れてて、とっても素敵でだった。

観ているものたちに、この女性をなんとしても守ってあげたいと思わせ、激しく感情移入させてくれる(笑)

それからこのレビューを書いてる時に調べて知ったんだけど、この時期なんとデ・パルマ夫人だった。
わずか4年で離婚するんだけど、それ以降B級作品ばかりになっちゃうんだよねえ、残念。

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 それからジョン・リスゴーが冷酷な殺し屋役で出てるんだけど、何のためらいもなく殺人を犯すレクターばりのサイコ具合はさすが。

こういう役上手いんだよねえ。

本作以降「アンタッチャブル」や「ミッション・インポッシブル」など、それまでのサスペンスのジャンルを越えてアクション大作でヒットを飛ばすデ・パルマ。

私的にはそんな大衆向けの大作より、ヒッチコックのような濃厚なサスペンスを撮り続けて欲しかったんだけど、最近はすっかりご無沙汰で、トラボルタのようにまた復活して欲しい監督なのだ。

【ここからネタバレあり】


 次期大統領候補マクライアンは対抗陣営が雇った殺し屋バークが放った銃弾により、タイヤが破裂し川に転落したものだった。

事件を隠蔽するために、銃弾痕の残るタイヤを替えたりジャックのテープも消されてしまい、残すは一緒に車に乗っていたサリーだけとなる。

大抵は主人公がすんででヒロインを助けるんだけど、本作は間に合わないという最悪の事態を迎えることに。

夜空一面を彩る花火の下、ジャックがサリーを抱きかかえるシーンでは、花火のきらめきがサリーの頬に残った涙を照らして光ってるという、美しくも切ないシーンが目に焼き付けられる。

そしてピノ・ドナッジオの愛おしくそしてもの悲しい調べが、より切なさをかきたてる。

 そんな悲劇のあと、ラストでジャックはなんと殺される寸前で発したサリーの絶叫を、オープニングで観たB級ホラー映画でつかうことに。

最初観たときに、どういう気持ちでジャックはそんなことをしたのか不思議だったが、サリーの悲鳴を聞いて苦しむジャックをみてなんとなく分った。

つまらない男にだまされて振り回されていたサリーを、一緒に謎を究明しようと誘ったのはジャックであり、そのことで命を落としたサリーに対して、結局そんな男たちと同じことをしてしまったという後悔と、贖罪のつもりで使ったのかな。

この苦しみを一生抱えていくことが彼女への償いであり、自分への罰という覚悟で。
エンドロールに入ると、もう切なさでため息しかでなかった。

Blu-rayの特典映像について

 Blu-rayに69分もの特典映像が収録されている。

 製作のジョージ・リットーと撮影監督ヴィルモス・シグモンドへのインタビューのほかに、なんと嬉しいことにナンシー・アレンのインタビューまで収録されていた。

本作は1981年に公開され、このインタビューは2014年に収録されたもので、公開から33年経ってなお変わらないナンシー・アレンの、美しさと可愛らしい笑顔に感激してしまった(^^)

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このレビューをアップした時点で、残念ながらPrime videoでは配信されていません。(2022/08/05)

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