映画『フル・モンティ』レビュー ★★★★☆

出典元:https://www.amazon.co.jp/

あらすじ

 かつてイングランド北部の工業の中心都市シェフィールド、人口50万人のヨークシャーの街には毎日ショッピングやビジネスで大勢の人が訪れていた。
このシェフィールドを支えていたのは鉄鋼業で、圧延工場や鋳造工場で9万人の労働者が働いていた。

 それから25年後、誰もいなくなった廃工場で、転がっている鋼材を盗んで金にしようとしているガズ(ロバート・カーライル)と親友のデイヴ(マーク・アディ)に、ガズの一人息子ネイサンの三人。

しかし警備員が現れたことなどであきらめて帰っていた途中、ある店の前で大勢の女たちが並んでいるところに遭遇する。
彼女たちは、”チッペンデールス”という若い男たちのストリップ・ショーを見るために集まっていた。

 翌日職業安定所では、半年前に失業したガズにデイヴと同じ失業した男たちが集まり、昨日のストリップ・ショーに熱狂していた女たちについて話していた。

その様子をいまいましく横で聞いていたジェラルド(トム・ウィルキンソン)は、ガズたちに真面目に職を探している人たちの邪魔をするなというが、ガズはかつては工場の主任だったが、おもえも今は同じ負け犬だと悪態をつく。

無視してガズはなんで女たちは男の裸をみるために、一人10ポンドも払うのかというが、1000人になると1万ポンドになると分かり、自分たちもこれをやってみたらと思い立つ。

 ガズは養育費700ポンドが払えなくて、ネイサンの親権を今は別の男と暮らしている妻に奪われそうになっていたので、デイヴに息子を取り返すために700ポンドが必要だとデイブを誘うが、力はかすがストリップは絶対に嫌だといわれる。

 そこにボンネットを上げて駐車している車を発見したデイヴは、運転席にいた男に故障かといい、すぐにエンジンを調べプラグを差し直しエンジンかけさす。

デイヴは運手席の男の顔をみて見覚えがるといい、自分もハリソンズ製鉄所にいたんだというが、男は黙って礼も言わないので立ち去ろうとしたが、慌てて車に戻る。
デイヴはマフラーからホースを窓に引いていた車のドアを急いで開けると、車内に充満した煙の中から男を引きずり出す。

 ガズにデイヴ、そして助けられたロンパー(スティーヴ・ヒューイソン)の3人は、ダンスを習おうとダンス教室へ行くと、ジェラルドが奥さんと社交ダンスをしている姿を目にする。

さっそくジェラルドの家を訪れると、今も妻に失業したことを言えずに出勤するフリをして出てきたジェラルドにダンスを教えて欲しい頼むが、これから知人の紹介で面接があるので、君らとはおさらばだと行ってしまう。

面接官3人の前で、面接を受けていたジェラルドの視線の先に、自分の家の庭にあったノームの人形が窓に現れる。
気になって面接どころではなくなったジェラルドは採用を見送られ、邪魔したガズに殴りかかり、今も妻に失業したことを言えず、それを知らない妻はカードで散財しているのにと落ち込む。

一人ベンチで座っていたジェラルドのもとに現れたガズたちから、直したノームの人形と花かごを渡されると礼をいい、彼らに協力することにする。

そして4人となった仲間は、メンバーを集めるためオーディションを開く・・・。

作品データ

  • 製作年/製作国/上映時間:1997年/イギリス/93分
  • 監督:ピーター・カッタネオ
  • 製作:ウベルト・パゾリーニ
  • 脚本:サイモン・ビューフォイ
  • 音楽:アン・ダッドリー
  • キャスト:ロバート・カーライル/トム・ウィルキンソン/マーク・アディ/スティーヴ・ヒューイソン/ポール・バーバー/ヒューゴ・スピアー

レビュー

 本国イギリスで大ヒットを記録し、’97年英国アカデミー賞主要4部門を受賞した痛快コメディ『フル・モンティ』をBlu-rayにて鑑賞する。

 フル・モンティとはスッポンポンっていう意味(笑)。
タイトルはやばいけど、とにかく前向きな映画なのだ。

監督のピーター・カッタネオは、本作で第70回のアカデミー賞監督賞にノミネートされ、次回作が期待されるも、しばらくパッとしなかったが、2022年にやっと「シング・ア・ソング!笑顔を咲かす歌声」という素敵な作品が公開された。

 かつて鉄鋼業で栄えていた都市シェイフィールドは今は失業者で溢れていた。
主人公のガズ(ロバート・カーライル)もそんな失業者の一人であり、現在バツイチで愛する息子の親権を、養育費が払えなくて奪われそうになっている。

そんな追い詰められたガズが思いついたことは、失業者仲間と男性ストリップで一儲けしようという、とんでもないアイデアだった。

 まずオープニングから真面目にコツコツ働くことを拒み、盗みや万引きとダメダメなガズをはじめ、メンバーに加わる同じ失業者仲間の逆境ぶりが、見ていて笑えないというか複雑な気分になる。

太ってることにコンプレックスを抱き、妻に愛想を尽かされていると感じている親友のデイヴ(マーク・アディ)に、自動車でガス自殺を図ろうとし、友達もいないと嘆くロンパー(スティーヴ・ヒューイソン)。

さらにいまだに失業したことを言えず、妻がカードを使いまくり破産寸前のジェラルド(トム・ウィルキンソン)。

そしてオーディションで加わる、50は過ぎただろう年配だがダンスが出来る黒人のホース(ポール・バーバー)に、踊りも歌もだめで何がデカいだけのガイ(ヒューゴ・スピアー)。

観てる方もこのメンバーじゃあ無理だろうなあ、なんてあきれてしまう。

ただこのオーディションで、最初に登場するぽっちゃりしたおじさんが、戸惑いながらもさもさと服を脱いで行く姿を、切ない眼差しで見ているガズたちのシーンを見ていると、情けなさを通り越して笑いがこみ上げてきた。

 そしてここから6人のメンバーが、街中の人たちに冷やかされながらも、妻に馬鹿にされながらも、なれないダンスを懸命に練習する姿が微笑ましく、それでもとにかく健気に前を向いて励む姿に、いつしかがんばれって応援していた。

なんだこのおっさんたちは!

予告編でも流れる、失業手当を受け取るため列に並んでいた仲間たちが、流れてきたドナ・サマーの「ホット・スタッフ」にあわせて、みんなが思い思いにリズムをとっていく姿のなんて可愛いらしいんだか、もう最高!
今でもこの曲を聞いたらこのシーンが浮かんでくる(^^)

 そして最後のフィナーレを飾るステージを観てる時、なんと笑っているのに涙が溢れていた。

どんなにどん底の状態でもどこか明るく、死ぬ気でやればなんでも出来るって吹っ切れたようにステージで熱くダンスする男たち。

誇りをズタズタにされた男たちが、そんなものはくそ食らえと今自分たちに出来る最高のパフォーマンスを見せつける姿はただまぶしく、そして鮮やかに輝いてた。

お世辞にも上手いとはいえないダンスシーンは、潔くどこまでも明るいのだ。
そんな彼らに熱い声援を送る息子や妻、そして仲間たち。
可笑しくて笑ってるんだけど、気が付いたら涙が流れてた。

結局それぞれが抱えていた問題は、ほぼ解決していないんだけど(^^;)

いつまでも落ち込んだままじゃあ何にも始まらないぜ!

本作はどこまでも前向きで明るい。

最近妙に涙もろくなっていたので、そうでもない人は泣き笑いは体験できないかもしれないけど、観終わった後に絶対元気になれる映画です。

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