あらすじ
顔を合わせればののしり合う険悪な仲の3兄弟、会社社長の長男ペールと国語教師の妹クララ、そして失業中で酒びたりの弟クロードの下に、突然母親の遺言書が届く。
久しぶりに集まった兄弟に、母親の遺産相続に関する遺言が伝えられる。
それは3人が一緒に同じ宿に泊まり、聖地サンティアゴまで徒歩で巡礼の旅をすれば、遺産が相続できるというものだった。
遺産相続のため仕方なく参加する3兄弟に、ガイドと様々な参加者を含めた9名の一行は、いよいよサンティアゴへ向けて1500kmの巡礼の旅に出発する。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:2005年/フランス/112分
- 監督・脚本:コリーヌ・セロー
- 製作:シャルル・ガッソ
- 音楽:ヨーグ・ル・バール
- キャスト:ミュリエル・ロバン/アルチュス・ドゥ・パンゲルン /ジャン=ピエール・ダルッサン/マリー・ビュネル
レビュー
“人生って捨てたもんじゃない”
『女はみんな生きている』のコリーヌ・セロー監督のハートフルなロードムービー『サン・ジャックへの道』を観る。
久しぶりにフランス映画が観たくなり、各サイトで高い評価をされていた本作を選んだんだけど、まずサン・ジャックが何か分からないまま見てしまい、見終わった後やっぱりどこら辺を歩いているのかぐらいは予習しておけば良かったと反省(^^;)
始まってしばらくは3兄弟が喧嘩ばかりで、すぐに仲の悪いこの兄弟が、旅を続けていくうちに次第に関係を修復していくというストーリーが浮かんできた。
実際その通りにストーリーが展開していき、旅も淡々と進んでいくのでこれは眠くなるかもと思ったが、最後までまったく退屈せず、まるで自分も一緒に旅に参加してるように、どっぷりと世界に入り込んでいた。
予想通りだが、最初ギクシャクしていた9人が、次第にお互いを思いやり、まるで自分の中の優しさという心の器を発見したことを喜んでいるように、優しいまなざしに変わっていく姿が愛しい。
そして時々現れる煩悩にさいなまされるみんなのシュールな夢のシーンに微笑み、美しい風景に癒され、そしてラストにあったかい涙を流していた。
旅を続けていくうちにリックいっぱいに詰め込んだ荷物を、必要なもの意外は捨てていくように、参加者がそれぞれに不要な偏見や価値観を投げ捨てていき、お互いが心を通わせていく様が見事に描かれていく。
まさしく予告編のナレーションで語られる
“生きていく上で本当に必要なものなど、そう多くはないんだと教えてくれる”
だった。
でも私の感性の問題なんだろうが、見終わった後とってもいい気持ちにはなったんだけど、結局どういう映画だったんだろうと考えてしまい、DVDの特典に入っていたこの予告編を観るまで、そういうテーマだと気がつかなかった・・・。
この言葉を受けて、すぐにもう一回観てしまった(^^;)
個人的には人はそう簡単には変われるものじゃないと思っている。
それでも変われるんだという可能性と、誰もが持っているだろう心根の優しさをこうして見るだけで、自分も優しい気持ちになり、なにより「やっぱり人間っていいな~♪」って思えてくるこういう映画、好きだなあ~(^^)
この映画を見終わった後、四国八十八箇所ではないが、たぶんみんな無性に旅行に行きたくなるだろうな。
いかに人生において、リフレッシュすることが大切かを思い起こさせてくれる。
私がまずやらなければならないことは、マイカーにETCを付ける事だろうなあ(笑)
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このレビューをアップした時点で、残念ながらPrime videoでは配信されていません。(2022/08/01)
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