あらすじ
かつてはボリショイ交響楽団の主席まで務め、天才指揮者といわれたアンドレイ・フィリポフは、30年前に起きたある事件により楽団を追われ、今では劇場の清掃員となって働いていた。
そんなある日、アンドレイは劇場支配人レオニードの部屋を掃除している時、偶然送られてきたパリのシャトレイ劇場からの出演依頼のFAXを目にしたことで、ある計画を思いつく。
それは30年前の事件により同じ様に楽団を解雇された仲間を集めて、ボリショイ交響楽団になりすまし、夢だったパリ公演を実現することだった。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:2009年/フランス/124分
- キャスト:アレクセイ・グシュコフ/メラニー・ロラン/フランソワ・ベルレアン/ミュウ=ミュウ
- 監督:ラデュ・ミヘイレアニュ
- 脚本:ラデュ・ミヘイレアニュ/アラン=ミシェル・ブラン/マシュー・ロビンス
- 音楽:アルマン・アマール
レビュー
「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」を破って、パリでオープニングNo.1となり、日本でも単館系で公開され大ヒットとなった『オーケストラ!』を観る。
悲しいことに私の地元では上映さえされなかったんだけどねえ(^^;)
まず2週間でオーケストラを作るために、共産党の圧制により同じ様に楽団を解雇され、音楽を奪われた仲間たちを集めるというところから始まる。
ストーリーの大部分は果たしてメンバーは集まるのか、パリへは無事にたどり着けるのか、そしてコンサートでちゃんと演奏できるのかというドキドキが、ユーモアたっぷりに繰り広げられていく。
まあ最後に見事に演奏して大団円を迎えるというストーリーも含め、見る前からある程度予想できたんだけど、本作はその予想通りの展開をたどって尚、ラストで最高の感動を与えてくれる。
アンドレイがパリ公演にこだわった本当の理由など、ドタバタのほかに感動のエピソードがラストに終結していく様も見事だけど、やはり最後に演奏されるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の、身震いするほどの圧巻の演奏シーンと臨場感に、感動で胸がいっぱいになる。
ヴァイオリンの澄み渡る音色に、次第にすべての音がシンクロし一体となり、劇中すべての人達の心が開放されていくような高揚感が、クラシックなどほとんど聞かない私にも湧き上がってくる。
ブラボー!!
まあ改めてよ~く考えると、30年もブランクがあっていきなりそんなに上手く演奏できる訳がないとか、この作品いろいろおかしなところがあるんだけど、そんなものはもうどうでもいいというくらいラストの見事な演奏に尽きる。
そんな感動的な演奏シーンで、眩いばかりの輝きと透明感で魅了してくれたアンヌ=マリー・ジャケ役のメラニー・ロランの美しいこと。
さらに一番アンドレイを気遣ってくれた親友のサーシャや、かつての敵だったけどこれもある理由から協力してくれることになった共産主義の塊のようなイワンに、口が悪いけど優しいアンドレイの奥さんのイリーナとか、あまり馴染みのないロシアの役者さんたちが実に見事に役を演じていて、作品をおおいに盛り上げています。
久しぶりに気持ちのいい涙を流させてくれた素敵な作品でした。
オススメです。
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