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映画『三人のゴースト』レビュー ★★★

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 IBCテレビ局の社長フランク・クロス(ビル・マーレイ)は、社運をかけて放送するクリスマス番組について、スタッフと会議を行っている。
フランクはクリスマス・イブの夜に生放送される、ディキンズの名作「スクルージ」の番宣CMを見るが、これではインパクトがないとスタッフを叱責し、視聴率を上げるにはこれだと、自分で作った放射能の雨や銃を乱射する過激なCMを放送することにする。

これでは見てる人が怖がると、フランクに意見したエリオットは、即クビになり警備員に会社をたたき出された。
傲慢で冷酷なフランクは、壁に飾ってあった秘書のグレースの息子カルビンの絵を破り捨て、弟のクリスマスパーティへの招待も断り、プレゼントにタオルを贈るようグレースに命令する。

 そんな時、一人社長室にいたフランクの元に突然ドアを突き破り、7年前ゴルフのプレイ中に心臓麻痺で亡くなった、前社長のルーがゴーストとなって現れ、
「この辺で心を入れ替えないと、とんでもないことになる、悔い改めろ」
と忠告する。

そしてルーはこれから君のところへ3人のゴーストが現れると告げ、フランクの胸ぐらをつかみそのまま窓の外に突きだすと、フランクは叫び声を上げながら落下していった・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1988年/アメリカ/101分
  • 監督:リチャード・ドナー
  • 脚本:ミッチ・グレイザー/マイケル・オドノヒュー
  • 原作:チャールズ・ディケンズ
  • 音楽:ダニー・エルフマン
  • キャスト:ビル・マーレイ/カレン・アレン/ジョン・フォーサイス/キャロル・ケイン/ロバート・ミッチャム

レビュー (ネタバレあり)

 チャールズ・ディケンズのクリスマス名作「クリスマス・キャロル」題材に、主人公を現代のニューヨークを舞台にアレンジした、リチャード・ドナー監督作品『3人のゴースト』をBlu-rayにて鑑賞。

 傲慢で冷酷なIBCテレビ局の社長フランク・クロスが、クリスマス・イブの夜の生放送番組を明日に控えていた夜、ゴーストとなって現れた前社長のルーから、3人のゴーストが現れると告げられる。

 まずイブの日の12時に、タクシードライバーとなって現れたゴーストは、フランクを無理矢理タクシーに乗せると過去へ飛び、イブの夜に一人寂しくテレビを見る少年のフランクと、さらにかつての恋人だったクレアとの出会いの場面から幸せに暮らす二人の姿をフランクに見せる。
2番目に現れた妖精のゴーストは現在、3番目のゴーストは未来へとフランクを連れていく・・・。

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 出世のため視聴率のために、思いやりのない冷たい男になってしまったフランクは、3人のゴーストによって過去・現在・未来に連れ回され、失ってしまった大切なものを気づかされるという、予想通りの展開。
というか、「クリスマス・キャロル」の現代版という時点で、主人公がクリスマス・イヴに過去・現在・未来へとタイムスリップすることで改心するというストーリーは、あらかじめ予想できて当然なんだけど、この予想通りの展開がなんとも心地いいのだ(^^)
どんなに主人公がひどい男でも、最後は改心していい人間になると約束されているので、最後まで安心して観ていられる。
ハッピーエンド確定作品なのだ(笑)

 キャスティングについては、実際に暴言やセクハラなどの数々のトラブルを起こして、そこら中でひんしゅくを買っているビル・マーレイの、にじみ出る傲慢さや性格の悪さが、フランク役にバッチリとはまる(爆)

わたしはこの評判の悪いビル・マーレイが、初めて見た「ゴースト・バースターズ」から嫌いだったんだけど、「ロスト・イン・トランスレーション」や「ライフ・アクアティック」を見た頃から、独特の味わいある演技がなぜか気に入ってしまい、以降彼の出演作を数多く観ている。
本作も彼の嫌らしさが存分に発揮されていて、観ていて楽しくなる(爆)

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 そして大好きなカレン・アレンの、ちょっと薄っぺらいキャラクターだったけど、キュートな笑顔が素敵だった。
2008年の「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」で、久しぶりにスクリーンで観れたけど、いつまでもほんとに可愛らしい女優さんで、もっともっとたくさんの作品で観たかったなあ。

 3人のゴーストの中では、ダントツで見た目とは真逆の超暴力的な、キャロル・ケイン演じる妖精のゴーストがいい。
最初の登場シーンで、宙に浮いて足をバタバタさせながらフランクに近づき、いきなり股間を蹴り上げる可笑しさといったら(笑)

見終わった後、クリスマスという特別な日の、特別な幸福感を肌で感じさせてくれた作品だった。

【ここからネタバレ】





 本作はクライマックスの演出がちょっと実験的というか珍しい。
3人のゴーストにより時空を超えたフランクは、なんとか改心したあと「スクルージ」生放送中のスタジオに戻ってくるんだけど、いきなりその番組に飛び込みで出演する。
その場にいたキャストやスタッフ、そして視聴者も含め何が起こっているのか騒然となる。

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そしてここから唐突にフランク役のビル・マーレイの、圧巻の独り舞台が始まる。
まるで舞台を見てるように、芝居がかった手振り身振りから、フランクはカメラに向かって、ストレートでともすれば鼻につくほどの青臭さいワードで視聴者に語りかける。

”みんなが信じれば奇跡は起こる、神はみんなを愛している”

気がつけばあまりの熱演に、感極まったのかビル・マーレイの頬にリアルな涙(たぶん)が流れていた。

この憎しみが渦巻く非情で殺伐とした現代で、世界中の人々が幸せになって欲しいというメッセージが、今だからこそたまらなく愛おしく、気がつけば自分も涙が溢れていた。
そしてこんなメッセージを発信する映画が作られていた80年代、こんなにみんなが純真だった時代があったんだと改めて胸が熱くなった。

 ここで不意に1985年の、マイケル・ジャクソンやレイ・チャールズなどビッグ・アーティスト達が集結して歌い上げた、USAフォー・アフリカの「ウィ・アー・ザ・ワールド」のMTV映像が浮かんできた。
「僕らは一つの世界」と夢物語のような歌詞をアーティスト達がなんのためらいもなく熱唱し、聞いている自分たちも素直に共感し、熱狂していた。

やっぱり80年代が好き!

「リーサル・ウェポン」シリーズのリチャード・ドナー監督、こんなファンタジーも作っちゃうんですねえ、素敵です。

ちなみにBlu-rayの特典映像は、予告編さえありませんでした、残念。

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Bitly

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