あらすじ
1876年のニューヨーク。
ブルックリン・ブリッジの完成を祝う民衆にまじり、英国貴族オルバニー公爵レオポルド(ヒュー・ジャックマン)は橋のスケッチを描いていたが、その人々の中で見たこともない物を目にかざしている挙動不審な男が目に入る。
レオポルドは男に近づいたが、それに気がついた男(リーヴ・シュレイバー)は追ってくるレオポルドを振り切り馬車に乗って一目散に逃げていった。
屋敷に戻ったレオポルドは、中で慌ただしくパーティーの準備をする使用人たちに構わず階段を駆け上がったが、それを見た父は、まだ正装していないレオポルドに怒り、今夜妻となる金持ちの娘を選ばないと縁を切ると告げる。
渋々会場へ降りてきたレオポルドは、まずツリー家の令嬢をダンスに誘うと、次々とパートナーを変え踊っていたが、会場の中にあのブルックリン・ブリッジにいた不審な男が紛れ込んでいるのを見つける。
誰もいない部屋で、ある本をめくりカメラを撮っている男に、レオポルドは「君は?」と声をかけると、男は無言でその場から立ち去ると、「待ってくれ」と追ってくるレオポルドを振り切って、会場から飛び出し馬車に乗って走り去った。
レオポルドはすぐに馬にまたがり、男を追って雨の中を駆け出し馬車の後を追っていくと、男はブルックリン・ブリッジで馬車を降り、橋脚に掛かるはしごを急いで登っていく。
レオポルドも続いてはしごを登り男に追いすがると、一緒に橋から落ちてしまう。
現代のニューヨーク。
自分の部屋に戻ってきたキャリアウーマンのケイト(メグ・ライアン)は、上階から騒がしく聞こえる男の声と犬の吠える声を聞き、様子を見に外階段を上がっていった。
窓から覗こうとするケイトだったが、中の男に気づかれそうになり、慌てて降りていく。
部屋の中では、あのブリックリン橋の不審な男(スチュアート)と、ソファーに寝かされたレオポルドがいた。
そこへ電話が鳴りスチュアートが出ると、下の階に戻ったケイトからの電話で、「自分の電子手帳を返して」と言われるが、それどころではないとスチュアートは電話を切る。
怒ってすぐにかけ直してきたケイトに、スチュアートは”時間の流れの中の裂け目”を見つけたといい、ブルックリン・ブリッジから飛び降りると、行き着いた先は1876年の4月28日で、自分は今日オールバニー公爵レオポルドと一緒に当時のニューヨークを歩き回ったという。
さらにそのレオポルドが一緒についてきたと興奮する。
ケイトは一ヶ月も前に別れた彼女に噓をつくなというが、スチュアートは上手くいかなかった理由は、そんな自分を信じない君の態度だという。
「あなたなんかに、人生最良の時を捧げたなんて・・・」というケイトは、「あれで最良?」と答えたスチュアートに呆然とするが、スチュアートは明日も朝早いといい電話を切った。
翌朝ソファーの上で目覚めたレオポルドは、そばにあったリモコンに触ってしまい、いきなりついたテレビと大音量で流れだした音楽にパニックになり、慌てて飛び起きてきたスチュアートに、「ここはどこだ!」と詰め寄る。
作品データ
- 製作年/製作国/上映時間:2001年/アメリカ/118分
- 監督:ジェームズ・マンゴールド
- 脚本:ジェームズ・マンゴールド/スティーブン・ロジャース
- 原案:スティーブン・ロジャース
- 音楽:ロルフ・ケント
- キャスト:メグ・ライアン/ヒュー・ジャックマン/リーヴ・シュレイバー/ブレッキン・メイヤー/ナターシャ・リオン
レビュー
ロマ・コメの女王メグ・ライアンと、前年の2000年公開「X-MEN」のウルヴァリンでブレイクしたヒュー・ジャックマンが共演した、ジェームズ・マンゴールド監督・脚本の『ニューヨークの恋人』をBlu-rayにて鑑賞。
1876年のニューヨーク、英国貴族オルバニー公爵レオポルドは自らは望んでいなかったが、父から絶対に結婚相手を決めるように言われたパーティで目に入った挙動不審の男を、ブルックリン・ブリッジまで追いかけていったが、ふたりで一緒に橋から落下したことで、現代のニューヨークへとタイムスリップしてしまう。
一方現代のニューヨーク、キャリアウーマンのケイトは、アパートの上階に住む元彼のスチュアートの部屋にいた、貴族のような仮装をした見知らぬ男に出会い戸惑う。
その男は1876年にタイムスリップして、一緒に戻ってきてしまったオルバニー公爵レオポルドだとスチュアート説明されるが、ケイトは全く信じない。
ただ、身元不明の男だと思いながらも、一緒にいる間レオポルドの紳士的な振る舞いと優しさに、ケイトは次第に惹かれていく・・・。
トム・ハンクスとメグ・ライアンの運命的な男女の出会いを描いた「めぐり逢えたら」や「ユー・ガット・メール」に、新たにタイムスリップというSF的要素を加えたロマンティック・ラブストーリー。
まず、冒頭のエレベーターの中、久しぶりに観るメグ・ライアンのファースト・ショットで映し出されたくたびれた表情に、一瞬「ん?」なんて不安になる(^^;)
まあそれは物語上、仕事にも恋にも疲れてしまったキャリアウーマンという設定だったので、そんな杞憂はすぐに消え、物語が進むにつれて次第にコメディエンヌとしての輝きを見せてくれたのでホットする(^^)
王道のストーリーに、ほぼハッピーエンドは予想されていたので、私的にはただただ大好きなメグ・ライアンの、上品でいてコロコロと変わるキュートな表情と無邪気な笑顔に、ずっと彼女の一挙手一投足を追っていくことになった。
またヒュー・ジャックマンも、貴族然とした見事な出で立ちに、突然未来の世界に放り出された戸惑いと、それでも失わない騎士道精神が可愛らしく、その創り出した誠実な演技は第59回ゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートされる。
ただこのカップル、メグ・ライアンがヒュー・ジャックマンより年上ということと、俳優としてのキャリアの差というか微妙な各上感が醸し出されていて、なぜか恋人というより姉と弟のような関係にみえ、ロマンス感がちょっと薄く感じてしまった。
それでも奇跡的に出会ったふたりの、少しずつ重なり合い育まれていく恋心はどこまでもロマンティックであり、その先に待つ結末の行方はどんなものになるのか、その幸せの期待度が上がっていく。
【ここからネタバレ】
ケイトとレオポルドはお互いを愛し合う関係になるが、やがてレオポルドは次元の狭間が消える前にと、元の19世紀に帰ってしまう。
そんなことは知らないケイトは上司のJ.J.から、このニューヨークの上席副社長に任命され、その日の夜合併の発表パーティに出席していたが、スチュアートの部屋にやってきた弟のチャーリーが、何気なく手にしたスチュアートが19世紀に撮った写真の中にケイトがいることを発見する。
スチュアートとチャーリーは急いで会場へと向かった・・・。
”もしお互いを信じ合い愛を確信できるパートナーが現れたら”
久しぶりの完璧なハッピーエンドに、舞い上がりはしないが心地いい幸福感に包まれる。
そしてエンディングで流れるスティングがこの作品のためにワルツのリズムで作詞作曲したという、「Until…」のギターが刻む軽快な三拍子のリズムに身を委ね、さらに心が弾んでいく。
ただ、このスティングの歌が終わり、続けて賑やかな音楽と共に流れていくエンドロールを眺めていると、ふと考え込んでしまった。
どうしてケイトは、いままで必死に積み上げていった人生を、一時の恋心で投げ出してしまったのか(^^;)
どうしてスチュアートは、科学者でもないのに次元の狭間を発見できたのか。
お金持ちの令嬢と結婚するはずだったレオポルドが、ケイトと一緒になったら多額の負債を抱えた公爵一族はどうなってしまうのか。
マーベル作品を見すぎて、タイムパラドックスが起きたらどうなるんだとか、次々とあら探しをしてしまい、その喜びが薄れていったのが残念だったが、そんなことを考える作品ではないと自分に言い聞かせる(^^;)
表情豊かに相変わらずキュートなメグ・ライアンと、スマートでハンサムなヒュー・ジャックマンを楽しみながら観る作品なのだ(^^)
Blu-rayの特典映像について
Blu-rayの特典映像として、未公開シーンでスチュアートがエレベーターから落ちたシーンの後、目を覚ましたスチュアートの目の前に先に落ちていたおじさんがいたり、レオポルドがオーティスの夢を見るなんてシーンが収録されています。
さらにビハインド・ザ・シーンとして、監督やスタッフ・キャストが作品についてコメントするシーンと、メグ・ライアンとヒュー・ジャックマンが楽しそうに撮影している貴重な撮影風景が収録されています。
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