あらすじ
オランダのデフルトという街で、両親と慎ましやかに暮らしていた17歳の少女グリート(スカーレット・ヨハンソン)。
しかし、タイル絵師をしていた父親が視力を失ってしまい、家族の生活は次第に苦しくなっていった。
そんな父に代わって家族を支えるため、グリードは出稼ぎに出ることに。
運河沿いにあるフェルメール(コリン・ファース)という画家が住む邸宅で、グリードは使用人として働くことになった。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:2003年/イギリス・ルクセンブルク/100分
- 監督:ピーター・ウェーバー
- 脚本:オリヴィア・ヘトリード
- 原作:トレイシー・シュヴァリエ
- 音楽:アレクサンドル・デスプラ
- キャスト:コリン・ファース/スカーレット・ヨハンソン/トム・ウィルキンソン
レビュー
16世紀末から17世紀初頭にかけヨーロッパで広まったバロック芸術を代表する画家のひとり、ヨハネス・フェルメールの名画に秘められた、至高の愛の物語を描いた『真珠の耳飾りの少女』をDVDにて鑑賞。
当時フェルメールという画家の名前すらも知らず、ただ某映画掲示板で評価が高かったことと、タイトルからなんだかフランス映画風のいい匂いを嗅ぎ付けDVDを購入したのを思い出す。
実際はイギリス映画だったけど(^^;)
まず、その圧倒的な映像美に目を見張り、窓から差し込む淡い光に映し出されるアトリエ、そこに一人たたずむ物悲しげな少女と、シーンの一つ一つが名画の輝きを醸し出す。
絵画の世界を繊細に再現して見せた映像美は、第76回アカデミー賞で撮影賞・美術賞・衣裳デザイン賞の3部門にノミネートされる。
そのモデルとなる少女を演じたスカーレット・ヨハンソンは、同年の03年公開『ロスト・イン・トランスレーション』でもみせた、10代とは思えない妖艶なけだるさと透明感あふれる演技で、早くも同年代の女優にはない存在感を漂わせ絶賛されると、その年の第61回ゴールデングローブ賞の最優秀主演女優賞にノミネートされる。
ストーリーはというと、これについてはさほど取り上げるほどでもないというか、やはりフェルメールを知っていると知らないとでは全然感じ方が違うと感じた。
私は最後に実際の「真珠の耳飾りの少女」の絵が映るまで、実在の絵画を題材にした話だったとはまったく分からなかったのだ(爆)
だいたいフェルメールのこの絵って、前は「青いターバンの少女」って言ってなかったっけ?
あとからネットでフェルメールを調べると、映画の中で創り出されたシーンとそっくりな作品がいくつもあったことが分った。
なんとあの二人で見上げていた空まで一緒だったんだ。
フェルメールが好きだったり、想い入れが深い方たちが観たら、それぞれのシーンでため息をし、拍手したくなったんじゃないかなあ。
返す返す、事前にフェルメールの作品に目を通しておくべきだった。
やってしまった・・・(泣)
ただいくつかのフェルメールの名画を観て、卓越した写実力により、描き出される屋内空間と光の色彩が鮮やかに描かれる作品の中で、この「真珠の耳飾りの少女」は背景が真っ黒に省略され、モデルにだけ焦点を当てるという、かなり異彩を放つ作品だったんだということもわかった。
この絵をずっと見ていると、なにか絵の中に住む少女と実際に視線を交わしているような錯覚を起こし、さらにその絵に見入ってしまう感覚に、本作の切ないストーリーが重なり合う。
プラトニックな愛を感じあう画家と少女の描写も押さえ気味で、たぶんフェルメールを知らない人が観ると、映像の美しさ以外でかなり物足りないものを感じると思います。
そういった点で観る人を選ぶ映画ですね。
観終わったあと、私のPCの壁紙はしばらく「真珠の耳飾りの少女」に変わっていました(^^)
Amazonで『真珠の耳飾りの少女』を観る
・Prime video
・DVD/Blu-ray
コメント